毎年梅雨時になると体調が悪くなる、という人は少なくありません。この時期独特の湿気や朝晩の寒暖差などが自律神経に負担をかけているケースが多いと考えられますが、もう一つの原因についても意識しておく必要があります。

それがカビ。一般的な住宅内には数百種のカビが棲息しており、免疫系の異常をもたらすこともあります。

■梅雨時の頭痛や鼻炎、イライラはカビのせいかもしれない

国内では多くの地域で6月初旬から梅雨の季節を迎えます。気温が上昇するのに加え、多雨と湿度の上昇により、この時期になるとさまざまな体調不良を訴える人が増加します。

症状は人によって異なります。身体的な不調では、頭痛や鼻炎、咳など風邪に似た症状の他、むくみや冷え、食欲不振などがよく見られます。さらに、イライラやうつなど精神的な不調に悩む人も少なくありません。

梅雨時はまだ身体が暑さに慣れない上、湿気のせいで発汗による体温調節をしにくいこともありさまざまな症状が出る、と言われてきました。

最近ではカビの増殖も大きな要因の1つではないか、と考えられています。特に、新しい住まいにはカビが生えやすいという特徴があります。冷暖房効率が高くなるよう、気密性を重視して設計・施工されており、結露が発生しやすいためです。

梅雨時になると体調がおかしくなる、という人はカビの影響を疑ってみた方がよいかもしれません。

■住宅内には360種類 人体に感染して繁殖するものも

カビは非常に種類の多い生物です。さまざまな環境で生育しするため、日本では住宅内を調査すると、数百種類が見つかると言われます。

生物学的にはキノコなどと同じ真菌類に分類されます。一般的には高温多湿な環境を好み、人体にも寄生します。もっともよく知られているカビの寄生例は水虫でしょう。白癬菌と呼ばれるカビが皮膚の角質層に寄生して繁殖することで起きる症状です。

免疫が低下している人の場合には肺にカビが寄生することもあります。カビの胞子は環境の中に普段から存在します。健康な人の場合、呼吸により体内に取り込んでも、特に問題は起きませんが、免疫が低下していると肺でカビが繁殖し始め、肺真菌症を発症することがあります。

同じく、女性の場合には膣にカビの胞子が入り寄生するカンジダ症という真菌症が見られます。

感染症の中でも真菌症は治療が難しいことで知られています。抗菌剤で抑えても再発することが多く、なかなか根治しないのです。

■胞子によるアレルギー反応で免疫のトラブルも

前述した感染症に加え、カビにはアレルギー性疾患を引き起こす、という問題があります。たとえば、寝室のクロスにカビが繁殖していると、就寝中に大量の胞子を吸い込み続けることになります。

その結果、体内でアレルギー反応が起きると、咳や鼻水、発熱、頭痛などさまざまな症状がしばしば現れます。

秋田県立大学の長谷川兼一教授が行った調査では、住まいのカビや結露の状態と喘息やアレルギー性鼻炎との関係が示されています。

カビ・結露の状態がもっとも悪いとされる家に住む子供が喘息に罹患するリスクは1.81倍、アレルギー性鼻炎の罹患リスクは2.39倍となっており、高い関係性を見て取れます。

また、人によってはそういったわかりやすい症状が現れず、「なんとなく身体が重い」という程度にしか感じないこともあります。

体内で炎症が起きていても、発症の仕方や感じ方は人によって異なります。ただ、特に重い症状がない場合も、アレルギー反応により体内の炎症性サイトカインが増えれば、さまざまな問題が発生します。

常に炎症が起きていることで、免疫系のバランスが崩れてしまったり、炎症性サイトカインが脳に働きかけたりすることで、うつやイライラなどの症状が起きることもあります。

カビによる炎症が原因で、梅雨時に精神的な問題を感じる人も、一定数いるものと考えられます。

■清掃と免疫の調節で梅雨の不具合を軽減

カビ対策の基本は清掃です。水回りなど、カビが生えやすいところはもちろん、クロスや天井裏、床下などにカビが生えていないか、清掃のついでに確認してみてください。

カビが生えそうな場所を掃除するときは、掃除機をかけるだけでなく、エチルアルコールによる拭き掃除を行うとカビの繁殖を防げます。

水回りなどに頑固なカビが生えている場合には、塩素系漂白剤を使うのも有効ですが、塩素ガスが発生することがあるため、換気を徹底するなど、使用方法には注意をしてください。

カビの害を軽減するためには免疫の調節も効果的です。アレルギー反応を抑え、免疫系のバランスを整えることで、「なんとなく身体が重い」「気分が落ち込んでうつ状態」といった症状を緩和できるかもしれません。

■まとめ

カビは非常に身近な存在です。害をもたらすからといって、環境から完全に排除するのは不可能なので、うまく付き合っていく必要があります。

そのためにはカビによる害のことを知り、環境の中で増えすぎないよう清掃に励むことが大切です。さらに、意識して免疫系を整えれば、梅雨時の健康不安を改善できます。

Categories: