コラム

私ごとで恐縮なのですが、先日、義母が肺がんと診断されました。治療法を健闘する中でわかったのは肺の状態が悪いと選択肢が減るということでした。矛盾しているようですが、負担の少ない治療を受けるためにはなるべく身体を健康に保つ必要があるのです。

今回はそんな肺がん治療の事実についてレポートします。

■喫煙者は治療しませんと医師は言った

がんの中でも肺がんは患者数が多い疾患です。2020年の統計を見ると、男性では最多、女性でも4番目の多さです。予後も悪く、2019年の統計では男女合わせて、もっとも死亡数が多いがんは肺がんでした。

そのため、義母が肺がんと診断された際にはかなり慌てましたが、仕事柄、治療法がいくつかあることはわかっています。70代の彼女は「しんどい治療は嫌だ」というので、侵襲性の低い治療を専門とする市立の病院を勧めました。

ただ、そこでわかったのは重篤な病気に対する治療の選択肢が健康状態のせいで制限される、と言う事実でした。実は義母には喫煙の習慣があり、そのせいで肺が軽度のCOPD状態だったのです。

診療を担当した医師は「喫煙者については治療をお断りする病院が増えています」と言いました。肺の状態が悪いと治療のリスクが高くなる、というのが理由でした。

■複数あったはずの選択肢が手術だけになった

私が勧めた病院には国内でも数が少ない多次元放射線治療機がありました。腫瘍の形状に合わせて多方向から放射線照射を行うことで、正常細胞に対するダメージを抑えてがんを叩けるという治療器です。

がん治療にはその他にも抗がん剤や手術といった方法がありますが、多次元放射線治療が利用できるなら、もっとも副作用の苦痛を抑えて治療ができるはずでした。

ところが、検査の結果、義母は多次元放射線治療についても不適と判断されました。肺の状態が悪いため、間質性肺炎のリスクが高すぎるというのです。

間質性肺炎は放射線治療における大きな問題の一つで、ひどくなると死にいたることもあります。多次元放射線治療では正常細胞の被曝量が少ないため、大丈夫ではないか、と考えていましたが、長年にわたる喫煙習慣のせいで状態が悪化している義母の肺はその治療にも耐えられない、と判断されたのです。

■知られざるたばこの害を意識しておく必要性

結局、医師が最適と判断したのは手術でした。転移の有無を詳しく調べる必要はありますが、もし転移がなければ、3時間程度の簡単な手術でがんを取り除けるということでした。

ただ、昨年すでに別の部位で大きな手術を経験している義母は「これ以上しんどい治療は避けたい」と、手術については否定的です。

今回のケースで言えるのは喫煙習慣ががんをもたらしただけでなく、治療法にも悪い影響をおよぼした、と言うことです。

もし、喫煙習慣がなければ、そもそも肺がんを発症しなかったかもしれませんが、たとえ発症したとしても、身体への負担が小さい治療法を選べたでしょう。

たばこにはそういうマイナスもあることを喫煙者は理解しておく必要があります。

■まとめ

あらゆる面で健康に対するダメージが大きい喫煙ですが、ニコチンには脳内物質を補う作用があるため、精神面ではストレスの解消につながることがあります。

ですから「百害あるが一利もある」と言えるかもしれません。その一利をどう評価するかは人によって異なります。非常に価値が大きい、という人がたばこを吸うのは間違っていません。

ただ、百害がつきまとう以上、それを無視するのではなく、なんらかの対策を講じながらうまく付き合うのが賢明な喫煙方法と言えそうです。

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