オンライン診療の適切な利用法について考えてみる

Medical Life Science Laboratory

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、特例措置として認められてきた初診からのオンライン診療について、政府は恒久化させる方針を示しています。

日本医師会が安全性の問題を指摘するなど、オンライン診療の導入についてはまだ紆余曲折が続いていますが、その先に控えているAI診療を含め、いずれは医療のオンライン化、IT化が進むのは確実です。

診療を受ける患者の側はそういった流れにどう対応すればいいのか、考えておく必要がありそうです。

■初診からのオンライン診療を今後も継続?

健康面の問題を感じたときにはクリニックや病院を受診して、医師の診断を受けて原因を特定し治療してもらう、というのがこれまでは一般的な医療の流れでした。

受診に際して、基本的には患者と医師が対面するものと定められており、テレビ電話システムなどを利用して行うオンライン診療が認められるのは、特定の条件を満たす場合に限られていました。

いくつかある条件の一つに「初診ではないこと」というのがありましたが、2020年4月から、厚生労働省はCOVID-19の感染拡大を防ぐ目的で、「初診でも可」としてきました。その後、約半年間の運用を受け、10月にはこの「初診でも可」を恒久化する方針を示しています。

はんこの撤廃などと同じく、社会のデジタル化を進めることで、行政や個人の負担を抑える動きの一環と考えるのが妥当です。日本医師会が慎重な姿勢を示すなど、反対意見もありますが、医療費の国家負担が大きな問題となる中、オンライン診療の利用は今後も拡大するものと考えて間違いないでしょう。

■アプリを使いテレビ電話で受診

オンライン診療を受けるためにはデジタル環境の整備が必要です。安定的につながるインターネット回線、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器、それらを使いこなすデジタルスキルがなければ、利用は困難です。

患者はまず、持っているスマホやパソコンにオンライン診療用のアプリケーションをダウンロードし、インストールします。そのアプリを使用して、オンライン診療に対応しているクリニック等に連絡して予約を取り、診療を受ける、という流れです。

受診する患者はアプリに組み込まれている問診票に必要事項を書き込み、医師はその情報をもとに、オンラインで患者の様子を見たり、病状などを聞き取ったりすることで、患者の状態を診断します。

診療後は処方箋や処方薬が医療機関から郵送されてきます。これまでは、リアルで診察を受けた後、オンラインに移行するものとされていましたが、現在は時限立法で初診からのオンライン診療が可能です。

■心配される誤診の増加 オンライン診療には問題も

オンライン診療にはリアルの診療に比べても優れた点がいくつかあります。たとえば、医療者と接触しなくても診療を受けられるので、コロナ感染のリスクを大幅に抑えることが可能です。

また、無医村や医師がいない離島などの住人に対して、遠隔医療を提供できるのもオンライン診療の大きなメリットです。障害があるなど、クリニックや病院への移動が大きな負担になる人もオンラインであれば、容易に診療を受けられます。

一方、オンライン診療で心配されるのが誤診の増加です。医師は患者の顔色や言動などからも病気につながる兆候を読み取りますが、リアルの診療に比べて、テレビ電話の画質では細かな情報を読み取れないことが考えられます。

さらには、聴診器を使ったり、触診したりすることもできないので、どうしても誤診したり、症状の程度を正しく判断できなかったりするケースが増えるおそれがあります。

■オンライン診療を安全に利用するための5カ条

指摘されているさまざまなリスクを抑えて、オンライン診療を利用するためには、患者の側にも次のような工夫が求められます。

①情報を漏れなく伝える

オンライン診療の基本は医師と患者とのやり取りです。医師にとっては患者が発信する情報だけが頼りなので、診療を受けたい健康上の問題について、患者は漏れなく情報を伝える必要があります。伝え忘れがないよう、病歴など、健康に関係すると思われる事柄はすべてメモしておくのがおすすめです。

②手元に資料を用意しておく

お薬手帳や直近に受けた検査や健康診断の結果などの資料は医師にとっては病状を判断する上で、非常に役立つ資料なので、オンライン診療を受ける際には、手元に用意しておきましょう。

③情報は時系列で伝える

医師に情報を伝えるときにはなるべく時系列で伝えます。症状や兆候を感じた時点から始め、現在にいたるよう話を整理すると、誤解なく医師に情報が伝わりやすくなります。

④できれば最初はリアルで受診する

オンラインで初めて顔を合わせる人の健康状態について判断するのは、どんな名医でも困難です。したがって、可能であればなるべく、最初のうちはリアルで受診するのがおすすめです。

⑤できればかかりつけ医のオンライン診療を受ける

かかりつけ医がオンライン診療をしている場合には、他の医師ではなくかかりつけ医を選ぶのが懸命です。普段から付き合いがある医師は患者についてさまざまな情報を知っているので、オンラインに移行しても的確な診療を提供してくれます。

■まとめ

5Gの普及もあり、オンライン診療は今後急速に普及が進むでしょう。将来的には医療におけるさまざまな分野の多くをAIが担う、とも言われており、医療のデジタル化はもはや確実にやってくる未来の一要素です。

過渡期にはトラブルが生じると思われるので、リスクを抑えるためには利用者である患者の側が賢く対応する必要がありそうです。

 

No Comments

Add your comment

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。