コラム

歳をとると病気がちになり、シワやシミが出て薄毛になるなど、外見が老けてしまうのは仕方のないこと――長くそう思われてきましたが、どうやらそんな老化を抑える方法が見つかったようです。

この記事では東京大学の研究者らが発表した老化のプロセスについて解説し、明日からできる抗老化のやり方を紹介します。

■高齢になると病気になり老けて見えるのは防げないのか

人の体内には一種の「時計」が内蔵されており、誕生と共に針が動き始めます。最初の20年ほどは成長の時期です。筋肉や骨が大きく太くなり、身体機能が発達します。脳など多くの臓器も発達し、免疫機能など身体を守るためのはたらきも強化されます。

ただ、20~30代でピークを迎えた後、多くの機能は経年とともに劣化していきます。シワやシミが増えたり、薄毛、白髪になったりするなど外見が老けるのに加え、健康を維持する能力も低下します。

30歳以降は8歳加齢するごとになんらかの原因で死亡するリスクが約2倍になる、との研究報告もあるほどです。世界一と言われる長寿を誇る日本でも、100歳以上まで生きられる人は2%程度にすぎません。

老化は避けられない現象というのがこれまでの常識であり、さまざまなアンチエイジング法が喧伝されてきましたが、人が老いる仕組みに対して、抜本的に効果を発揮する方法はほとんどありませんでした。

■老化するのは「老化細胞」が正しく排除されないせい

そもそも、人はなぜ老化するのでしょう? 身近な現象でありながら、老化のプロセスは長く謎のままでした。細胞の酸化や糖化が原因とする説もありますが、酸化や糖化は子供や若者の体内でも起きています。

最近になって、そんな老化の仕組みに関する研究が大きく進歩しつつあります。その結果、わかったのは「老化細胞」の蓄積によりさまざまな不具合が起きる、というプロセスでした。

人の細胞には通常、分裂する回数の制限があります。多くの細胞は50~60回程度分裂すると、その後は活動を停止します。これが老化細胞です。

老化細胞は通常、オートファジーと呼ばれる仕組みによって自死し排除されます。細胞内にあるリソソームという小器官には強い酸性の液体が内包されており、オートファジーではこの液により老化細胞が溶かされて再利用されます。

ところが、一部の老化細胞は排除されず、残存することがあります。そうなると炎症反応を促すサイトカインなどを分泌するようになるため、老化細胞が蓄積すると、体内のあちこちで慢性の炎症が発生します。

炎症が発生すると、免疫細胞が過剰に活動し、健康な細胞をも傷つけるケースが増えます。皮膚の細胞がダメージを受ければ、シミやシワが増えますし、毛母細胞がダメージを受ければ、薄毛や白髪になります。

臓器の細胞が傷つくと、正常に機能できなくなり、さまざまな疾病につながります。これが老化のプロセスです。

■抗老化のカギはリソソームのはたらきを阻害するGLS-1

それではいったいなぜ、通常はリソソームによって排除される老化細胞が生き残るようになるのでしょう? 東京大学医科学研究所の中西真教授らは昨年、この仕組みを解き明かし、著名な科学誌「SCIENCE」に投稿しました。

それによると、グルタミン代謝酵素(GLS-1)と呼ばれる酵素がリソソームのはたらきを阻害している、とのことです。GLS-1は重要なはたらきを持つ酵素の一つですが、作用する過程で細胞内に大量のアンモニアを産生します。

リソソームによるオートファジーでは酸性の液体により細胞が溶かされます。アルカリ性であるアンモニアが細胞内に存在すると、リソソームの酸性液が中和されてしまうため、老化細胞が排除されないのです。

東京大学医科学研究所の実験では、このGLS-1を抑える薬剤を老齢のマウスに投与して、経過を観察したところ、加齢によって生じる腎機能の低下や肺の線維化、肝臓の炎症などの症状が改善した、と報告されています。

■「活性状態の水素」で老化を抑制

不老不死は長く、人類の悲願でした。この記事で紹介した研究により、その悲願に大きく近づいたことは間違いありません。ただ、マウスに投与された薬剤が人に用いられるまでには今後、安全確認など多くの手順を踏む必要があります。

それまでの間にも人は歳を重ね老化していきます。新たな科学の成果を活かすためには、実際に利用できるまで、現在用いられるさまざまな手段を使って、老いを抑えねばなりません。

その手段の一つとして候補に挙げたいのが「活性状態の水素(H(H2O)m)」です。「活性状態の水素」には老化の仕組みに関わる過剰な炎症や免疫の暴走を抑えるはたらきがあることがわかっています。

積極的に摂取することで、抗老化の効果が期待できるので、現状で利用できるアイテムを探す際には、有力な候補の一つと言えます。

■まとめ

今回紹介した中西真教授の研究は政府が掲げる「ムーンショット目標7」の一つです。ムーンショット目標とは、破壊的なイノベーションをもたらす前人未踏の挑戦を指す言葉です。

このうち「7」として掲げられているのは「2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現」というもの。

具体的には慢性炎症を制御することで、平均寿命と健康寿命の差を縮めることを目指すプロジェクトであり、睡眠制御やミトコンドリア制御など、他にもいくつかの取り組みが並行して行われています。

「活性状態の水素」には慢性炎症を抑える効果があります。まだまだ研究の余地がありますが、今後、健康寿命の延伸につながる効果が見つかることも十分考えられます。

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