冷え込む季節の新型コロナウイルス感染症予防策とは

Medical Life Science Laboratory

第3波と目される新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が報じられる中、国内ではこれから寒い季節を迎えます。3密の回避や換気などの対応が難しくなる中、COVID-19をしっかり予防するためには特別な工夫が必要です。

■寒さと共に高まるCOVID-19のリスク

COVID-19には季節性があると考えられています。毎年、寒くなると流行る感染症にはインフルエンザがあります。COVID-19はインフルエンザほど顕著ではありませんが、寒冷な地域や時期ほど、感染が拡大しやすく、温暖な地域・季節においては比較的感染が広がりにくい傾向がある、と言報告されています。

COVID-19が寒さと関係している要因はいくつか考えられます。まず、一般にウイルスには寒く乾燥した環境下ほど、感染力を長く保持する性質があります。インフルエンザやノロウイルスによる胃腸炎が冬に多くのはそのためです。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)も例外ではなく、寒冷&乾燥した環境では、空気中に浮遊したり物体に付着したりしている状態で、長く感染力を保てるのです。

寒さと乾燥にはもう一つ、人の免疫力を引き下げる作用もあります。身体が冷えることで、免疫機能が低下するのに加え、鼻や喉の粘膜が乾燥すると、ウイルスが体内に侵入するのを防ぐ粘膜免疫が低下します。

そうなると、接触したウイルスの量が同じでも、暖かく湿潤な環境下に比べ、感染や重症化のリスクが大きくなってしまうのです。

■予防を阻むイベントの連続

COVID-19が世界的な問題となって約1年が過ぎました。まだまだ、わからないことが多々ありますが、研究が進む中で感染の予防については有効なやり方がある程度わかっています。

予防策の大きな柱となるのが「3密の回避」と「換気」です。SARS-CoV-2は空気感染するため、ウイルスの濃度を引き下げることで、屋内における感染リスクを抑えられるのです。

ところが、これからの季節はこの予防策の徹底が難しくなります。年末年始には例年、クリスマスや帰省、初詣、忘年会、新年会等、人が集まるイベントが目白押しです。

今後、どういった対策が講じられるかは不明ですが、経済への影響を重視する傾向が強まっていることを考えると、厳しい自粛要請は出されないのではないか、とも考えられます。

■寒さが換気を難しくする

寒さも予防を阻む大きな要因です。九州南部や沖縄など、ごく一部の地域を除けば、12月以降、国内では暖房なしですごすのが難しい日々が続きます。

夏場も冷房しながらの換気に苦労した人が多いと思いますが、冬場は屋内外の温度差がさらに大きくなるので、換気のために窓を開けると一気に室内が冷え込んでしまいます。

寒さは健康を害する大きな要因です。日本では毎年、ヒートショックや虚血性心疾患、脳卒中など、寒さによって引き起こされた疾患で、実は万単位の人が亡くなっています。COVID-19は健康リスクの高い感染症ですが、寒さがもたらす健康リスクの方が実はかなり大きいのです。

外気温が10℃を下回る環境下でなんの工夫もなく換気を行うことは難しい、と言えます。特に高齢者や乳幼児など、体温を維持する能力が低い人にとって、換気による室温の低下は大きな健康リスクをもたらします。

■室温と湿度をどうやって維持するか

冬期のCOVID-19予防については国も指針を発表しており、換気については体調を崩さないよう、室温を18℃以上に維持することが推奨しています。

冬期の室温についてはWHOも2018年に発表した出版物「WHO HHOUSING AND HEALTH GUIDELINES」の中で、18℃以上が望ましいとする勧告を発表しました。

その温度を下回った場合、肺炎などの呼吸器疾患や虚血性心疾患などの心血管疾患といった疾患の罹患リスクが高くなったり、うつ病や高血圧などを発症するリスクも高まる可能性がある、と同書では報告されています。

特に持病のある人や高齢者、幼児などは低温の影響を受けやすいため、健康を維持するためには室温をより高く保つ必要があります。

室温を引き下げない換気の工夫としては、人がいない部屋の窓を開け、その部屋と人がいる部屋との間で空気が行き来するようにする「二段階換気」が有効です。

窓を常時開けておくのが難しい場合には、HEPAフィルター付きの空気清浄機を設置したり、加湿器や部屋干しなどにより湿度を保つことで、SARS-CoV-2の感染力を引き下げることができます。

また、小まめな拭き掃除で屋内のあちこちに付着しているかもしれないウイルスを除去する、といった努力も感染予防につながります。

■一枚多めに着込んで大声を出さない

換気や湿度の維持に気を配っても、冬期の室内環境はSARS-CoV-2の感染が広がりやすいもの、と言えます。ですから、これまでにも増して3密の回避や、マスクの着用、大声を出さない、などの予防策が求められます。

換気によってもたらされる寒さについては、状況に応じてさまざまな工夫をするのがよいでしょう。屋内でも一枚多めに着込んだり、コタツやカイロといった暖房器具を利用したり、といった工夫をするだけでも、低温による影響をある程度抑えられます。

その他にも、温かいものを食べたり、身体をなるべく動かしたり、といった生活スタイルを意識することも有効です。身体を内側から温めたり、血流を促したりすることで、暖を取ると同時に、免疫力の低下を抑えることもできます。

■まとめ

これから訪れる冬は気候的にも、生活習慣的にもCOVID-19が広がりやすいシーズンです。他の季節に比べて、予防が難しい季節でもあるので、さまざまな対策をしっかり意識し、いくつも重ねて、暮らしの中に導入するのがおすすめです。

 

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