スポーツで子供の能力を伸ばすために必要なこと

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東京五輪を控え、スポーツを始める子供が増えています。スポーツは心身の健全な育成に役立ちますが、そのためには子供の運動能力や健康について、親や指導者が正しい知識を持つことが欠かせません。

■スポーツ経験は心身の成長に好影響を与える

スポーツは子供にとって心身の成長を促す大きな要素です。身体を動かすことで、筋力がアップし、心肺機能が強化される他、反射神経や平衡感覚など、脳の機能も向上します。

プレー中は状況を判断して、的確に身体を動かすことを求められるので、スポーツには神経系の発達を促すはたらきがあるのです。

さらに、心理面でもスポーツには良い作用が期待できます。ルール遵守や協調性といった社会性が身につくのに加え、努力が達成感につながる経験は脳の報酬系を強化してくれます。

報酬系は人が目的を達成できるよう、特定の行動を続けさせる脳の回路です。苦しい練習に耐えて、仲間からの賞賛や勝利といった報酬を得た経験により、強化されると、「頑張ればよいことがある」と考える傾向が強まります。

すなわち、よりハードな状況に耐えやすくなるので、将来的に勉強や仕事の面でも、成功する確率が高くなる、と考えられます。

■大切にしたいゴールデンエイジ

子供とスポーツの関係で特に意識したい事柄に、ゴールデンエイジがあります。子供はあらゆる能力を一直線に成長させるわけではありません。能力により、著しく伸びる時期と停滞気味になる時期が見られます。

能力ごとのこういった成長の度合いについては、アメリカの人類学者であるR.E.スキャモンが発表した成長曲線(下図参照)がよく知られています。

(画像引用元:国立スポーツ科学センター刊 「女性アスリート指導者のためのハンドブック『発育・発達について』」)

20歳の段階を100%とし、各年齢における能力を示したのがこの成長曲線ですが、一目見てわかる通り、神経型は4歳までに急成長し、12歳でほぼ大人と同じレベルに達しています。

状況を感知して、身体を適切に動かそうとする神経の働きは幼少時に急成長するのです。こういった「ある能力が急成長する年齢」をゴールデンエイジと呼びます。この時期に意図して身体を動かすことで、脳や神経、感覚器など神経系の発達を促すことができるのです。

■サッカー強豪国のイタリアでは「休息こそ最高の練習」

子供がスポーツに親しむことは、心身にさまざまな好影響をもたらしますが、「とにかく運動させればいい」というわけではありません。国内では近年、スポーツによって子供がケガをしたり障害を負ったりするケースが問題視されています。

背景にあるのは過度な精神主義にもとづく過度な練習です。子供の肉体的な強度は個人差が大きいため、適切なトレーニングの強度や量はそれぞれ異なります。国内では「チーム一丸」を重視するあまり、ケガにつながる練習を指導者が強要するケースが少なくありません。

一概に海外が素晴らしい、とは言えませんが、たとえばイタリアの少年サッカー界には「休息こそ最高の練習」という言葉があります。指導者がやるべきことは子供が「もっと練習したい」とねだるような環境を作ることであり、それぞれの状態をしっかり確認して休ませること、だというのです。

日本とは真逆の指導ですが、イタリアはW杯でも4度の優勝を誇る世界に冠たるサッカー王国であり、そういった指導が結果に結びついているのは事実です。

アメリカではシーズンごとに多種目のクラブ活動

国内では「一つの種目」にこだわる傾向が強く、その点も子供の成長を目的とするなら、ズレている、と考えられます。アメリカでは1年をいくつかのシーズンに分けて、1人の選手が野球、バスケットボール、フットボールなど複数の部活動に参加するのが一般的です。

その方が脳や神経系、身体の各部の筋肉などを偏りなくビルドアップできる、というのは理にかなった考え方でしょう。実際、アメリカで常識とされている育成のメソッドにより、メジャーリーグやMBA、NFLといった世界最高の舞台で活躍する選手が次々と生まれています。

学校に部活動が存在するのは子供の成長を支援するためです。そのことを考えれば、多様なスポーツに親しむことをもっと奨励すべきでしょう。

まとめ

子供がスポーツに励むことは、成長の促進につながります。ただし、一昔前に比べ、スポーツに親しむ場の組織化が進む中、指導者の影響力が非常に大きくなっています。健康増進や心身の成長を促すための知識や見識のある指導者に出会うことが、非常に大切だと思われます。

 

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