コラム

新型コロナウイルス感染症について、男性の方が重症化しやすい、というニュースが流れています。

ジェンダーレスが世界的な関心事となっていますが、実は健康についてはかなり大きな性差が存在します。今回はそんな男女の違いについて解説します。

■平均寿命6年差 基本的に長生きで健康なのは女性

一般によく知られている通り、男女を比べると、女性の方が病気に強く長生きです。新型コロナウイルス感染症についても、男性の方が重症化するリスクが大きく、ヨーロッパで行われた研究では、死亡率が1.35倍も高いことがわかっています。

2019年における日本人の平均寿命を見ると、女性87.45歳、男性81.41歳となっており、6年あまりの性差があります。

ただ、健康寿命――介護を受けたり寝たきりになったりすることなく生活できる年齢の限界については、2016年の統計で、女性74.79歳、男性72.14歳となっており、平均寿命よりもその差は小さめです。

その分、女性の方が介護を要する期間が長いのも健康上の性差として、最近では問題視されています。

■ホルモンが関係? 性差を生む先天的要因とは?

かかりやすい病気も男女で異なります。2019年の統計では悪性新生物(がん)による死亡は男性に多く、心疾患、脳血管疾患による死亡者は女性に多く見られます。

感染症についても、たとえば結核では男性の死亡率が10万人あたり2.3人なのに対し、女性は1.4人と少なめです。一方、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎による死亡率は女性の方が高く、男女比は1.6人:2.1人となっています。

こういった違いが発生する要因はいくつもあると考えられていますが、大きく分けると先天的な要因――生まれながらの男女差と、後天的要因――生活習慣などに分類できます。

先天的な要因として大きいのはホルモンの違いだと言われます。男性の体内では「男性ホルモン」と呼ばれるテストステロンが、女性の体内では「女性ホルモン」と呼ばれるエストロゲンが多く分泌されることで、健康状態にさまざまな差異が生じるのです。

女性に認知症や骨粗しょう症が多いのは、閉経によりエストロゲンの分泌が急激に減少するためだと言われています。

■健康を損なう後天的要因は男性に多い

健康に影響する後天的要因としていちばんにあげられるのは生活習慣です。日本を含むほとんどの文化圏で、喫煙や飲酒、栄養が偏った食事といった健康に悪影響をおよぼす生活習慣と関係性が深いのはどちらかと言えば男性です。

2018年の喫煙率は男性27.8%に対し、女性は8.7%と1/3程度にとどまります(JT発表資料より)。同じく、飲酒習慣がある人の割合も男性42.4%に対して、女性は15.0%(2016年厚生労働省資料より)と大きな差が見られます。

新型コロナウイルス感染症において、男性の死亡率が高いのはこういった生活習慣による違いが影響しているのではないか、とも言われています。

肉体面だけでなく、精神面の健康についても、男性の方が深刻なダメージを受けることが多いようです。国内では自殺が死因において一定の割合を占めますが、死を選ぶ人の7割は男性という統計があります。

多くの家庭で経済的な柱となっているため、収入源や失業といったお金の問題が発生すると、自殺に至る割合が高いのです。

■違いを理解して生活習慣を見直す

健康についての性差を理解することは病気などのリスクを抑えるのに役立ちます。たとえば、男性であれば、喫煙や飲酒を控えるのはもちろん、料理を覚えることが健康の維持につながります。

キッチンに立つ男性が増えたとはいえ、健康に配慮した料理をつくれる人の割合はまだ女性の方が多いため、メタボや糖尿病は男性の方が多いのです。

一方、女性は閉経後に訪れる体調の変化に備える必要があります。骨粗しょう症や認知症のリスクが一気に高まるので、その前に食事や運動によって骨密度を高めておいたり、頭を使う習慣を身につけておくことが大切です。

■まとめ

もともと先天的な違いがある男女が生きる上での有利不利を抑えるためには、特別な工夫が必要です。健康面におけるジェンダーレスは、先天的な差異を生活習慣によって埋めることで実現できるので、性差によるリスクと対応策を一度確認しておくのがおすすめです。

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