コラム

体内の水分量が足りなくなる脱水症は夏のもの、と思いがちです。実際には乾燥と寒さが厳しい冬にも起こりがち。さまざまな身体の不調につながるだけでなく、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症といった感染症のリスクにも関わるので、予防を意識したいトラブルの1つです。

この記事ではそんな冬の脱水症について、原因や影響、予防法などを解説します

■脱水症を起こしやすいのは夏だけじゃない

人の身体を構成する物質のうち、もっとも大きな割合を占めるのは水(H2O)です。成人では体重の60%を水が占めており、少し失うだけで体調に大きく影響します。

たとえば、4%失えば疲労や吐き気、情緒不安定といった症状が、8%失うと幻覚や呼吸困難、精神錯乱といった重篤な症状が現れます。

そんな脱水症がよく起きるのは、気温が上昇する夏期というのが一般的な認識でしょう。実際、夏期には熱中症と脱水症により体調が悪化し、中には救急搬送されるケースも珍しくありません。

しかしながら、脱水症を起こしやすい季節にはもう1つ、冬期があります。日本では冬になると、気温と湿度が低下します。また、室内では近年、暖房にエアコンを利用するケースが増えています。

エアコンは水蒸気を発生させることなく室温を上げるため、もともと湿度が低い冬の空気をより乾燥させます。冬期はそういった乾燥した環境にいることが多いので、皮膚や粘膜、呼気などから放散される水分量が増えます。

夏期のようにダラダラと汗をかくわけではないため、なかなか意識しづらいのですが、失ったと感じない水分の損耗――不感蒸泄が冬には増えるため、脱水状態に陥りやすいのです。

■水分が不足すると感染症のリスクが高まる

それでは、体内の水分が不足すると、人の身体ではどんなことが起きるのでしょう? さまざまな不具合が発生しますが、その1つとして注目したいのが、病原体に感染するリスクの増大です。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)やインフルエンザウイルスは乾燥を好みます。湿度が低い環境ほど、感染力を長く維持できるため、冬場は感染症が流行しやすいのです。

一方、人の身体が持つ防御機能の一部は体内の水分量が減ると低下します。たとえば、鼻や喉の粘膜には線毛と呼ばれる組織があり、付着した異物を胃へと送っています。線毛の運動により、その上を覆う粘液に流れを作って、有害な病原体等が細胞に侵入するのを防いでいるのです。

インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスが鼻や喉に付着しても、粘液輸送が適切に機能していれば、感染するリスクを抑えられます。

体内の水分量が減少すると、この粘液が少なくなってしまい、体内に侵入した病原体が鼻や喉の粘膜上にとどまるようになります。感染症を発症するリスクが高くなるのです。

■冷え性や脳梗塞、心筋梗塞なども引き起こす隠れ脱水

冬の脱水症は前述したように「気づきにくい」のが特徴です。大量に汗をかいて水分を失う夏期の脱水症は水分を失ったことを自覚しやすいのに対し、冬期は不感蒸泄が多いので、水分の不足を意識しにくいのです。

そのため、知覚しない脱水状態――「隠れ脱水」を抱えている人が少なくありません。

「隠れ脱水」が続くと体内では血液の循環が悪くなり代謝が低下します。酸素や栄養素、老廃物を運ぶ血液は90%以上が水分なので、脱水状態になると、粘度が高くなって血流が悪化してしまうのです。

その結果、代謝が低下すると冷え性や便秘といったトラブルが発生します。また、粘度が高くなった血液が血管に詰まるようになると、脳梗塞や心筋梗塞など命の危険をもたらす疾病を発症することもあります。

冬期に起きる脱水症は夏期に劣らず危険なのです。

■意識してとりたいコップ○杯の白湯

健康な人の場合、体内の水分が不足すると喉の渇きを感じるため、水分を補給できます。ただし、コロナ禍以降はマスクを着用する機会が増えているため、「渇き」を感じにくくなっています。マスクで口や鼻を覆っていると、粘膜が潤うので、喉の渇きを感じにくいのです。

冬期の脱水症を予防するためには、喉が渇いたと感じなくても、定期的に水分をとることが大切です。

成人は平均すると、1日あたり2.5リットルの水分を失います。尿や便、汗として排出するのに加え、不感蒸泄として失う分を合計すると、2リットル入りのペットボトル1本分以上の水分を体外に出しているのです。

日常生活ではもちろん、水分の補給も行われます。食事に含まれる水分に加え、体内では水分の合成が行われるので、平均すると1.3リットル程度の水分を人は普段の暮らしの中で得ています。

したがって、脱水症を予防するためには1日あたり1.2リットル前後の水分を意識的に摂取する必要があります。1杯あたり180ccとすると、1日に7回程度水やお茶などを飲めば大丈夫です。

水分は水やお茶の他、コーヒーや清涼飲料水など、なにから摂取してもいいのですが、冬期は冷えやすいので白湯がおすすめ。身体を中から温めることで、より高い健康効果が期待できます。

■まとめ

オミクロン株の流行が広がる中、健康状態を整える必要性が高まっています。体内の水分不足は冬期には気づきにくい問題なので、1日に摂取している水分量を一度見直してみてはいかがでしょう?

特に子供や高齢者は不足に気づいていないケースが多いので、家族も含めて、飲水量をチェックしてみるのがおすすめです。

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