作曲家、俳優として活躍してきた小林亜星さんが5月30日に亡くなりました。死因とされている急性心不全はいきなり命に関わる症状が現れる可能性がある恐い病気です。

中高年以降は特に発症するリスクが高くなるので、その症状や予防法などについて、確認しておくことをお勧めします。

■いきなり心臓が止まることも! 急性心不全は死に直結する病気

急性心不全はその名の通り、心不全がいきなり起きる病気です。心不全は特定の病気の名前ではなく、心臓が正しく機能しなくなる状態を意味する言葉です。

ジワジワと悪化する慢性といきなり大きな発作を起こす急性に分けられますが、いずれも狭心症や心筋梗塞などの虚血性障害や心筋炎、心臓弁膜症など、原因となる障害の多くは共通します。

心臓が正しく機能しなくなると、血液を適切に送れなくなるため、全身のあちこちで不具合が発生します。命の危険に直結するケースが多く、急性心不全で入院した人の6%が入院中に死亡し、22%が1年以内に死亡することがわかっています。

特に、心臓の機能障害が深刻な場合には、すぐに治療をしないと命に関わります。救急医療によりすくわれるケースが少なくありませんが、コロナ禍の中、救急病院の医療資源がひっ迫しているため、命を失う危険性が高まっている、と考えておくべきです。

■息切れや咳などの前兆を見逃さない

いきなり大きな症状が起きる急性心不全ですが、多くの場合、心臓の状態は発作以前からジワジワと悪化しています。特徴的な前兆が現れるケースも少なくないので、日常から意識しておくことで、予防することができます。

心臓の機能が低下すると、十分な酸素を全身に送れなくなるため、息切れが起きがちです。「少し歩いただけで息が切れる」「階段を上るのに、踊り場で何度か休む必要がある」など、以前にはなかった変化が現れた場合には、心不全を疑う必要があります。

その他にも息苦しさや咳といった呼吸器系の症状やむくみや腹部膨満感、尿量の減少など、心臓の機能不全がもたらす典型的な症状がいくつかあるので、普段から意識しておくことで、症状の悪化を予防できます。

特に息苦しさや咳はCOVID-19と共通する症状でもあるので、もしも症状が現れた場合には、放置せずになるべく早くかかりつけ医に相談してみてください。

■肥満、高血圧、中性脂肪……生活習慣病と深い関係

心不全の多くは生活習慣病と直結しています。肥満や高血圧、糖尿病といった生活習慣病には心臓にダメージをもたらすリスクがあるためです。

生活習慣病の多くは深刻化するまで症状が現れません。ただ、その間にも体内のあちこちにダメージが蓄積されていきます。血管の内側にある内皮細胞も生活習慣病によりダメージを受けやすい部位の一つです。

血糖値が高くなると、血管内皮細胞が傷つきます。高血糖により生成されるAGEsが酸化ストレスを促進したり、血管のしなやかさを保ったりするのに必要な一酸化窒素を不活性化させるなど、さまざまな悪影響を血管内皮細胞にもたらすためです。

血管内皮細胞は高血圧にさらされることによっても、傷ついたりはがれたりすることがあります。血管内皮細胞が傷ついたりはがれたりすると、免疫細胞のはたらきによりしばしば血管が狭窄し血流が妨げられます。

心臓の筋肉に血液を運ぶ血管で狭窄が起きれば、狭心症や心筋梗塞といった虚血性の疾患につながります。すぐに症状が現れなくても、血管の問題が進行すれば、いずれこういった心疾患を発症して、大きなダメージを負うことになるのです。

■COVID-19で心不全に 心不全でCOVID-19重症化

心不全は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とも密接に関係します。COVID-19は免疫系に作用して血管内皮細胞に炎症を引き起こしたり、血栓を形成したりすることが報告されています。

その結果、心臓にダメージを生じるケースは多く、入院治療を受けたCOVID-19患者の4人に3人は心電図に異常が見られました。

また、COVID-19患者の血液を調べたところ、心臓の細胞が壊れたことを示す心筋トロポニンが異常値を示すケースが65%におよんだ、という研究結果も報告されています。

アメリカの「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」にマウントサイナイ医科大学の研究者が掲載したレターによると、心臓に既往症のない人がCOVID-19発症をきっかけに心不全に陥ることがある、とのことです。

COVID-19により心臓が損傷し、急性の心不全を引き起こすリスクはかなり高いと考えられます。

それとは逆に心不全の既往症はCOVID-19を重症化させる因子でもあります。もともと心不全の既往症を持つ人がCOVID-19を発症した場合、重症化するリスクが非常に高いのです。

これは心不全のリスクとCOVID-19の重症化リスクの多くが重なるためです。肥満や高血圧、糖尿病といった生活習慣病は心不全のリスクでありCOVID-19を重症化させるリスクでもあります。

■予防の基本は生活習慣病予防と血管力アップ

このように、急性心不全を予防するためには、少しずつ悪化する心臓――血管の状態をなるべく健康な状態へとリセットする活動が重要です。

日常生活において、血管の劣化を自覚するケースはあまりありません。自覚するのは動脈硬化が進行して、血流が滞るようになった時ですが、そこから改善を試みても、健康な状態にはなかなか戻りません。

国内において糖尿病患者の状態を30年以上にわたって追跡してきた調査においても、糖尿病患者の初期数年間の血糖コントロールがちゃんとできていないと、その後に改善しても血管の劣化を十分に防げないことが最近の研究で明らかになっています。

血管の状態を改善するためには、何も自覚症状が無い時点から、対策を講じ始める必要があるのです。

生活習慣病を改善するもっとも効果的な手段は健康によい習慣を地道に継続することです。栄養バランスに優れた食事を適切な量摂取する。睡眠の量と質を確保する。適切な強度の運動を習慣づける。

こういった健康習慣を続けることで、少しずつ血管の状態を改善して、心不全のリスクを抑えることができます。

■まとめ

血管は生活習慣の鏡と言えます。健康に悪い生活を続けると容易に劣化してしまい、劣化が進むと急性心不全を含め、命に関わるさまざまな疾病の発症につながります。それを防ぐためには、一定の年齢になったら積極的に血管のケアを始める必要があります。

前述したように、生活習慣の改善がもっとも基本的な策ですが、原子状水素の吸入も有効です。血管内皮細胞の状態を改善し、血管のしなやかさを取り戻す効果が実証されているので、健康習慣の一つとして日常生活に取り入れることで、血管の劣化を予防できる、と考えることができます。

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