コラム

ビジネスの現場で浸透しはじめている言葉に「健康経営」というのがあります。その名の通り、社員の健康を重視した経営のことであり、このたび経済産業省が企業の取り組みを数値化して公表する方針を示しました。

社員の健康は倫理的な課題だと思われがちですが、コロナ禍などで働く環境が大きく変わる中、経済的な成果に直結する取り組みとして、今後は見直す必要がありそうです。

◆経産省が社員の健康管理を評価

社員の健康度合いは企業の価値を決める要素の一つであり、投資家にとって知りたい情報の一つでしょう。経済産業省はこのたび、そんな投資家のニーズに応えて、各企業の労働環境を評価する取り組みとして、健康経営の度合いを数値化することを発表しました。

背景にあるのは働く人の健康維持に企業が努めることで、海外に比べて低いと言われることが多い労働生産性を高めたい、という狙いです。

これまでも健康経営に取り組む企業については「健康経営優良法人」などの認定を行ってきましたが、数値化することでより差別化しやすくなり、企業間の競争を促す意図もあると考えられます。

◆生産性の向上等 企業にとってのメリット大

健康経営は社員のために行うもの、というイメージがありますが、実は経営者にとってもメリットの大きな取り組みです。

社員の健康度合いは生産性に直結します。病欠が増えれば、生産性が落ちるのはもちろんですが、出社して働ける状態であっても、健康状態が良好な場合とそうでない場合では成果に差が現れます。

健康状態の低下は離職に直結します。独立行政法人 労働政策研究・研修機構が行った調査によると、「初めての正社員勤務先」を離職した理由でもっとも多かったのは「肉体的・精神的に健康を損ねたため」という回答でした。社員の健康維持に努めることは離職率の引き下げにつながる取り組みなのです。

もちろん、企業のイメージアップ策としても大きな効果が期待できます。最近では、「健康経営優良法人」に認定されるとリクルーティングで有利になる、という声も高まっており、人手不足に悩む企業が増える中、効果の大きな対策といえます。

◆社員の健康は中小企業にとって死活問題

社員数が多い大企業では、ある社員が体調を崩してリタイヤしても、他の社員に業務をだいたいさせることが可能です。ところが、社員数が少ない中小企業の場合には、同等の経験値や能力を持つ社員が少ないため、誰かがリタイヤすると穴埋めができない、という問題が生じます。

特に、中間管理職にはその会社の屋台骨を1人で支えているような人材がいるケースが多く、彼、あるいは彼女がリタイヤすると、会社の業務がストップしてしまうことも珍しくありません。

代わりがいないから負担が大きく、休めない、といった事情もあり、無理を重ねてしまった結果、倒れてしまう人が多いのも中小企業の特徴です。また、どうにか代わりを務められる人材がいたとしても、その人ももともと多忙なので、業務が重なり倒れてしまう、というドミノ倒しが起きることもあります。

◆基本となるのは生活習慣病の改善

健康経営の基本は社員の自助努力をサポートすることです。ワークライフバランスの改善といった企業側の努力も必要ですが、社員が自身の健康を意識し、日常生活の中で、健康を守る取り組みができるようサポートすることがもっとも重要です。

糖尿病や高血圧症などは「生活習慣病」という名前の通り、食事や運動、睡眠といった生活習慣が原因で悪化していきます。それを防ぐためには健康に対する社員の意識をまず改善し、業務の一環として健康改善策を導入することが有効です。

具体的には昼休みにシエスタ(昼寝)を取り入れる企業が最近では増えています。日中に15~20分程度の仮眠をとるだけで、心疾患などの病気を予防できます。

短時間でもリフレッシュ効果が大きく、仕事の効率もアップすることがNASA(アメリカ航空宇宙局)の研究でも報告されており、マイクロソフトやアップルなど、欧米の大企業でも導入されています。

◆原子状水素の吸入も有効

原子状水素の摂取も効果の大きな手段と言えます。30分程度の吸入でも、免疫力の調節や抗炎症、血管の若返りなど、健康維持に役立つ効果が生まれることがわかっており、生活習慣病の予防につながります。

働く人の健康において大きな問題となっているうつについても、原子状水素には一定の効果が期待できます。体内で炎症が起きると、免疫反応の一環として炎症性サイトカインと呼ばれる物質が細胞から大量に放出されます。

炎症性サイトカインは脳において疲労感や気分の落ち込みを引き起こすため、炎症を抑えることはうつなど精神的な問題の軽減に有効だと考えられます。実際、広島大学で行われた研究では、脳の炎症を抑える薬(TSPO阻害剤)がうつに効くことが報告されています。

アプローチの方法は異なりますが、抗炎症効果が立証されている上、副作用がない原子状水素は非常に使いやすい対策だと言えます。

◆まとめ

経営者や投資家にとって健康経営は利益の追求という面からも大きな効果が期待できる取り組みです。コロナ禍で働き方が激変し、健康を損なう人が増える中、さまざまな方策をいち早く取り入れることで、競合他社に打ち勝って経済的な危機を乗り切れる可能性が高まる、と考えられます。

Categories: