日本を始め、ワクチン接種が進んだ国でも、いまだに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が止まりません。「ワクチンに効果はない」とする声も上がり始めていますが、本当のところはどうなのでしょう?
実は体内で産生される抗体にはいくつかの種類があり、それぞれ役割が異なります。そのことがわかれば、ワクチンのはたらきや今後のなりゆきについて、正しく理解できるようになります。
■ワクチン接種は無駄? 接種率を上げても止まらない感染拡大
「ワクチンを打てばコロナ感染を防げる」「ワクチンを打つ人が増えれば、集団免疫ができてもとの暮らしに戻れる」――そんな希望のもと、世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が進められてきました。
ところが、ふたを開けてみると、ワクチン接種率が高い国でも感染拡大がいまだ続いています。たとえば、イギリスでは必要回数の接種を終えた人が65%を上回る(2021年9月25日時点)ワクチン先進国の一つです。
にもかかわらず、9月23日の新規感染者は3万5000人あまりにのぼっており、日々の感染者数は高止まりしています。
ドイツも必要回数接種率が63%と、ワクチン接種が進んでいる国の一つですが、同日の新規感染者数は1万300人と報告されており、接種が普及する前とあまり状況が変わっていません。
日本はと見ると、ワクチン接種率は56%程度です。接種が進んでいるイメージがあったアメリカを少し上回る高さですが、第5波がようやく収束しつつある状況であり、ワクチンの効果を実感するのは困難です。
日本で採用され、利用されているファイザー社製、モデルナ社製のワクチンについて、これまでは2回接種で十分な感染予防効果が期待される、と報じられてきました。
それにより、集団免疫を確保するのが政府の方針でしたが、「ワクチン接種で集団免疫は獲得できない」とする声がここにきて急速に高まっています。
■抗体には主に4つの種類がある
実は現下の状況はワクチン接種を始める前からある程度、予想されていました。政府はワクチン接種により、すぐにでも集団免疫が実現できる、と受け取れる発言をくり返してきましたが、ワクチンの性質上、感染予防効果は限定的だろう、と考えることができたのです。
新型コロナウイルス感染症に限らず、ある病気に対するワクチンを打つのは、病気の原因である抗原を除去する仕組みをあらかじめ体内に設けておくためです。
抗原の除去において大きなはたらきをするのが抗体です。特定の抗原と結びつく特殊なタンパク質で、人の場合は体内に5種類の抗体を持っていることがわかっています。
IgA抗体:鼻や喉、眼球などの粘膜に多く存在する抗体です。抗原と最初に接触する抗体であり、感染防御においてもっとも大きな役割を担っています。
IgM抗体:ウイルス等に感染すると、最初に作られる抗体です。感染の初期に抗原に対してはたらきます。
IgG抗体:病原体の除去において、中心的なはたらきをする抗体です。大きな効果を持つ反面、産生されるのに時間がかかるという問題があります。
IgE抗体:花粉症などのアレルギー反応を引き起こす抗体です。
IgD抗体:抗体の産生誘導等に関係するなどと言われていますが、詳しいことは未だわかっていません。
現在使用されているワクチンによって増えるのは、この5種類のうち、IgG抗体だけです。基本的には感染予防ではなく治癒を担う抗体なので、ワクチンによって体内であらかじめ産生しておけば、重症化する前にウイルスの増殖を抑えたり除去したりできる可能性が高まります。
国内で7月下旬以降起きた第5波において、感染者は爆発的に増えたものの、高齢者等これまでなら死亡率が高かった層では重症者や死亡者の数が低く抑えられました。
これはワクチン接種によりIgG抗体が作られたため、と考えることができます。
■感染予防のカギは粘膜のIgA抗体
COVID-19は中等症であっても高熱や呼吸困難などの苦痛をともない、感染者の4割前後は長く続く後遺症に苦しみます。ワクチン接種により重症化や死亡のリスクを抑えられるとしても、感染そのものをできるだけ避けたいところです。
感染予防のカギとなるのは、残念ながらIgG抗体の産生を促す現行のワクチンではありません。カギとなるのは感染経路である鼻や喉、眼球にあって異物の除去を担うIgA抗体です。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)には変異の速度が速いという特徴がありますが、IgA抗体は類似の抗原についてはかなり幅広く反応する性質――高い交差反応性があるため、いわゆる亜型のウイルスを不活性化できます。
IgG抗体に比べても交差反応性が高いため、次々に新型の変異株が出たとしても、効果が失われる心配は小さい、と考えられます。
■○○を積極的に摂取すればIgA抗体を増やせる
COVID-19に有効なIgA抗体を増やすべく、現在は鼻粘膜にスプレーするワクチンの開発が進められています。インフルエンザについてはすでに海外で長く利用されており、国内でも少しずつ普及しつつあります。
この粘膜にスプレーするワクチンを利用すると、SARS-CoV-2など、感染を防ぎたい病原体に対応するIgA抗体の産生を促すことができるのです。
ただし、COVID-19に効く点鼻ワクチンはまだ開発段階なので、現状では既存の健康アイテムにより、IgA抗体を高める方法を考えるべきでしょう。
たとえば、IgA抗体の原材料はタンパク質なので、必須アミノ酸をバランスよくとれるよう、食事に配慮することも大切です。
水素の摂取も有効です。Suisoniaから発生する「活性状態の水素(AFH)」にはIgA抗体を増やす作用がある、という研究結果がすでに発表されています。日常的に水素を摂取していれば抗体値を高く保てるので、コロナ禍においては感染予防につながる健康習慣にするのもよさそうです。
■まとめ
重症化の予防と感染予防はある程度分けて考える必要があります。感染予防を担うのはワクチンによって産生が促進するIgG抗体ではなく、IgA抗体なので、SARS-CoV-2に感染するのを避けたい人はIgA抗体による免疫の強化を図る必要があります。
水素は有効な手段の一つなので、日常生活の中に取り入れてみてはいかがでしょう?