コラム

国内で新型コロナウイルス感染症の患者が急増する中、新たに変異型が登場したことで、さまざまなリスクの増大が心配されています。

リスクを抑えるためには変異型について正しく理解し、対策を講じることが大切です。この記事では変異型について今わかっていることを解説し、一般の人ができる対策を紹介します。

■新型コロナウイルスが変異することはわかっていた

ウイルスの中には変異しやすいものとそうでないものがあります。たとえば、後天性免疫不全症候群(エイズ)を発症させるエイズウイルスは変異する速度が非常に速いことが知られています。

エイズウイルスもそうですが、遺伝情報をRNAにより保有するウイルスはレトロウイルスと呼ばれ、変異しやすいのが特徴です。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)もこのレトロウイルスなので、感染が広がり始めた当初から、変異型が登場することはわかっていました。

2021年1月半ばの時点で、イギリス型や南アフリカ型、ブラジル型など、複数の変異が確認されており、それぞれ従前のものとは性質が異なる部分がある、と報じられています。

■新型コロナウイルス変異の5W1Hを確認しておこう

今回の変異についてはさまざまな情報が錯綜しているので、わかりやすいよう「5W1H」を整理してみましょう。

When:変異はSARS-CoV-2発生当初から今にいたる間起きてきた。

Where:変異が起きるのは感染者の体内。

Who:特に免疫がウイルスに打ち勝つのに時間がかかる人の体内で変異が起きやすい。

What:変わるのはウイルスの塩基配列(遺伝情報)。それにより、感染のしやすさや抗体の効果などに関係するスパイクタンパクなどが変異する。

Why:ウイルスは宿主の免疫系との戦いから生き延びるために変異する。

How:感染者の体内でランダムな変異が起き、免疫系に淘汰されることで、よりヒトの免疫への耐性が強いものなどが残る。

■変異により予想されるリスクの増大

ウイルスが変異することで増大するリスクについては、いくつかの情報が報じられています。たとえば、イギリスで2020年12月に確認され、急激に感染が広まった変異型(VUI-202012/01)は従来型に比べて7割程度感染力が高いことが示唆されました。

2021年1月半ば時点で、イギリスでは1日あたり5万人以上という爆発的な感染が起きており、厳しいロックダウン(都市封鎖)が実施されていますが、変異型の発生がその大きな要因になっている、と言われています。

2020年12月には南アフリカでも別の変異型が確認されました。まだわからないことが多いものの、こちらも従来型に比べて感染力が強く、若年層でも重症化しやすいのではないか、と指摘されています。

その他にもブラジルや中国、日本国内でも新たな変異型の確認が相次いでおり、予断を許さない状況です。

ウイルスの変異はリスクの増大につながります。感染力が強まれば患者数が増えますし、重症化しやすくなれば致死率が高くなります。医療にはより多くの負担がかかることになり、崩壊のリスクが増大します。

その他にも、ワクチンの効果が低下するリスクや再感染のリスクを指摘する声もあります。ワクチンを接種した人や一度感染した人の体内には抗体ができるため、感染や重症化を予防できるのですが、変異型にはこの抗体が効きにくいかもしれないためです。

再感染がくり返されるようになれば、「いつまでたっても集団免疫ができない」という状況に陥ることも考えられます。

■個人にできるのは感染予防と健康維持

そういったリスクを抑える手段はいくつかあります。もっとも期待されるのは特効薬の開発や治療法の確立でしょう。インフルエンザに対するタミフルのような薬ができれば、感染しても重症化したり死亡したりするリスクを抑えられます。

また、新型コロナウイルス感染症が重症化するのは免疫暴走によることが多い、と言われており、免疫を抑制する薬剤の適切な使用が効果的、と語る専門家もいます。

現状では、薬剤の組み合わせ方などがさまざまな機関で模索されているので、いずれはエイズに対するカクテル療法のようにな画期的な治療法が見つかる可能性はあるでしょう。

ただ、そういった治療薬・治療法が広く提供されるようになるまでには、まだ年単位の時間がかかると思われます。一般の人が今できるのは、感染予防と健康維持による重症化の予防です。

感染予防についてはすでに方策がわかっています。大声での会話や咳などによる飛沫感染、密な空間での空気感染、手指などからの接触感染を避けるのが基本です。マスクの着用、3密の回避や換気、手指の消毒などを徹底することで、自身が感染源となるリスクや感染するリスクを抑えることができます。

健康の維持については生活の見直しが基本となります。このコラムではたびたび語ってきましたが、食事、睡眠、運動の3要素が健康維持のカギです。

栄養バランスに優れた食事を適量とること、質・量ともに適切な睡眠をとること、有酸素・無酸素の運動を適切に行うこと、という3つを心がけることで、健康な状態を維持しやすくなります。

それに加えて、水素の摂取も有効です。心身の状態を健康ゾーンに保つはたらきがあるので、現下のような状況では、特に高い効果が期待できます。

■まとめ

海外ではすでにワクチン接種が始まった国があるなど、明るい兆しが見えてきただけに、変異型の登場は希望の灯を吹き消すような出来事、と感じられます。

ただ、当初から予期されていたことであり、パニックに陥って経済を無視する感染症対策をとるのはあまり賢明とは言えません。

大切なのは変異型が登場する中で、ある程度社会活動を維持しても医療が崩壊しないよう、それぞれの人が感染予防と健康維持に留意することではないでしょうか。

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