宮城県沖で3月20日に発生した地震は、最大震度5強という強いものでした。気象庁では今後、さらに強い地震が起きる可能性がある、として注意を呼びかけています。

東日本大震災を機に、地震について備えている人が少なくありませんが、コロナ禍の中では、感染というリスクを抑える必要があり、従前とは異なる対応が求められます。

特に、糖尿病を抱える人にとって、災害避難は大きなリスクをもたらすことがあります。

■高血糖・低血糖・感染……避難のリスクが高い糖尿病患者

以前の記事でコロナ禍における災害避難について解説しました。健康な人にとっても、厳しい環境になりがちな避難生活には大きなリスクがともないますが、糖尿病患者の場合にはそのリスクがさらに大きくなります。

たとえば、普段、食事に気を配っている人も、避難生活では「食べられるものを食べる」しかありません。特に地震が発生した直後は備蓄していた非常食や配給される食事が主な食糧となります。

配給食はカロリーが優先されるため、ご飯やおにぎりといった糖質が多く、糖尿病の人にとっては高血糖のリスクにつながります。

ただ、だからといって食事を抜いたり減らしたりすると、低血糖症に陥る危険性があります。普段通りの食事ができないことは、健常者に比べ、、糖尿病患者にとっては非常に大きなリスクなのです。

コロナ禍の中では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクもあります。避難所は密にならざるを得ないことが多く、クラスターが発生することも十分考えられます。

すでに知られている通り、糖尿病患者が感染した場合には重症化したり死亡したりするリスクが格段に高いので、「命に関わるリスク」と考えるべきでしょう。

■糖尿病患者や家族は特別な備えを

災害避難の安全性を高めるためには日頃からの備えがなにより大切です。一般的な防災用品に加え、糖尿病患者や患者を抱えるご家族は特別な備えをしておく必要があります。

たとえば、下記は一般的な糖尿病患者の備えです。

・インスリン、注入器具、注射針、薬

・水、食糧、ブドウ糖

・糖尿病連携手帳、お薬手帳

水や食料については最低3日分、入手できないと即、命に関わるインスリンなどは1か月分の備蓄があると安心です。

コロナ禍の中ではさらに、下記の備えがあると安心です。

・マスク、消毒用アルコール

・段ボール(避難所でのついたてにするため)

薬や食糧には、使用期限・消費期限があるので、順繰りに使いながら備蓄するのがおすすめです。

■避難所では体調維持と感染予防に努める

避難所での生活にはさまざまな制約があります。健康な人にとっては身体へのダメージが小さい問題も、糖尿病患者にとっては大きな問題となることがあるので、健康を維持し、感染を予防するためには特別な配慮が必要です。

たとえば、食べるものを選びにくい中で、血糖値をコントロールするのは容易ではありません。実際に、避難生活が原因で高血糖になり、合併症により死にいたったケースはこれまでも報告されています。

糖質が多い食べ物しかない時には、よく噛み、時間をかけて食べることで、血糖値の急上昇を抑えられます。その他にも、塩分が多い汁物はスープを残すなど、普段にも増して、食べ方には注意が必要です。

血糖値のコントロールと並んで大切なのが、血栓の予防です。糖尿病患者には血栓ができやすい、という体質的な特徴があります。

狭い避難場所で身体を動かすのは難しいので、定期的に外に出て歩くなど、身体を動かすようにしましょう。また、意識して水分を摂ることも重要です。

被災地ではさらに、ケガに対する注意も必要です。健常者にとって問題にならないような小さな傷が糖尿病患者にとっては命取りになることがあるため、瓦礫等でケガをしないよう、常に厚手の靴下をはくなど、細心の注意を払いましょう。

■新型コロナウイルス感染を防げる避難方法を

現在、もっとも大きなリスクと言えるのが、新型コロナウイルス感染症でしょう。すでに多くの研究により報告されているとおり、糖尿病患者が感染した場合には重症化・死亡リスクが健常者に比べて大幅に増大します。

感染を回避できるもっとも基本的な方策は大勢の人が集まる場所に行かないことです。政府も推奨していますが、親戚や知人宅など、避難所以外の避難場所を地震が発生する前から複数確保しておくと安心です。

そういった場所がない場合には車での避難もありでしょう。車中泊をしたり、アウトドアが趣味の方ならキャンプ用品を使ったりすることで、避難所以外で安全に暮らせるかもしれません。

ただし、車中泊やテント泊ではスペースが狭いこともあり、身体の動きが制約され、血栓ができやすくなります。前述した運動や水分の摂取などの血栓予防策を積極的に取り入れる必要があります。

■まとめ

日本で暮らす以上、地震のリスクは避けられません。健康状態によって、リスクが異なり、必要な備えや安全な避難方法は異なります。

今回は糖尿病患者について解説しましたが、その他の疾患を持っている方も、避難がリスクの増大につながらないよう、日常から準備し、避難方法について考えておいた方がよいでしょう。

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