コラム

家の中でも運動を! 運動と健康には密接な関係がある

7都府県に緊急事態宣言が出され、外出の自粛が求められる中、心配されるのが運動不足です。運動は健康と密接に関係しているので、こんな時だからこそ意識して身体を動かすことが大切です。

しんどい運動は不要 基準以上なら死亡率が低下

運動の健康効果についてはいろいろな研究があり、「意識的に身体を動かすことには健康状態を良好に維持する効果がある」ことは明らかです。

国立がん研究センターの予防研究グループが行った多目的コホート調査(一定の集団について、一定期間行う追跡調査)によると、基準以上の運動をする人たちの死亡率は男性で最大27%、女性では29%も低くなることがわかっています。

この研究のミソは「基準以上の強度と量を行えば、それ以上頑張らなくても、効果は同じ」ということです。つまり、国が推奨しているだけの運動をするだけで、しっかりとした健康効果が期待できるのです。

もちろん、頑張ることにも意味はあります。がんになる率を比較したコホート調査では、頑張って運動する人ほど罹患するリスクが小さいことがわかっています。男性の場合、最大13%、女性の場合には16%も低下します。

糖尿病など生活習慣病の予防にも

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、気になるのが生活習慣病です。糖尿病患者の死亡率が高いなど、感染した場合のリスクが増大するので、最近では特に心配が大きい健康問題の一つでしょう。

運動にはそんな生活習慣病を予防する効果もあります。たとえば、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を普段から行えば、糖尿病を予防できます。

普段から有酸素運動をしている人は4割以上も糖尿病になるリスクが低い、というデータもあり、主に生活習慣が原因で発症する2型糖尿病の場合には、運動に改善や予防の効果があることは広く知られています。

糖尿病に対する運動の効果で大きいのはブドウ糖の取り込みや消費と脂肪細胞の減少です。ランニングやウォーキングといった有酸素運動を行うと、血流量が増え、血液中のブドウ糖が筋肉細胞などに効率よく取り込まれて消費されます。

また、カロリーを消費するので、脂肪細胞が縮小します。脂肪細胞はインスリンのはたらきを抑える物質を分泌するので、運動により縮小できれば、血糖値の上昇を抑えやすくなります。

基準は週に23メッツ 激しい運動は……

それでは、どのくらいの強度や頻度で運動をすれば、健康効果が期待できるのでしょう?

実は厚生労働省がその基準を以下のように発表しています。

■18~64 歳の身体活動(生活活動・運動)の基準

強度が 3 メッツ以上の身体活動を 23 メッツ・時/週行う。具体的には、歩行又

はそれと同等以上の強度の身体活動を毎日 60 分行う。

■65歳以上の身体活動(生活活動・運動)の基準

強度を問わず、身体活動を10メッツ・時/週行う。

具体的には横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分行う。

メッツというのは少し聞き慣れない単位ですが、運動の強度を示す国際的な基準です。「安静時のエネルギー消費量の何倍か」を示す単位であり、たとえば室内での軽めの体操は3.5メッツ、ジョギングは7メッツ程度とされています。

厚生労働省の基準はこのメッツに時間をかけた数字なので、たとえば3メッツの運動を1時間行えば、3メッツ・時となり、毎日行うと21メッツ・時となります。これでは少し足りないので、筋トレなど、少し負荷の大きい無酸素運動を取り入れるのがおすすめです。

ただし、運動の強度や量を増やせばいい、というわけではありません。特に、激しすぎる運動をすると、免疫系の中でもウイルス感染に対抗するはたらきが大きいT細胞などのリンパ球が減ってしまうことがわかっています。

マラソンやトライアスロンの選手は競技後の2週間以内にかぜを引くリスクが2~6倍も高いと言われており、新型コロナウイルス感染症が心配される中では注意が必要です。

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