コラム

お盆の帰省を巡って、混乱が続いています。自粛を求める県がある一方、一定の配慮を求めるだけの道府県もあり、どうすればいいのか、判断に迷っている人も少なくないと思われます。

今回は帰省する方に向け、考え方や気をつけるべきポイント、工夫などを紹介します。

■「帰ってこないで」の声がある一方でGoToトラベル

お盆は多くの世帯にとって、遠方に住む家族や親族が集まる得がたい機会です。夏休みに田舎に帰るのが楽しみだった……という人も多いはず。

迎える側にとっても、普段は会えない孫の顔を見て成長を実感できるなど、喜びの多い慣習でしょう。ところが、今夏は新型コロナウイルス感染症というこれまでにない問題が発生したため、そんな帰省を取りやめる人が増えています。

感染を恐れたり、近所の目を気にしたりするあまり、子供世帯に「帰ってこないで」と伝える高齢者も多く、帰省を予定していた人の7割近くが、見送ることにした、とも報道されました。

各都道府県の対応はそれぞれ異なります。一律に帰省の自粛を求める声がある一方、発熱が見られるなど、一定の条件にあてはまる人は帰省しないでほしい、とするところも見られます。

そんな中でGoToトラベルは強行されており、国と地方で対応が分かれている中、結局は個々人が自身の状況を見極めて判断するしかなさそうです。

■帰省のリスクを整理してみる

新型コロナウイルス感染症の新規患者数が高止まりする中での帰省には、いくつかのリスクがともないます。

もっとも大きなリスクは高齢の親族にうつしてしまうことでしょう。お盆に帰省すると、親族が集まって会食するのが一般的です。

無症状の感染者は自身がウイルスを持っているという認識がないので、普段通りに行動すると、同席した人たちにSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)をうつしてしまいかねません。

高齢の親や祖父母が感染すると、重症化するリスクがとても大きく、取り返しのつかない結果につながることも考えられます。

帰省のために移動する途中にも感染を広げるリスクがともないます。公共交通機関を利用すれば、車内や機中でウイルスに接触してしまうかもしれませんし、自身がウイルスをばらまいてしまうこともあり得ます。

自家用車を使う場合にも、サービスエリアやガソリンスタンド、外食店などを利用すると、他の人と接触することになります。

感染とは別に、「嫌がらせを受けるリスク」も考えておいた方がいいでしょう。「帰省先の実家にご近所から苦情が寄せられた」「県外ナンバーだからと車を傷つけられた」といった出来事が国内のあちこちで報じられています。

■もっとも重要なのは高齢者にうつさないこと

上記のようなリスクに対応できれば、ある程度安心して帰省することができるはず。もっとも大きなリスクは他の人にうつしてしまうことなので、その対応をまず考えてみましょう。

まず、確認しておきたい事柄の一つに、帰省したら会う人の中に基礎疾患を持っている人がいないかどうか、というのがあります。

糖尿病や高血圧、肺、腎疾患などの基礎疾患がある人は、SARS-CoV-2に感染した場合に重症化するリスクが非常に高いので、そういう人と会うのはできるだけ避けたいところです。

こまめな手洗いや3密の回避は帰省中も生活の基本です。SARS-CoV-2は空気感染することがわかっているので、特に換気には気をつけてください。

夏場はエアコンを使うことが多いので「せっかく冷えた室内が暑くなってしまう」という問題はありますが、換気ができない環境で親族と同席するのはできるだけ避けた方が無難です。

実家に泊まる場合には、できれば生活動線をなるべく分けましょう。1階と2階があるなら「帰省した子供世帯は2階で寝起きして、食事は別にとる」「トイレが2階にあるなら、そちらだけを使うようにする」といった工夫で、感染のリスクを引き下げることができます。

大阪府の吉村知事が効果について発表して話題になったポビドンヨード(商品名:イソジン)なども、感染予防にはある程度役立つかもしれません。

口中のウイルス量を減らすことができるとされているので、こまめにうがいをすれば、飛沫感染や空気感染のリスク抑制につながる可能性があります。

一つ一つの工夫がもたらす効果の大きさはよくわかっていませんが、それらをいくつも重ねることで、リスクを可能な限り極小化することが、感染対策の基本です。

■受け入れ側の不安にも配慮を

帰省を受け入れる地域の不安についても、できることがあるかどうか、考えてみるべきでしょう。できるだけ、地域の人と接触しないですむよう、「移動は自家用車を利用する」「地域の店舗を利用しない」などの配慮をすれば、無用な摩擦を減らせます。

お盆には地元に人が集まるので、ついつい友人たちと旧交を温めたくなるものですが、人口が少ない地域では、誰がいつどこで誰と会っていたのか、すぐに情報が広まります。

帰省した人だけでなく、その人と会った人物も地域に不安をもたらす存在になるので、今夏の帰省ではなるべく出歩かない方が賢明かもしれません。

■まとめ

お盆の帰省は国内に長く根付いてきた生活習慣の一つです。自粛を要請する自治体もありますが、国がGoToトラベルを実施する中、帰省するかどうかは個人の判断にゆだねられています。

SARS-CoV-2のもたらすリスクを理解した上で、帰省するのも一つの選択肢であり、責められるべきことではないでしょう。ただ、リスクをとる選択ではあるので、さまざまな問題にできるだけ適切に対応したいところではあります。

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