コラム

新型コロナウイルス感染症の広がりが懸念される中、国内では鳥インフルエンザの感染拡大が報じられています。「高病原性鳥インフルエンザ」とはどのような感染症なのか、知っておきたいことをまとめてみました。

■11月初旬から4県で報告 殺処分200万羽

家禽への高病原性鳥インフルエンザ感染が最初に報告されたのは11月4日のことです。鶏の大量死があった香川県の養鶏場で、H5N8型ウイルスが検出されたのを皮切りに、202年12月1日時点で11件の感染が確認されました。

感染は香川県、福岡県、兵庫県、宮崎県の4県におよんでおり、殺処分された鶏は過去最多の200万羽にのぼります。これまで、2010年度に9道県で発生し183万羽を2016年にも同じく9道県で発生したため167万羽が殺処分されたことがあります。

今回はそれを上回る数の鶏が殺処分されており、今後の動向が心配されています。

■大陸から渡来? 高病原性鳥インフルエンザとは?

鳥類一般が感染するA型インフルエンザウイルスは感染した場合の死亡率により「高病原性鳥インフルエンザ」「低病原性鳥インフルエンザ」「鳥インフルエンザ」の3つに分類されます。

このうち、高い病原性を示すもの――特殊な状況でウイルスを含む液体を鶏8羽に接種した結果、うち6羽が10日以内に死亡するものを「高病原性鳥インフルエンザ」と呼びます。

A型インフルエンザウイルスにはさまざまな種類があります。それらは表面に存在する2種類のたんぱく質、ヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)のタイプにより、「亜型」に分類されます。

Hは18タイプ、Nは11タイプあり、今回、国内で感染が報告されているH5N8の他、H5N1やH5N6など、これまでいくつかの亜型が見つかっています。

鳥インフルエンザウイルスはその名の通り、基本的には鳥類が感染する病気です。ヨーロッパやアジアなど、さまざまな地域において野鳥や鶏などの家禽の間で流行ることがあります。

日本は島国なので、伝染病が海外から渡来するのを防ぎやすいのですが、野鳥の中には海を越えて渡ってくるものが少なくないため、今回のような感染を防ぎきれないのが実情です。

■鶏肉や卵、鳥との接触でヒトにも感染する?

鳥インフルエンザは通常、ヒトには感染しない、と言われてきました。鳥インフルエンザウイルスが細胞に感染する際に「足がかり」とする受容体がヒトの細胞の表面にはないためです。

ただし、同じく高病原性のH5N1やH5N6、低病原性鳥インフルエンザであるH7N9についてはヒトへの感染が確認されているいる上、死亡例も報告されています。

これらの鳥インフルエンザに感染したヒトのほとんどは養鶏業者など、鶏と濃厚に接触していたことがわかっていることから、「簡単には感染しないが、大量のウイルスに被曝すると感染が起きる可能性がある」というのが現在の定説です。

ヒトからヒトへの感染はない、と考えられているため、鳥との濃厚接触を避ければ問題はない、と言えます。

今回、国内で流行しているH5N8については、これまでヒトの感染報告はありません。世界保健機関(WHO)もヒトへの感染が広がる可能性は低い、との見解を示しているので、リスクは限定的、と考えるべきでしょう。

ただし、感染者が出た他の鳥インフルエンザウイルスと同様、鳥との濃厚接触により感染するリスクは想定されるので、厚生労働省では「鳥類と密に接触しないように」とする通達を発表しています。

鶏肉を食べたり卵を食べたりしても、感染リスクはほとんどありませんが、鳥を飼っている場合には野鳥と接触させないようにする、飼っていた鳥が死んだら、感染に注意しながら処分する、といった対応をとることがおすすめです。

■まとめ

新型コロナウイルス感染症の広がりがおさまらない中、鳥インフルエンザのニュースが飛び込んできたことで、不安を感じている人は多いものと思われます。

現状ではヒトへの感染リスクは低いので、直接的な被害を心配する必要はあまりありません。ただ、絶対に感染しないわけではないため、鳥の糞や羽毛に接触しないよう気をつけるなど、一定の配慮はした方がよい、と思われます。

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