「コロナはただの風邪」などと言う人が今もいるが、やはり違いは大きく、特に後遺症の問題は今後、多くの人の生活に影響することが確実です。

倦怠感などの全身的な症状や呼吸器障害さらには記憶障害まで発症することがわかっているので、そのリスクについてしっかり理解しておきましょう。

■COVID-19患者の2割に記憶障害

COVID-19は当初、肺炎を引き起こす感染症だと言われましたが、時間がたつ中で、消化器系や循環器系、神経系など、人体のさまざまな部位に害をおよぼすことがわかってきました。

現在ではさらに、「Long COVID-19」と呼ばれる後遺症を引き起こすことが判明しています。体内からウイルスがいなくなった後も、多様な障害が長く続くため、生活に支障をきたす人が少なくありません。

このコラムでもこれまで紹介してきた通り、後遺症の症状は非常に多様です。息苦しさや疲労感などに加え、記憶障害といった脳や神経の障害に苦しむ人も多く見られます。

研究により異なりますが、たとえば韓国の国立感染症研究所等が行った調査では、感染後12か月経過した時点で、記憶喪失を訴える人が19.9%にのぼっています。

同じく、アメリカの医師会誌に発表された研究では、COVID-19で陽性と判定された人の11%が記憶障害を報告。感染するとかなり高い割合で記憶にトラブルが生じる、という事実が世界的に周知されつつあります。

■脳がコロナ感染でダメージを受ける原因は主に2つ

新たにものごとを覚え、その記憶を維持するはたらきは脳の神経系が適切に連携して情報処理を行うことで機能します。COVID-19後遺症で記憶が障害されるのはそういった脳の機能が損なわれるためです。

その仕組みはまだ解明されていませんが、たとえば神経伝達物質をやり取りするのに重要な受容体(NMDA受容体)が損傷すると、記憶障害が起きることがわかっています。自己免疫性の脳炎を発症すると、この受容体がうまくはたらかなくなることがあります。

COVID-19患者はさまざまな自己免疫性疾患を発症するとすでに報告されており、神経系の損傷も珍しくありません。暴走した免疫系が記憶に関係する神経系にダメージを与えることは十分考えられます。

脳が損傷する大きな理由にはもう一つ、虚血性のトラブルがあります。COVID-19により、血栓ができやすくなることはすでに報告されています。脳の血管が血栓により詰まってしまうと、いわゆる脳梗塞を引き起こしてしまい、脳細胞はダメージを受けます。

ダメージを受けた部位が記憶に関係する細胞であれば、記憶障害を発症することになるでしょう。

■見つからない治療法と原子状水素

後遺症の研究は急ピッチで進められていますが、始まって日が浅いため、原因が確定し治療法が確立されるまでにはまだ歳月を要するでしょう。

その間、私たちが受けられるのは、基本的には対症療法だけとなります。息苦しければ酸素吸入、頭痛には鎮痛剤といった治療が限界であり、後遺症の原因にアプローチする根本的な治療は望めません。

むしろ、根本的な治療には、患者それぞれが取り組む必要がありそうです。食事や睡眠、運動といった健康の基礎となる要素を改善することで、体内の炎症を抑え、免疫のバランスを整えれば、後遺症を軽減し治癒できる可能性が高まります。

時間をかけて心身のバランスを取り戻すためには、鍼灸や漢方薬など、東洋医学的なアプローチも有効です。また、抗炎症や免疫の調節などのはたらきがある原子状水素の吸入も有効でしょう。

すでに、世界各国ではCOVID-19に対する水素の効果が研究されており、有効性を証明する情報が集まりつつあります。

■まとめ

記憶は人を人たらしめる大切な財産です。COVID-19に感染すると、1~2割もの人が後遺症として記憶の一部を失ってしまうのは、非常に大きな問題と言えます。

医療がまだ、有効な対策を見つけられない中では、大切な記憶を守り、後遺症からの回復につながる方法を私たち自身が見つけて、いざという時に備えておく必要がありそうです。

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