いつまでも健康でいたい、というのは多くの人が願うことです。このたび、国の高度医療研究チームがそのためにはどんな風に暮らせばいいのかを示す提言を発表しました。

国内で集められた電子医療情報に基づく提言なので、日本人にとって信頼性が高く、参考になる提言です。

■不健康寿命は男性8年 女性12年

健康寿命はWHOにより「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。一般的に、人は寿命が尽きる前に健康寿命が尽きてしまい、その後は介護に頼るなど不自由な生活を送ることになります。

2019年時点における国内の平均寿命は男性81.4歳、女性87.4歳です。一方、健康寿命は男性72.7歳、女性75.4歳となっています。平均すると、男性では8.4年、女性では12年も「健康上の問題を抱え、制限された生活」を送っているのです

この間の生活は苦痛が大きいだけでなく、介護が必要になれば家族に負担をかけることになります。人生の終盤をより幸福度の高いものにするためには、健康寿命を延ばしてできるだけ寿命に近づけることが大切です。

■要介護にいたる原因は認知症、衰弱、ケガ

健康寿命が尽きる要因はさまざまです。65歳以上の人が介護を必要とするようになった原因を見ると、男性ではもっとも多いのが脳卒中であり、認知症、高齢による衰弱、骨折・転倒と続きます(「国民生活基礎調査・平成28年」)。

一方、女性でもっとも多いのは認知症です。次いで高齢による衰弱、骨折・転倒となっており、男女においてかなり大きな違いが見られます。

これは疾患のリスクにおける精査によるものと考えられます。たとえば、脳卒中を発症するリスクは男性の方がやや高いことがわかっています。逆に、認知症については長生きすることや社会的な要因などにより女性の方が発症リスクが高めです。

女性の骨折・転倒リスクが高いのはもともと筋力が弱いのに加え、閉経後は骨粗しょう症になりやすいためだと思われます。

このように、性別により高齢者が要介護状態に陥る原因は異なるので、健康寿命を延ばすためには自身のリスクを意識することも大切です。

■禁煙、節酒、睡眠……健康寿命を延ばす具体的な取り組み

それでは、具体的にはどんな配慮や工夫で健康寿命を延ばすことがデキるのでしょう?

今回、共同で研究を行い、提言を発表したのは次の6つの機関です。

国立研究開発法人国立がん研究センター

国立研究開発法人国立循環器病研究センター

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

国立研究開発法人国立国際医療研究センター

国立研究開発法人国立成育医療研究センター

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部(JH)

発表された内容を見ると、基本的にはこれまで「健康にいい」とされてきた内容が並んでいます。

①喫煙

 たばこは吸わない。受動喫煙もなるべく避ける。

②飲酒

 適度な量(男性なら日本酒1合程度。女性はその半分程度)に抑える。

③食事

 バランスよく適切な量を食べる。

 赤肉や加工肉の摂取は減らす。

 野菜や大豆製品を多くとる。

 甘味飲料は減らす。

④体格

 やせすぎや太りすぎを避ける。

 太りすぎは成人病につながるが、やせすぎは感染症に罹患した際の回復力が低下する等の問題をまねくことがある。

⑤身体活動(運動)

 毎日の活発な運動を心がける。

 1日に1時間程度の歩行に加え、1週間に1時間程度は息が弾み汗を角程度の運動をするのが望ましい。

⑥心理社会的要因

 なるべくストレスを避ける。

 孤立することなく、社会関係を保つ。

 良質な睡眠を適切にとる。

⑦感染症予防

 B型、C型肝炎ウイルスやピロリ菌の感染検査を受ける。

 インフルエンザや肺炎球菌のワクチンを接種する。

⑧健診・口腔ケア

 定期的に検診を受ける。

 口腔内の健康を保つ。

⑨生育

 出産後初期はなるべく母乳を与える。

 早産、低出生体重の子供は将来の疾病に注意する。 

 妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、巨大児出産を経験した人は将来の疾病に注意する。

■まとめ

今回発表された提言には特に目新しい内容はありません。どれも健康を維持する上で大切な事柄として、以前から知られていることばかり、と言えます。

このことからわかるのは、健康の実現に近道はない、ということでしょう。毎日の地道な取り組みが健康状態の改善をもたらし、健康寿命の延伸につながるのです。

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