コラム

認知症患者を抱えるご家族が増えています。効果的な治療法はまだ見つかっていませんが、早めに気づいて対応することで、進行を遅らせることは可能です。

ただ、医師の中にも「認知症=アルツハイマー型」と考えている人がまだ多く、そのことが適切な対応の遅れにつながるケースも見られます。

このほど東京都健康長寿医療センターが発表した研究を見ると、高齢者ではレビー小体型認知症の予備軍がかなり多い、と言えそうです。

■健康に見える人にもレビー小体のリスクが

健康を損なうリスクは年齢を重ねるにつれて増大します。高齢者の中には、一見すると問題がないように見えるのに、実際には「病気の種」を抱えている人が少なくありません。

そんなわかりにくい「病気の種」の一つにレビー小体があります。神経細胞にαシヌクレインという異常なたんぱく質が沈着することで発生するもので、このレビー小体が増えると、神経細胞が壊れてしまい、精神や運動機能などにさまざまな影響が出てきます。

東京都健康長寿医療センターがこのほど発表した剖検(献体の解剖検査)によると、65歳以上の献体では34.4%の割合でレビー小体の形成が見られたそうです。

剖検の対象となった方の死因はがんや心血管性の疾患、呼吸器疾患などが7割以上を占めており、これは近年における日本人の死因とほぼ一致します。死因に特別な偏りはないため、レビー小体が対象者の死亡リスクを押し上げている可能性は低いと考えられます。

もちろん、死にいたった方なので、なんらかの形で健康を害していたのは確かです。レビー小体が形成されやすい健康状態であった可能性は否定できませんが、それでも65歳以上の3人に1人という割合はかなり大きなものと言えます。

■レビー小体型認知症とパーキンソン病

前述の通り、レビー小体は神経細胞を害する病変です。脳の中で主に2つの部位において形成されることがわかっており、その部位によって異なる症状が現れます。

大脳皮質にレビー小体がたまり神経細胞が害されると、「レビー小体型認知症」を発症します。認知症の中でも、転倒や手足のこわばりといった運動機能障害をともないやすく、幻覚を見ることが多いのが特徴です。

同じく、大脳基底核にある黒質と呼ばれる部位にレビー小体が蓄積すると「パーキンソン病」を発症します。ボクシングの元世界チャンピオンであるモハメド・アリ氏や映画俳優のマイケル・J・フォックス氏などが罹患していることで有名な疾患です。

黒質は身体の動きをスムーズにするはたらきを担っているので、レビー小体が沈着することで神経細胞が壊されてしまうと、静止時振戦、無動、筋固縮、姿勢反射障害といった特徴的な運動症状が現れます。

それに加え、自律神経の失調や認知障害、睡眠障害、精神障害といった非運動症状が現れることもあります。

レビー小体型認知症、パーキンソン病の両方を発症するケースも多い上、いずれについても効果的な治療法はまだ見つかっていません。

■「認知症=アルツハイマー」ではない

認知症は国内において非常に大きな社会問題となっています。社会全体の急速な高齢化に伴い、患者数および人口に占める割合がどんどん増加しており、歯止めがかからない状況です。

内閣府が作成した資料によると、65歳以上の高齢者における認知症患者の割合は2015年には16.0%(有病率が上昇した場合)でしたが、2020年には18.0%、2040年には25.4%になると予想されています。

右肩上がりで患者数が増加する中、効果的な治療法が求められていますが、「病院の治療でよくなった」というケースはまれです。その背景にはさまざまな事情があります。

そもそも、老化により発症する疾患なので治療するのが難しい、という根本的な問題はありますが、それゆえ真剣な治療が行われていないケースもしばしば見られます。

医師の中には、患者に認知機能障害があるとわかると、ほぼ自動的に「アルツハイマー型」と診断する人が少なくありません。認知症と診断された患者のうち、アルツハイマー型が占める割合は50%程度と考えられています。

レビー小体型認知症が20%、脳血管性認知症が15%、前頭側頭型などその他の認知症が15%とされているので、「認知症=アルツハイマー型」と診断を下すと、かなり高い割合で、誤診してしまうことになります。

実際、65歳以上の人の3割以上にレビー小体が見つかった、という東京都健康長寿医療センターの研究発表に照らすと、認知症患者におけるレビー小体型の割合は20%よりもさらに高いと考えるのが自然でしょう。

レビー小体型認知症の患者には「転倒しやすい」「薬に過剰に反応することがある」など、アルツハイマー型にはない健康リスクがあります。そういったリスクを抑えるためには、正しい診断を下すことが必要です。

■認知症予防における水素の可能性

人の身体には脳内の老廃物を排出する機能が備わっています。そういった機能が適切に働けば、アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβやレビー小体型認知症の原因となるαシヌクレインの蓄積を予防することができます。

脳内の排出機能は睡眠中に活発化することがわかっているので、よりよい睡眠をとることが認知症の予防や進行を防止するカギと言われます。さらに最近では脳の「水はけ」が認知症予防に有効であることがわかっています。

脳は大量の水を含む臓器です。構成する成分の80%以上が水分であり、脳脊髄液などの水分が常に適切に循環することで、老廃物の蓄積を防いでいます。なんらかの要因でそういった水分の循環が滞ってしまうと、認知症のリスクが一気に増大してしまうのです。

suisoniaを利用した人の多くが共通して「よく眠れるようになった」「尿や汗、便の量が増えた」と語っています。認知症に対する効果は今後の研究が待たれるところですが、原子状水素がアミロイドβやαシヌクレインの蓄積を抑える可能性は高いと考えられます。

■まとめ

認知症患者の増大は国内社会が抱える大きな問題ですが、診断を含め、医療現場の対応にはまだまだ手探りに近いものがあります。症状の有無にかかわらず、高齢者の1/3でレビー小体の蓄積が見られる、という新たな研究結果から言えるのは「自覚症状がなくても予防が必要」という事実です。

誰しも等しく歳をとる以上、認知症の予防はすべての人にとって身近な課題なのです。

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