今の流行は「アイドル水」 ダイエットと健康について考えてみる

Medical Life Science Laboratory

○○を飲むと(食べると)痩せられる……毎月のように新たなダイエット方法が流行りますが、昨今ホットなアイテムに「アイドル水」というのがあります。

そもそもダイエットはそんなに必要なのか、健康との関係から検証してみました。

■韓流アイドル発のダイエット法が大人気

「アイドル水」は緑茶にレモン汁と砂糖を混ぜた飲み物です。韓国人アイドルがSNSで「効果抜群のダイエット方法」として情報発信したのをきっかけに、日本国内でも愛飲する人が増えており、インターネット上で検索すると、作り方や効果を紹介するサイトが大量に見つかります。

「緑茶のカテキンが脂肪の吸収を抑える」「レモンのクエン酸が糖質の代謝を促進する」といった効果がうたわれていますが、実際にどのような効果があるのかは不明です。

情報発信したアイドルが「3か月で8キロも痩せた」とインスタグラムで報告している程度であり、もちろん医学的な検証作業が行われたわけではありません。

■英国栄養士会がコメント デトックス茶に効果なし

「アイドル水」に似たデトックス茶はこれまで、世界中でさまざまなタイプが売り出されてきました。ほとんどのものが含まれている成分に有害物質の排出を促したり、体重の減少を助けたりするはたらきがある、とうたっています。

ただ、顕著な効果が立証されることは珍しく、英国栄養士会も「2019年やってはだめなセレブダイエット」を発表する際、デトックス茶を取り上げています。

セレブやブロガーを起用して、ダイエットが必要ではない若い女性に売り込んでいることを問題視すべき、と警告しており、今回の「アイドル水」はその典型と言えそうです。

■過剰なダイエットで終戦直後より悪い栄養状態に

「アイドル水」の成分を考えると、ダイエット効果はあまり期待できませんが、その分、健康に大きな悪影響をおよぼすこともない、と言えそうです。

ただ、ちまたで推奨されているダイエット法の中には、はるかに過激で健康を損なう恐れをはらんでいるものが少なくありません。

そういったリスクを承知していながら、ダイエットに走る人も多く、太っていない人がさらに痩せようとする過剰なダイエットが世界的な問題となっています。

特に日本では20代~30代女性が摂取しているカロリー量の平均が必要量よりも少ない、という現象が起きています。この水準は食糧不足が深刻だった太平洋戦争直後よりもひどいと言われており、健康への影響が心配されます。

2017年に行われた調査によると、肥満度(BMI)で「やせ形(低体重)」に分類される割合が、20歳代女性では21.7%、30歳代では13.4%にのぼりました。

40歳代では10.6%となっているので、ダイエットは性別と年齢に偏りがある健康リスクだと言えます。

■ダイエットが必要な人と不要な人

そもそも、私たちはなぜ、そんなにダイエットが好きなのでしょう? マクロミルが全国の15〜59歳の男女1,000人を対象に行った調査によると、ダイエットをする理由でいちばん多いのは「健康でいたいから」というものでした。

以下、2位は「体型維持のため」、3位「スタイルを良くしたいから」と続きます。肥満は生活習慣病につながるため、太っている人がダイエットに励むのは理解しやすいところです。

ただ、健康面では明らかにダイエットの必要がない体型の人も、懸命に食事を制限して体重を落とそうとするのは逆に健康を害する行為です。

背景には「やせてきれいになった、と言われたい」という承認欲求や「みんなやせているので、太っていると友だちの輪に入りにくい」という同調圧力がある、と言われます。

特に日本人は他人の目を気にする傾向がとても強いので、太っている自分を人目にさらせない、と考える人が多いようです。

■欧米では法律で「やせすぎ禁止」

どういった体型をもっとも美しいとするのか、に論理的な根拠はありません。そのため、多くの人はメディアが「美しい」と報じる体型を自分の理想としています。

国内で活躍する女優やタレントのBMIは14~16というケースが非常に多く、ほぼ全員がやせすぎといっても過言ではありません。さらに、ダイエット用品の宣伝に起用されていることなどから、Twitterやインスタグラムで体重を公表する人が増えています。

彼女たちの影響力は非常に強く、体重を公表しているSNSのコメントには「○○さんを目指して頑張ります」「私も努力しなければ」といったコメントが多数寄せられます。

明らかに健康上のリスクが大きいダイエットを促す発信をしている有名人が非常に多いのですが、これは国内だけでなく、世界的な問題となっています。

そのため欧米にはファッションモデルについて、BMIによる基準を設け、満たしていないとファッションショーへの参加を禁止する、という法律を施行している国もあります。

イタリア、フランス、スペイン、アメリカ合衆国のフロリダ州などではやせすぎのモデルを法的に規制する動きがあり、たとえばフランスでは2015年に禁固や罰金などの罰則を伴う法案が可決されています。

■体型に対する美意識の確認が必要

人が持つ美醜の感覚はもともと生存本能に基づいています。より生存に適した容姿を美しいと感じるよう、セッティングされているのです。

そのため、年代や地域により、理想とされる体型は異なり、栄養が摂りにくい環境では体脂肪が多い体型が理想とされてきました。

先進国を中心に蔓延する現代のやせ形志向は、栄養不足ではなく糖尿病など、過食が健康リスクになりやすい時代には即している、とも考えられます。

ただ、それに加えて巨大なダイエット市場で利益をあげている企業が多いことから、健康リスクが生じる過剰なやせ形を理想像としてメディアが発信していることは、意識しておいた方がよさそうです。

■まとめ

体重は健康に直結する要素の一つです。意思によってコントロールできるので、本来であれば、ダイエットで適正な体重を維持することは健康を維持する上で不可欠な活動です。

ただ、成果が数字として表れることもあり、真面目な人ほど過剰になる傾向があり、時には命の危険につながります。

価値観は人によってさまざまですが、美容を考える際には「健康美」という基準を持つことも大切ではないかと思われます。

 

No Comments

Add your comment

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。