コラム

PCR検査の対象を絞っていることから、国内における新型コロナウイルス感染者の実数は定かではありません。「検査で陽性と判定された人数の10倍にのぼるのでは?」といわれてきましたが、それよりはるかに多い可能性が出てきました。

実際の患者数はPCR検査「陽性」の1000倍?

筆者は現在、神戸市に住んでいます。その地元で、5月2日、衝撃的な発表がありました。神戸市立医療センター中央市民病院が来院患者1000人を対象に行った抗体検査で、なんと33人に「感染歴」があることがわかったというのです。

割合にすると、3.3%にのぼっており、神戸市の人口152万人に照らすと、市内には約5万人の患者がいる、とも推計できます。

検査の対象となったのは主に4月の初旬に同病院において外来で診療を受けた患者です。同時期に神戸市が発表した患者数(PCR検査で陽性と判定された人の数)は50人程度なので、1000倍程度も多いことになります。

ただ、検査の対象となったのはなんらかの理由で大きな病院を受診した人であり、体調不良を抱える人が多いことは考慮する必要があります。抗体検査でわかった「感染している人・感染したことがある人」の割合をそのまま一般の人に適用できないことは同病院でも認めています。

検査を受けた人の内訳を見ると、60歳以上の人が52%を占めています。神戸市の人口割合では60歳以上の人が占める割合は33%なので、抗体検査を受けた人には高齢者が多いことがわかります。

死亡率についても考え直す必要がある

検査対象にはある程度の偏りがありますが、それでもPCR検査における市内の陽性者数が50人程度と発表されていた時期に、たった1000人を検査しただけで「感染したことがある人」が33人も見つかったことはかなり驚くべきことです。

感染を自覚しておらず、検査も受けていない人が町中には非常にたくさんいることをあらためて認識する必要がありそうです。

その一方、新型コロナウイルス感染症のリスクについては「過大に見積もっているのではないか」と検証してみることも必要でしょう。

世界的な権威とされる医学誌「THE LANCET」に最近掲載された論文によると、新型コロナウイルス感染症の死亡率は0.66%だといいます。1000人の感染者のうち6~7人が亡くなる、というのが同論文の分析です。

一方、もしも神戸市内に感染歴のある人が5万人いるとすれば、死亡率はそれよりもさらに大幅に低いことになります。5月4日時点の神戸市における死亡者数は5人なので、その人数に照らしても死亡率は0.01%程度です。

もちろん、前述の通り、検査対象には「大きな病院を受診した人」という偏りがあるため、実際の感染者数はそれよりもかなり少ないと考えるべきでしょう。

ただし、検査が行われた時点で、神戸市内の感染症死亡者は0人でした。

「PCR検査で陽性と判定された50人程度のうち、誰も亡くなる人がいなかった」という状況と「○万人単位の感染者がいた可能性がある中で死亡者が0だった」というのでは、リスクについての判断は違うはずです。

たった一つの検査結果に基づいてなにかを決めるのは危険ですが、経済再建を考える上では、リスクに関する情報を小まめに更新しながら対策を考える必要がありそうです。

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