コラム

ちまたにあふれる健康情報の1つに「水を飲め」というものがあります。喉の渇きなど、必要を感じた際に水分を摂るのに加え、意識的に摂取量を増やすことで、より健康になれる、というのです。

この健康法は果たして正しいのか? この記事では意識的な飲水のメリットとデメリットを解説します。

■人体において水が果たす役割は主に2つ

人の身体を形作る物質の中で、もっとも大きな割合を占めるのは水です。成人では体重の55~60%を水が占めており、5%を失うだけで脱水症状を発症します。

体内における水の役割は主に2つあります。1つは物質の溶解と運搬――身体にとって必要な物質や不要な物質を溶解させて運搬すること。このはたらきにより、人体では必要とする部位に物質が届き、不要な物質は排泄されています。

もう一つは体温の調節。汗として排出する水分量を調節することで、熱中症を予防するなど体温を一定に保つのも水の大切な役割です。

そんな重要な役割を担う水分をなるべくたくさん摂ればより健康になれる、とする考え方があり、ネット上などで推奨する人が少なくありません。

■メリット 熱中症予防や結石予防

水分を摂ることのメリットとしてもっともよく目にするのは「デトックス」と「サラサラ血」でしょう。たしかに、水には老廃物を運搬する役割があるため、不足している場合にはその分を補うことで、代謝をうながすことができます。

サラサラ血についても同じことが言えます。水分が不足していることで、血液の粘度が上がっている人の場合には水の摂取で粘度を下げられますが、現代社会でそういった状態に陥っている人は非常に稀です。

血液の粘度には糖分や脂肪分などが大きく影響するため、単純に体内の水分を増やせばサラサラ血になるわけではありません。

意識的に水分を補給することで得られるいちばん大きなメリットは熱中症の予防と腎・尿路結石の予防です。

前述のように人は汗をかくことで体温を調節しています。発汗する環境にいると、気がつかないうちに脱水状態に陥ってしまって体温が上昇し、熱中症を発症することがあります。

腎・尿路結石は尿中に含まれる成分が結晶化して結石を生じる病気です。腎臓でできた石が尿管に詰まると、猛烈な痛みに襲われます。

この病気を予防するためには尿の濃度を下げることが大切です。再発率が非常に高い病気なので、発症したことがある人には積極的に水分を摂るよう推奨されています。

■デメリット 水毒で免疫低下 低ナトリウム血症も

水には害がないので、とりあえず多めにとっても大丈夫、と考えがちですが、実はそうではありません。東洋医学では体内の水分量が過剰になる状態を「水毒」と呼び、未病の1つと考えます。

水毒の状態になると、身体が冷えて体温が低下するので、免疫力が低下します。コロナ禍に加え、これからの季節はインフルエンザやノロウイルス感染症なども流行するため、水毒には注意が必要です。

水分を摂り過ぎると、血液が薄くなり量が増える、という問題も発生します。そうなると、心臓に大きな負担がかかる上、ナトリウム濃度が低くなりすぎると、「低ナトリウム血症」を発症することもあります。

体液のナトリウムやカリウムの濃度は常に一定に保たれています。濃度バランスが崩れると、循環器系のはたらきなどが崩れ、場合によっては死にいたるケースもあります。

■目安は1日○リットル 適切な量を摂取する

ここまで解説してきた通り、水分は不足しても摂りすぎても健康に悪い影響をおよぼします。厚生労働省が発表している資料では、成人の場合1日に2.5リットルの水分が必要、とされています。

このうち、1.0リットルは食事から摂取し、0.3リットルは体内で産生されるので、飲み物として摂取すべき水分量は1.2リットルということになります。

ただし、これは平均値であり、環境や活動の内容によって、適切な量は異なります。真夏に屋外で活動するときなどは、塩分と一緒に大量の水分を摂る必要があります。

子供や高齢者の場合には特に、喉の乾きを感じるのが遅いケースがあるので、周囲の人が日常から気をつけて、水分をとれるようにすることも大切です。

誤解されやすいのが「水素水」などの健康アイテムです。身体にとっていいものだから、大量に摂取しても問題ないはず、と考える人もいますが、成分のほとんどは水分なので、摂りすぎると弊害を生じます。

■まとめ

関係する商材が多いことから、「水が身体にいい」という情報は非常に数多く提供されています。実際には適切な量を飲むことがもっとも大切なので、自身が普段どのくらいの水分を摂っているのか、気になる方は一度、チェックしてみるのがおすすめです。

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