高齢者は一般に、脂質やたんぱく質が豊富な肉よりも魚や野菜を好むと言われます。年齢に合わせて、身体が欲するものを食べるのが健康の秘訣という説もありますが、本当のところはどうなのでしょう?

この記事では、高齢者と肉食の関係について解説します。

■100歳の人は平均よりたくさん○○を食べている

多くの動物は限られた食物しか摂取しません。ユーカリの葉しか食べないコアラなどは極端な例ですが、雑食性とされる動物でも、食用としている動植物の種類は限定されます。

一方、人類は1万種類を超える動植物を食材としており、基本的には「毒でなければ食べる」あるいは「有毒であっても毒性を排除できるなら食べる」というスタンスで繁栄を遂げてきました。

中でも、独自の東洋的な食文化に欧米の食文化を取り込んだ日本人の雑食性は非常に高いと言われます。イスラム教のような宗教的制約もないため、利用可能な食材が多いのです。

その分、何を食べるのか迷うところですが、一般に高齢になるほど畜肉の摂取量が減り、「年をとったら野菜中心の食生活に切り替えた方が健康的」と考える人が増えます。

メタボなど生活習慣病の弊害が意識される中、「肉より野菜」という説が指示されるものと思われます。ただ、100歳に達した方の食事を調べた研究によると、総エネルギー量に占めるたんぱく質の割合および総タンパク量に占める動物性たんぱく質の割合が平均的な日本人よりも多いことがわかっています。

長生きする人は動物性たんぱく質を一般の人よりもしっかり摂っているのです。

■実は減らない? 年齢層別の必要量を比べてみると

人の身体を構成する物質の中で、水分に次いで多いのはたんぱく質です。たんぱく質は人体を構成する非常に重要な栄養素であり、内臓や皮膚などはもちろん、「ウイルスに対抗する免疫の主役」と言われる抗体もたんぱく質でできています。

身体をつくり、健康を維持するために不可欠な栄養素なので、高齢になっても必要とされる量はそれほど減少しないのです。

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書によると、たんぱく質の推定平均必要量は男性では15~17歳、女性では12~17歳でピークを迎え、それぞれ、50グラム/日、45グラム/日となっています。

この数値はその後、男性では減少することなく、75歳以上でも50グラム/日のままです。女性の場合は40グラム/日に減りますが、その減少幅は卵半個程度です。

■「納豆と豆腐で十分」は正しいのか?

たんぱく質には動物性のものと植物性のものがあります。鶏、豚、牛などの畜肉や魚介類、卵などから摂れるのが動物性たんぱく質、大豆やアスパラガス、ブロッコリーなどの野菜類から摂れるのが植物性たんぱく質です。

なんとなく「植物性たんぱく質の方が健康的」と考える人が多く、豆腐や納豆などを食べていれば大丈夫、と信じがちですが、これは正しくありません。

たんぱく質はアミノ酸に分解されて吸収されます。アミノ酸のうち、体内で産生できず、食事によって取る必要があるものを必須アミノ酸と呼びます。動物性たんぱく質の方がアミノ酸をバランスよく豊富に含んでいるため、健康に配慮するなら動物性たんぱく質をしっかり食べる必要があるのです。

特に、高齢になると若いときほど量を食べられなくなるので、必須アミノ酸を効率よく摂れる畜肉の摂取が欠かせません。たんぱく質の不足は髪や肌の劣化、免疫力の低下、思考力の低下、筋力の低下など、いろいろな病気や健康上の不具合につながります。

高齢者の場合には特に、筋力が低下するとロコモ症候群に陥りやすく、要介護状態になってしまうケースもあるため、注意が必要です。

■○○に問題がある人は医師に相談しながら

もちろん、どんな栄養素も摂りすぎると弊害が発生します。過剰なたんぱく質は体内で代謝され、尿素やクレアチニンに変換されます。

これらの老廃物は腎臓でろ過されて体外に排出されるため、量が多いと腎臓に負担がかかります。健康な人であれば問題ありませんが、慢性腎不全などの疾患がある人にとっては、症状を進行させる要因になるので、たんぱく質の摂りすぎは控える必要があります。

気になる人はかかりつけの医師に相談するのがおすすめです。

■まとめ

たんぱく質は脂質、糖質と並ぶ三大栄養素の一つです。身体を構成する重要な栄養素だけに、量や質、バランスをしっかり意識して摂ることが大切です。

特に高齢者は動物性たんぱく質を敬遠しがちなので、この記事でも紹介したとおり、「摂取する必要がある栄養素」として意識するよう心がけてみてください。

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