ビジネスの成果は心身の状態に大きく影響されます。より高いパフォーマンスを実現するためには精神と肉体の状態改善が有効です。

さまざまなメソッドがある中、今回は学習速度2倍、課題解決力が4倍にアップするといわれる状態に自身を導く方法について、解説します。

■超集中状態で学習速度2倍 創造性4倍に

スポーツを観戦していて、選手が神がかり的なプレイを連発するシーンを目にすることがあります。最近ではそういった状態にある選手を「ゾーンに入っている」などと言います。非常に強く集中することで、普段以上の力を発揮できるのがゾーンと呼ばれる状態です。

ビジネスにおいてもゾーンは効率や成果のアップをもたらします。同じ人が同じ作業を手がけても、脳の状態によってスキルを習得する速度や作業の出来映えには大きな差が生じます。

高い集中力を維持できれば、学びの効率が高く、優れたアイディアや作品を生み出せるのは、多くの人が経験していることです。

アメリカの心理学者、ミハイ・チクセントミハイ氏はこの高度に集中した状態を「FLOW」と名付け、学習速度は2倍、課題解決や創造性は4倍に高まる、という研究結果を発表しています。

■モチベーションアップと自意識の喪失etc

FLOWの状態には自分でも感じられるいくつかの特徴があります。

・時間の感覚をなくすほどの集中

・すべてをコントロールできている感覚

・自意識の喪失

・モチベーションのアップ

こういった特徴により、たとえばミュージシャンであれば、「演奏を失敗して笑われるのでは」といった自意識による不安がなくなります。演奏することに集中し、バンドのメンバーすべてをコントロールしているような感覚を持てるので、非常に質の高いステージを実現できるのです。

FLOWの状態にあるときには時間の感覚が希薄になります。集中して作業していると、「いつの間にか時間がたっていた」と感じることは珍しくありません。そういう感覚はFLOWの特徴であり、行われた作業は効率、品質ともにとても高くなります。

FLOWはさらにモチベーションにもつながります。脳の中にある報酬系が刺激されるため、学習や作業が楽しくなり、「もっとやりたい」と感じるようになるのです。

■脳波でわかったFLOWの状態

ビジネスや学習において、非常に価値が高いFLOWは単に主観的な感覚ではありません。FLOWを実感しているときには脳が一定の状態にあることが研究によりわかっています。

関西学院大学の研究者らが行った実験によると、脳の特定の部位が特別な状態にあるとき、作業をしている人がFLOWに入っていると感じるようです。

同大学で学生を対象として行われた実験では、「簡単な問題(正答率99.7%)」「適度に難しい問題(正答率54.4%)」「非常に難しい問題(正答率16.9%)」という3段階の暗算問題を解かせ、脳波が測定されました。

その結果、「適度に難しい問題」に取り組んだ際には、集中力の高まりやモチベーションアップなど、FLOWの特徴である主観的な感覚が報告されています。

また、主観的にFLOWの状態にあるとされたときは、前頭葉のシータ活動と右脳中央部のアルファ活動が活発化する、という特徴的な現象が見られました。このことからわかるのは、FLOWが単に「集中できている感じ」だけではない、という事実です。

脳を特定の状態に導くことができれば、意図的にFLOWを実現できるのです。

■重要なのは○○な環境と××な課題

脳をFLOWへと導くカギとなるのは、作業を行う環境と作業の難易度です。

前述した2つの脳活動のうち、前頭葉のシータ波増大が意味するのは集中力や認知制御能力の高まりです。脳には視覚や聴覚、嗅覚などを通じて、常に大量の情報が流れ込んでいます。

集中して効率よく作業をするためにはそういった情報の中から必要なものだけを選別して強く認知する必要があります。前頭葉のシータ活動が活発化している状態はこの集中と認知制御のはたらきが高まっている状態です。

作業する環境にストレス要因が多いと、集中してシータ波を出すのは困難です。うるさすぎる、暑すぎたり寒すぎたりする、椅子の座り心地が悪いなどの悪条件をできるだけ排することで、集中してFLOW状態を実現しやすくなります。

作業の難易度も脳をFLOWへと導くためには非常に重要です。関西学院大学の実験で観察された右脳中央部のアルファ活動はワーキングメモリのはたらきとつながります。

暗算をする際には提示されている数字を一時的に覚えるためにワーキングメモリと呼ばれる脳の機能を利用します。ワーキングメモリは必要な情報を短期的に置いておくメモリであり、暗算だけでなく多くの作業において活用されます。

問題の難易度が適切である場合にはこのワーキングメモリがうまく活用され、右脳中央部のアルファ波が増えることで、FLOWの状態に導かれるのです。

つまり、作業が簡単すぎても難しすぎても集中力を高めて質のいい仕事をするのは難しいということです。

したがって、行わなければならない業務の難易度が自分のスキルにとって適切でない場合には、条件を変えることがおすすめです。

たとえば、簡単すぎるなら、締め切りを少し早めに設定して「○時までに仕上げること」と自分で条件を決めると、難易度を上げられます。反対に難しすぎる場合には、手伝いを頼んだり、指定されている期限を延ばしたりすることで、調節できます。

そういった工夫によりFLOWの状態へと自身を導けば、集中して高いモチベーションを保ち、品質のよい仕事を実現しやすくなるはずです。

■まとめ

多くの人がFLOWを経験していますが、「あの時は集中していい仕事ができた」という記憶にとどめているケースが大半です。

今回、紹介したように意図的にFLOWの状態へと自身を導くことは可能です。これまで無意識のうちに行っていた仕事の環境や難易度の調節を「FLOW実現」という目的を持って行うことで、自身のスペックを高めることができるのです。

詳細はまだわかっていませんが、水素にも脳のはたらきを強化する作用がある、という研究結果がいくつか報告されています。

在宅であれば、仕事中でも使いやすいので、興味のある方は体験してみるのもおすすめです。

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