新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症すると、およそ4割の確率で後遺症に苦しむことになります。生活に支障をきたすような症状が数か月~数年続くとも言われており、海外ではすでにさまざまな機関が研究を進めています。

そんな後遺症を避けるためにはどうすべきか――現在わかっていることをレポートします。

■爆発的に増えている感染者数が社会の破綻をもたらす

デルタ株のまん延もあり、国内では現在、COVID-19患者が急増しています。8月6日には累計100万人を超えたと報告されたので日本人の120人に1人がすでに感染したことになります。

東京では医療機関がパンク寸前の状態に陥ったため、2万人を超える患者が自宅療養している状況です。

COVID-19については重症化も大きなリスクですが、患者数が増える中、国内外で注目され始めているものに後遺症のリスクがあります。通常、COVID-19は感染から数週間で治ります。ところが、さまざまな症状が数か月後まで残る人がいるのです。

激しい疲労感や息切れなど、日常生活が困難になるほどの症状を訴える人も多く、海外では社会の破綻につながる、と警戒する声が専門家の間で上がり始めています。

働き盛りの世代が後遺症により仕事を続けられなくなったら、家計を支えることができません。国や地方自治体が生活を支援する必要があり、財政が崩壊することも考えられるためです。

さまざまな説がありますが、イギリスで行われた研究によると、感染者の37%が感染から12週間たった時点で1つ以上の症状を訴えた、と言います。

国内の感染者数は8月16日時点で114万人あまりとなっているので、単純計算すると約42万人の後遺症患者が発生した、あるいはこれから発生する、と考えられます。

国内で生活保護を受けている世帯数は164万世帯にのぼります。福祉財政はすでに非常に厳しい状況にあるため、COVID-19後遺症による負担増は社会に大きなダメージを与えかねません。

■CDC(アメリカ疾病予防管理センター)も警告

患者数が多い海外では、事態はさらに深刻です。アメリカのCOVID-19感染者数は3670万人にのぼります。人口の1割以上がすでにCOVID-19感染を経験しており、先ほどの割合を当てはめると、1300万人以上の後遺症患者が発生することになります。

COVID-19後遺症は新しい概念なので、世界共通の定義はまだありません。CDCでは以下のような症状を後遺症の典型としています。

・息苦しさ、息切れ

・疲れやすさ、倦怠感

・身体的または精神的活動後に悪化する症状

・思考力や集中力の低下(”ブレイン・フォグ “と呼ばれることもあります

・咳

・胸や胃の痛み

・頭痛

・早い鼓動やドキドキする心臓(動悸とも呼ばれる)

・関節や筋肉の痛み

・刺すような痛み、針のような感覚

・下痢

・睡眠障害

・発熱

・起立時のめまい(ふらつき)

・発疹

・気分の変化

・嗅覚や味覚の変化

・生理周期の変化

COVID-19の後遺症については感染時に無症状だった人が数か月後、PCR検査で陰性になった後、新たに上記のような症状を訴えるケースも見られます。

若年層や子供が発症する例も多く、多臓器疾患や自己免疫性疾患を発症することもあるため、CDCでは後遺症のリスクについて意識するよう求めています。

■スイスやイギリスでも募る危機感

後遺症の問題はヨーロッパでも注目が集まりつつあります。スイスでは先進的な研究で有名なジュネーブ大学やローザンヌ大学、チューリヒ大学などがそれぞれ、研究を進めており、成果を発表しています。

その結果、後遺症研究の難しさも見えてきました。たとえば、チューリヒ大学が発表したデータでは、後遺症を有する人の割合は成人で感染者の20~25%、子供では2%とされていますが、ジュネーブ大学の調査では39%となっています。

同じ国の中で行われた研究で、数字が大きく違うのは後遺症の定義が確定していないためと考えられます。

後遺症の研究はイギリスでも盛んです。同国で行われた調査では「COVID-19の症状がある」と訴えた人のうち37%が感染から12週間たった時点でもなんらかの症状を1つ以上抱えていた、と報告されています。

男性より女性に多く、年齢が高い人ほど後遺症を発症するリスクは高い、という結果が見られました。その他、喫煙歴や肥満、慢性疾患、低所得、COVID-19による入院が後遺症の発症につながることがわかっています。

■いちばんの予防策は○○とCDC

後遺症の多くは幸いなことに、数か月で治ります。ただ、中には数年にわたって続くのではないか、と考えられるケースも見られ、予後の予測が難しいのが現状です。

後遺症の研究は始まったばかりであり、診断方法も確立されていません。もちろん、効果的な治療法もわかっていないので、病院を受診しても対症療法的な処置を受けられるだけです。

それどころか、「気のせい」などと言われるケースがまだまだあるとも言われており、医療機関における効果的な治療は期待できない、と考えておく必要があります。

したがって、大切なのは感染予防であり、CDCではワクチン接種がもっとも有効な対策だと発表しています。

感染予防、重症化予防に加え、後遺症の予防という面からもワクチンの価値を評価する必要があるということです。

■まとめ

COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2は免疫系に作用することで、さまざまな症状を引き起こすことがわかっています。後遺症の多くも、免疫系のトラブルであり、慢性化すると長引くことがあります。

ウイルスが体内からいなくなった後も続く症状については、身体が免疫のバランスを取り戻すことで改善されます。症状に注目する西洋医学よりも、健康を心身のトータルバランスとしてとらえる東洋医学的な発想が治癒のカギになりそうです。

先進的な医療技術に加え、東洋医学の知見を持つ日本の医療技術が、世界に貢献できる分野だと考えられます。

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