コラム

コロナ禍で生活習慣が大きく変わる中、病気の発症リスクにも大きな変化が見られるようになりました。特に増加している病気の一つに痛風があります。

尿酸の結晶がたまることによりある日突然、激痛に襲われる病気です。心疾患など大きな病気につながるほか、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを増大させることがわかっています。この記事ではそんな痛風予防について解説します。

■ステイホームで痛風患者が急増

コロナ禍により多くの人の生活習慣が激変しました。外出を控えるよう「ステイホーム」が推奨されたり、働いている人に対して出勤の機会を減らすよう「テレワーク」が導入されたりしたことで、運動量や食事など健康に影響する要素にも大きな影響が現れています。

そんな生活の変化により、増えている病気の一つが痛風です。2021年7月に日本生活習慣病予防協会が行った医師を対象に行ったアンケート調査では、約半数の医師が痛風で受診する患者が増えている、と回答しています。

痛風は血液中の尿酸値が高くなることで起きる病気です。増えた尿酸が関節の中で結晶化し、神経を刺激するようになると、その名の通り、「風が当たっても痛い」というほどの激痛に襲われます。

尿酸値が高くなる要因として知られているのが偏った食事と運動不足です。尿酸のもとになる栄養素を摂りすぎたり、運動不足が続いたりすると、尿酸値が上昇し痛風を発症しやすくなります。

■高尿酸値は腎不全やコロナ死のリスクに

痛風を発症すると、多くの場合「足の親指」に強い痛みを感じます。通常は数日でひいていくため、「のど元過ぎれば……」という人も少なくありません。

ただ、足の親指が痛むのは尿酸値が高いせいであり、放置するともっと重篤な病気につながる恐れがあります。特に問題視されているのが腎不全との関係です。

琉球大学病院の井関医師らが発表した論文によると、末期腎不全患者のうち血清尿酸値が7.0未満の人は1000人中1.22人にすぎませんが、7.0以上の人では4.64人にのぼっています。

尿酸値が高い人が末期腎不全になるリスクは尿酸値に問題がない人に比べ、4倍程度高いのです。

腎機能の低下により尿酸値が上がるケースもあるため、一概に尿酸値が高いことで腎不全が起きる、とは言えません。ただ、尿酸の結晶が腎臓にたまると、慢性腎不全の原因になり得るので、高尿酸値が腎臓にとって大きなリスクとなるのは事実です。

新型コロナウイルス感染症についても、高尿酸値は大きなリスク要因になる、と言われています。慶應義塾大学の研究グループが発表した解析では、高尿酸血症があると新型コロナウイルス感染症になった場合の死亡リスクが高くなると発表されています。

コロナ禍の中で増えている高尿酸値は新型コロナウイルス感染症のリスクを押し上げる要因でもあるのです。

■高尿酸値になる原因

尿酸値が高くなる主な要因は前述の通り食事と運動不足です。高尿酸値になると、「プリン体を控えて適度な運動を」と指導されるのはそのためです。

プリン体は体内でエネルギーとして消費される物質であり、尿酸はいわばその燃えかすです。プリン体は細胞内にある核酸を構成する物質でもあるので、古い細胞が壊される際にも発生します。

プリン体から発生した尿酸は身体にとって有害な物質なので、尿や便として排泄されます。ただ、産生される量が多すぎたり排泄する能力が低下したりすると、血液中の尿酸濃度が高くなってしまい、高尿酸値になります。

運動の中でもベンチプレスなどの激しい無酸素運動は尿酸値を上げる原因となります。細胞の代謝が活性化しすぎてしまい、尿酸を大量に産生してしまうためです。スポーツ選手が痛風になる場合、過剰な運動が原因となっているケースも少なくありません。

■まずは健診を受けて予防を心がける

痛風になればわかりますが、日常生活の中で自身の尿酸値を知る機会はほとんどありません。コロナ禍の中で重症化や死亡のリスクを避けるためには、健康診断を定期的に受けて、自身の状態を把握しておくことが大切です。

その上で、尿酸値が高めなら、食事制限やウォーキングなどの有酸素運動を心がけましょう。食事制限で大切なのはプリン体をなるべく摂取しないことです。鶏レバーや干物などプリン体が多い食べ物はインターネット上などで紹介されているので、参考にするのがおすすめです。

肥満も尿酸値を上げる要因になります。日頃、意識的に運動していなかった人の中には、「実は通勤によりカロリーを消費していた」という人もいます。

テレワークになり、歩く量が減ると体重が増えがちなので、有酸素運動を習慣にするとよいでしょう。

■まとめ

高血圧や高脂血症などと並んで、高尿酸値は健康上の大きな問題です。ただ、痛風になるまで、自覚しないことが多いため、コロナ禍の中では潜在的な脅威の一つと言えます。

自身の生活を振り返ってみて、尿酸値に問題がありそうなら、早めに予防を意識することをおすすめします。

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