コラム

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るう中、健康について考え直す機会が増えています。血糖値の高い人や血圧の高い人など、病気とは呼べないものの、健康とも言えない人もしばしば重症化するのがCOVID-19の特徴です。

いわゆる西洋医学的な概念とは異なる角度から再評価することで、健康が持つ本当の意味を理解しやすくなります。そのカギとなるのが「中庸」という考え方です。

■健康の基本は「中庸」にある

中庸はもともと儒教の用語で、「過不足なく偏っていない状態」を示す言葉です。極端に走るのではなく、すべてにバランスのとれた中庸こそ、徳のもっとも高い境地とされています。

この中庸は健康の基本とも共通します。健康の指標はほとんどの場合、バランスのとれた状態をよしとするからです。

体温や血圧、血糖値などは高すぎず低すぎず、体液のPHは酸性にもアルカリ性にも偏らない状態でないと、人は健康を維持できません。したがって、東洋医学では病気の原因は中庸を保てなくなることにある、と考えます。

そんな大切な中庸を保つ力がもともと人には備わっています。外気温が氷点下でも、35℃の猛暑でも、人の体温は36℃前後に保たれます。血圧も同じく、環境や心理的なストレスなどにより上下することがあっても、通常は身体を害すことがないよう、ちょうどいい高さに落ち着きます。

こういった身体のはたらきを「ホメオスタシス」と呼びます。東洋医学の考え方に照らすと、なんらかの原因で「ホメオスタシス」が弱ると、中庸を保てなくなり、人は病んでいくことになります。

■已病を治すのではなく未病を治す

中庸と健康の関係は東洋では古くから知られていました。2000年以上前に編纂され、現存する最古の医学書と言われる「黄帝内経」には「聖人不治已病治未病(聖人は已病ではなく未病を治す)」という言葉があります。

已病とはすでに発症した病気、未病とはまだ発症はしていないが健康状態が崩れつつある状態のことを指します。すなわち、未病とは「中庸」が損なわれつつある状態であり、そのまま放置すると已病にいたります。

すでに発症してしまった病気を治すには、薬や手術、放射線など、身体に負担がかかる治療が必要ですし、治らないことすらあります。一方、未病の段階であれば、原因となっている事柄に対応すれば、中庸を取り戻すことが可能です。

そのため、已病にいたる前に未病の段階で治してしまうのが聖人である、と「黄帝内経」では語られているのです。

■未病を治すために「中庸」を取り戻す

それでは、未病を治すためにはどうすればよいのでしょう? 未病は主に食事や睡眠、運動といった生活習慣や精神的なストレスなどによって悪化していきます。

栄養の偏り、睡眠時間の過不足、運動の過不足といった偏り、あるいはストレスによる精神状態の偏りなどが未病の主な原因なのです。

したがって、未病を改善するためには中庸を取り戻す必要があります。食事や睡眠、運動といった生活習慣を見直し、ストレスの軽減を図ることで、心身の状態を中庸に近づけることができるのです。

■水素には中庸を取り戻す不思議な作用がある

中庸を取り戻すもう一つの方法に水素の摂取があります。まだ詳しい仕組みはわかっていませんが、水素を取り入れることで、心身の状態が理想的な中庸に近づく、という研究結果がこれまでにいくつか発表されています。

西洋医学の結晶とも言える薬剤の多くは、心身の状態を一方向にのみ変化させます。たとえば、降圧剤は血圧を引き下げるだけなので、摂取しすぎると、血圧が低くなりすぎてしまいます。

血糖値を引き下げる薬剤も同じです。量を間違えると低血糖症を引き起こし、時には命に関わることがあります。

ところが、水素にはそういった指標を適正な状態に近づけるはたらきがあります。高すぎるものは低く、低すぎるものは高く、中庸を実現する方向へと人の身体を導くのです。

なぜ、そのようなことが起きるのかはまだよくわかっていませんが、今後、研究が進むにつれ、明らかになると思われます。

■まとめ

人の身体には中庸であろうとする強い力が備わっています。本来はそれを損なわなければ、健康でいられるのですが、加齢とともにさまざまな要因により中庸が失われるケースが少なくありません。

健康診断で問題が見つかった人や病気の治療を進めている人はもちろん、今現在は健康な人も、中庸を意識してみることで、心身の健康を取り戻したり、維持したりすることができます。

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