コラム

新型コロナウイルスに感染するのを予防するため、テレワークを選択する職場が増えています。緊急事態宣言解除後も、特に必要がなければ、そのまま在宅で仕事を続けるケースも少なくありません。

そんな中、心配されるのが運動不足です。特に座る時間が長いほど、健康を害するリスクが大きくなる、という研究結果が昨今は多数報告されており、「座る時間」がもたらす弊害が気になるところです。

世界でいちばん座る時間が長いのは日本人

日常生活でとる姿勢と言えば、立っているか、寝ているか、座っているかでしょう。たいていの人は坐っている時間が1日の中でいちばん長いと思われますが、長すぎると健康に大きな悪影響をおよぼすことがわかっています。

とはいえ、仕事はもちろん、車を運転したり家でテレビを見たりする時には基本的には座っているものです。日本人は特に座っている時間が長く、シドニー大学で行われた調査によると、1日の中で座っている時間の平均は7時間におよびました。

調査対象となった20か国の平均は5時間なので、2時間も長いことになり、サウジアラビアと並んでもっとも長い国となっています。

座る時間が長いと死亡率が40%もアップする

長時間座ることは、一般に思われているよりもかなり危険な行為です。シドニー大学のバン・デル・プルーフ氏らの研究によると、1日11時間以上座る人の死亡リスクは4時間未満の人に比べ、40%も高いと言います。

ちなみに、健康に悪い習慣として、多くの人がいちばんに思い浮かべる喫煙習慣は男性の場合、10年間の死亡率を1.55倍に押し上げるとされています(厚生労働省研究班2002年発表)。座ることは喫煙とさほど変わらないほど、人の健康を害するのです。

実際、長時間座ることで起きるとされる病気や健康上の問題は多々あります。糖尿病、心疾患、脳の疾患、がん、認知症など、座る時間は非常に多くの健康トラブルを引き起こすことがわかっています。

さまざまな研究がなされていますが、たとえば、テキサス大学の研究者が2020年6月に発表した論文によると、座る時間がもっとも長いグループと最も短いグループでは、がんで死亡するリスクが前者は後者に比べて8割以上も高かったそうです。

原因は運動不足とドロドロ血

座りすぎが深刻な病気につながるのには主に2つの理由があります。まずあげられるのは運動不足。運動が不足すると、カロリー消費が減るため肥満につながるだけでなく、インスリンのはたらきも低下します。

インスリンがはたらきにくくなることで、血糖値が上昇しやすくなり、慢性的な高血糖状態――すなわち糖尿病になってしまうのです。血液中の過剰な糖分は体中の血管を劣化させ、さまざまな病気をもたらします。

もう一つの要因となるのが血流の滞りです。座り続けていると、お尻が圧迫されるのに加え、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎの筋肉がまったく収縮しません。下半身の血流が悪くなり、ひどくなると血栓ができてしまいます。

血栓が詰まると、その先にある細胞は栄養や酸素が不足するためダメージを受けます。心臓や脳の血管に血栓が詰まると、命に関わる病気につながることもあります。

30分の運動でリスクを軽減できる

座ることが健康に悪いのは明らかですが、普通に暮らしている人が座る時間を短くするのは簡単ではありません。デスクワークをしている人であれば、立って仕事をするのは困難でしょう。

立ったまま使える机などもありますが、職場や自宅への導入にはコストがかかりますし、そもそも、立ったまま集中力を維持し続けられるかどうかは個人差があります。

そこで、座りすぎの弊害を防ぐ方法として推奨されているのが、身体を動かすことです。座りすぎの問題に対する研究の中には「運動しても死亡率を引き下げられない」と結論づけているものもあります。

座りすぎでいったん身体がダメージを受けてしまうと、運動によってそれを回復することは難しいのです。ですから、座りすぎの弊害を防ぐためにはダメージを受けないよう、座り時間を寸断して身体を動かすことが大切です。

ウォーキングや階段の上り下りなどでもいいですが、おすすめは下半身、特にふくらはぎの筋肉を使う運動です。YouTubeなどで探すと、いくつも見つかるので、自分に合うものを探してみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=pJhOotNSCHU

前述のテキサス大学の研究では座り時間のうち30分をウォーキングにあてると、死亡率が8%、強度がより高い自転車運動なら31%も引き下げられると報告されています。

ですから、自分の体力や健康状態と相談しつつ、できれば強度の高い運動を選ぶのがよさそうです。

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