コラム

健康のためや楽しみを目的に、ランニングを生活習慣の一つとしている人は少なくありません。実は私自身もその1人ですが新型コロナウイルス感染が心配される中、マスクを着用するかどうかは悩ましいところです。

ランニングの際にマスクを着用すべきという声も

新型コロナウイルス感染症が蔓延する以前、マスクを着けて走る人は稀でした。着用して走ってみると、どうしても息苦しい上、マスクの中に呼気の湿気が貯まるので不快だからです。

ところが、今回、新型コロナウイルス感染が心配される中では、「マスクを着けて走るべし」という声がちまたではよく聞かれます。たしかに、ランニング中はどうしても呼吸が荒くなるため、飛沫が飛びやすくなります。

他人が飛沫に接触しないよう配慮することは感染予防の鉄則なので、人がいるところで走るのであれば、人との距離を常に大きくとるコースどりを心がけるか、マスクを着用することが求められます。

ランナーと出会った人の不安を軽減する意味でも、マスクの着用は有効です。不快感や多少の息苦しさがマスクの問題だとするなら、ランニング中のマスク着用はエチケットと言えるかもしれません。

マスク着用のランニングで死者が出ている

ただし、ランニング中のマスク着用については不快感や息苦しさを上回る大きなデメリットがあるのでは、という情報が中国から届いています。

体育の授業中、マスクを着用してランニングをしていた子供が死亡するケースが相次いでいるというのです。直近だけで3例の報告があり、これはかなり高いリスクだと感じられます。

いずれも、短時間のうちに意識を喪失して倒れて、その後死亡しており、原因はわかっていません。現状では、十分な呼吸を確保できなかったために低酸素血症を発症した、あるいは熱がこもってしまったことで熱中症を発症した、などの可能性が指摘されています。

密閉度合いが高い医療用のN95マスクを着用していた子供がいた他、あるケースが起きたときの気温は20℃だった、と言いますから、いずれの可能性も考えられます。

マスクを着けてのランニングは避けるべき?

まだ3例のみの報告であり、原因もわかっていませんが、マスク着用が原因である可能性は否定できません。健康の維持を目的としてランニングをする人にとって、マスクを着用して走ることはかなり矛盾した行為と言えそうです。

もちろん、ランニングを諦めるのも一つの選択肢ですが、ステイホームが続く中、運動不足やストレスが健康に与える害は小さくありません。私自身にもその傾向がありますが、「どうしても走らずにいられない」という人も多いでしょう。

幸い、私は人が少ない地域に住んでおり、里山を主なランニングコースにしているので、走っている最中に人と出会うことはほとんどありません。そのため、マスクは着用していませんが、それでも人の姿が見えたときには、すれ違う際に10メートル以上の距離をとって歩調をゆるめ、すれ違う際には息を止めています。

都市部で何人もの人とすれ違う場所では不可能な対応でしょう。では、マスクがもたらす健康上のリスクを抑えながら、自分が感染源にならないためにランナーはどうすればいいのでしょう?

バフやネックガードが使えるが、熱中症には要注意

実は京都大学の山中伸弥教授が早くからそんなランナーの悩みについて、解決策を示してくれています。山中教授ご自身も京都マラソンで3時間半を切るタイムを記録するなど、ランニングの愛好者なので、マスクを着けてのランニングが辛いことはよくご存じの様子。

そんな教授が推奨されているのはバフと呼ばれる筒状の繊維製品で口元を覆うこと。バフは頭や顔、首を覆うなど、いろいろな使い方ができるもので、ネックガードなどでも代用できます。

マスクとは違って口や鼻に密着しないため、呼吸の妨げにならず、湿気もあまりこもりません。ただし、熱はこもるので、これからの季節は熱中症にはやはり注意が必要です。

熱中症は体調によっても発症のリスクが大きく変わるので、昨日大丈夫だったから今日も大丈夫、とは言えません。暑いと少しでも感じる日はランニングを控えたり、走っていて暑さを感じたら、早々にペースを落とすなど、普段にも増して気をつけることが大切です。

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