コラム

重症化をいかにして防ぐか――withコロナの時代に健康を維持する上では、感染予防より重症化予防が重要です。

糖尿病や高血圧などの基礎疾患が重症化をもたらす非常に大きなファクターであることがわかっていますが、歯周病も危険な基礎疾患の1つ、とする声が専門家の間で上がり始めています。

■歯周病が悪化すると体内のサイトカインが増える

歯周病は歯石等がたまることで、繁殖した細菌により、歯の周りにある組織が炎症を引き起こす病気です。ひどくなると、出血したり歯が抜けたりするなど、いろいろな症状が現れます。

また、血管内に入り込んだ細菌により感染症が起きるのにともなって、体内でサイトカインという物質が大量に分泌されるようになります。

サイトカインは免疫細胞を活性化するはたらきを持つ物質です。活性化された免疫細胞は細菌やウイルスに感染した細胞を攻撃することで、病原体の増殖を抑えます。

通常、このはたらきは身体を守る仕組みの1つですが、サイトカインが増えすぎると、活性化された免疫細胞が健康な細胞までひどく攻撃するようになります。これがサイトカインストームです。

■歯周病がサイトカインストームをもたらす

COVID-19はサイトカインストームを引き起こすことで重症化することが知られています。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した患者の体内で、サイトカインが過剰に分泌されることがあります。免疫細胞に攻撃されたいろいろな臓器がダメージを受けると、多臓器不全を発症し、差異額の場合には死にいたってしまうのです。

サイトカインストームが起きるかどうかの分かれ目は多々ありますが、その1つがもともとのサイトカインの量だと考えられています。SARS-CoV-2に感染する以前から、体内に隠れた炎症があり、血液中のサイトカインが多いと、サイトカインストームがおきやすいのです。

前述したとおり、歯周病が悪化すると、体内のサイトカイン量が増えるので、COVID-19に感染した場合に重症化するリスクが高くなる、と考えられます。

■細菌の出すプロテアーゼが粘膜を傷つける

歯周病にはもう1つ、粘膜を保護する物質を減らすはたらきもあります。歯周病のもととなる細菌には「プロテアーゼ」と呼ばれる酵素を作り出すものがいるためです。

「プロテアーゼ」にはたんぱく質を分解する作用があるので、歯周病菌が増えると、喉の粘膜がダメージを受けるようになります。人の口内や喉の粘膜には通常、ウイルスや細菌の感染を防ぐはたらきがあるため、病原体と接触しても簡単には感染しません。

しかしながら、歯周病菌が増えて粘膜がダメージを受けると、感染を防ぐはたらきが低下し、病原体に感染しやすくなるのです。

■水素には歯周病による感染リスクの増大抑制が期待できる

歯周病の予防や改善には歯科医院でのチェックや治療、さらには正しい歯磨きなど、日常のお手入れが有効です。

さらに、最近では唾液に歯周病を予防する効果があることや、口内の細菌叢をケアすることでも予防や改善が期待できることがわかってきました。ドライマウスを防いだり、乳酸菌タブレットを利用したりすることでも、改善が期待できるのです。

そんな中、水素にも歯周病の改善効果があることがわかっています。2011年に岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の森田学教授のグループがラットを使って行った実験では、水素水を摂取させることにより、歯周病の進行を抑えられることが判明しました。

これまで、このサイトで解説してきた通り、水素には炎症を抑える効果や免疫力を調節するはたらきがあります。今後、人における効果の確認が不可欠ですが、水素の摂取が歯周病の予防や改善に役立つことは十分に考えられます。

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