コロナ禍で求められている「発達障害」という問題との向き合い方

Medical Life Science Laboratory

世界的なコロナ禍で、生活や仕事の環境が激変しています。発達障害を抱える人にとって、非常に厳しい状況であり、問題の軽減につながる方策を求める人が急増しているものと思われます。

発達障害に対する理解を深め、個別に有効な対策を模索する必要がありますが、酸化ストレスが関係しているとの報告もあり、水素の摂取が改善につながる可能性もありそうです。

■発達障害は脳機能の偏り

発達障害は一言でいうと、脳のはたらきが偏っていることで起きる障害です。

普通の人が何気なくできることができなかったり、人付き合いでしばしばトラブルを起こしたり、といった問題を抱えているケースが多く、問題を抱えていても自身の障害に気づいていない人も少なくありません。

以前は親の育て方が原因、と言われましたが、最近では先天的な脳機能の偏りのせいで起きることがわかっています。

脳は部位ごとに違う役割を担っています。たとえば、大脳の前側にある前頭葉は情報の統合や行動のコントロール、感情のコントロールなど、複雑な情報処理を行うので、「人を人たらしめる脳」とも呼ばれます。

脳の上側にある頭頂葉は空間の把握や皮膚への刺激や自分の身体の動きといった情報を感じ取る部位ですし、大脳の後ろ側にある後頭葉は主に視覚情報を処理します。

このように、部位ごとに異なる脳のはたらきを適切に統合することで、人はものごとの微細な違いを感じ取ったり、複雑な思考、精度の高い運動を行ったりすることができるのです。

ところが、脳の機能はひとりひとり違います。顔立ちに「目が大きい人・小さい人」「鼻が高い人、低い人」といった違いがあるように、脳にも「○○の機能が強い・弱い」という違いがあるのです。

いわば「脳の個性」ですが、個性が強すぎると、他の人たちとものの感じ方や考え方、行動などに大きな違いが現れることがあります。そういった違いにより生活に支障が出る状態を発達障害と呼んでいるのです。

■アスペルガー、ADHD、LD……発達障害は傾向別に分類されている

発達障害は特徴的な傾向別に分類されています。アスペルガー症候群に代表される「自閉症スペクトラム」が有名ですが、他にも落ち着いて一つのことに集中するのが極端に苦手なADHD、知能障害がないにもかかわらず、学習が苦手なLDなどがあります。

同じ障害に分類されている人でも、現れ方はさまざまです。個人差が大きい上、1人で複数の障害を抱えているケースも多く、問題の複雑さや対処方法はそれぞれ異なります。

代表的な問題には下記のようなものがあります。

①記憶の整理が苦手

一般の人は情報を整理して記憶します。たとえば、「左手の薬指にサファイヤ、右手の中指にダイヤのついた指輪をしていて、高級ブランドの服を着ている人に出会った」という出来事があった場合、「お金持ちそうな身なりの人だった」と記憶します。

よほど重要な出会いでなければ、宝石の種類や洋服のデザインなどは覚えていないのが普通ですが、発達障害を抱える人の中には視覚等の情報をそのまま記憶する人がいます。

その場合、非常に古い出来事を昨日のことのように思い出せる反面、情報を統合できないので、順序立てて人に話したり、その記憶からなにかを類推したりすることが難しい、という問題につながることがあります。

②学校や職場で人とうまく付き合えない

主にアスペルガー症候群等の自閉症スペクトラムに多く見られる問題です。人が話す言葉の裏側や行間、場の空気を読むのが苦手なので、対人関係がうまくいかないことが多いのです。

大脳前頭葉の下前頭回と呼ばれる部位の活動が低いため、とも言われます。下前頭回には人の言動に共感するミラーニューロンと呼ばれる神経系があるため、はたらきが弱いと、不適切な言動を選んでしまうことがあるのです。

③環境の変化や刺激に適切に対応できない

発達障害を抱える人は些細な変化や小さな刺激で大きなダメージを受けることがあります。知覚した変化や刺激の情報を適切に処理できないため、「通学バスのルートが変わった」「職場でミスを指摘された」といった出来事が、精神や肉体の大きな反応を引き起こしてしまうことがあるのです。

■偉人の多くは発達障害だった、という説も

このように、脳機能の偏りはさまざまな「生きにくさ」をもたらしますが、その一方で特別な才能につながるケースも見られます。

京都大学の正高信男教授は著書の中で、トーマス・エジソンやアルベルト・アインシュタイン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ウォルト・ディズニー、織田信長、葛飾北斎などの名前を挙げて、発達障害があったのではないか、と語っています。

発達障害を持つ人がそういった天才性を見せるケースは「サヴァン症候群」と呼ばれます。サヴァン症候群に多いのは芸術部門や数学、記憶などについて、突出した才能を示すケースです。

発達障害の中では自閉症スペクトラムに多く、10人に1人程度の割合で発症すると言われます。

発達障害とされた偉人たちが本当のところはどうだったのか、は今となってはわかりません。ただ、生きにくさと特別な才能は表裏一体であり、どちらも脳機能の偏りによってもたらされる、という説には一定の説得力があります。

■生きにくさや生きにくい人とどう付き合えばいいか

ただし、発達障害を抱える人の多くはやはり特別な生きにくさを感じながら日々を送っています。集団生活に馴染みにくいため、不登校や離職を経験する人が多く、障害の程度にもよりますが、幸福に暮らすのは容易ではありません。

医学誌「The Lancet Psychiatry」に掲載されたイギリスにおけるコホート調査の結果によると、一般的な成人が自殺する割合に比べ、アスペルガー症候群と診断された人が自殺したいと考えたり自殺を試みたりする割合は9.6倍も高いとされています。

そういった生きにくさを軽減するためには発達障害の原因である脳機能の偏りや、その偏りが対人関係や生活にどう結びついているのかを理解することが大切です。理解した上で、軽減につながるさまざまな工夫をすれば、生きにくさを効果的に抑えることができます。

■活性酸素を抑えると自閉症スペクトラムを軽減できる?

発達障害は個別性の大きな問題です。そのため、すべての人に有効な対処法というのがなかなか見つかりません。そんな中、酸化ストレスの抑制によって自閉症スペクトラムの改善が図れる、とする研究報告があります。

福井大学子どものこころの発達研究センターの松崎秀夫教授が発表した論文では、自閉症スペクトラム症の対象者の酸化ストレスをサプリメントにより軽減したところ、社会性や異常行動、コミュニケーション能力などの指標が改善された、と報告されています。

この研究では、自閉症スペクトラムとミトコンドリアの機能異常の関係についても考察しています。

水素については言及していないので、明言することはできませんが、サプリメントよりも抗酸化力がはるかに強く、ミトコンドリアの機能にも作用する水素の摂取が自閉症スペクトラムに効く可能性はある、と考えることはできそうです。

■まとめ

コロナ禍で社会の様相が急変する中、発達障害を抱える人にとっては「いつもの日常」がなくなってしまったことが、大きなストレスとなっています。本人やご家族を支援する公的な枠組みも多々あるので、問題が深刻化する前にそういった機関に相談してみるのもおすすめです。

 

No Comments

Add your comment

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。