コラム

オミクロン株の感染拡大が止まらない中、国内ではワクチンの追加接種が進められています。ただ、各自治体で予約枠が埋まっておらず、先行きが心配される状況です。さまざまな背景があると考えられますが、中でも大きいのは「副反応に対する不安」でしょう。

2回目までのワクチン接種で強い副反応を経験した人がいる、との情報をインターネット上などで見たことから、摂取を控える人が少なくないようです。

■接種率は先進国最低 鈍い3回目接種の出足

オミクロン株の感染拡大により、各地で連日のように新規感染者数が更新されています。医療関係者の感染が相次ぎ、東京では病床使用率が50%に迫る状況です。

オミクロン株は従来株に比べて、重症化する割合が低いと言われますが、感染力はデルタ株の4倍程度とされており、感染拡大にブレーキをかけるのは容易ではありません。

特効薬と言えるような治療薬がないため、感染・重症化において、もっとも大きな効果があるのはワクチンです。そのため、先進各国では追加接種の実施が急がれています。

2回の接種では接種後、抗体の量が減っていくため、追加接種により体内の抗体を増やし、感染・重症化を抑えるのが目的です。

アメリカのCDC(疾病対策予防センター)では追加接種を受けることで、入院に対して18~64歳では90%以上、65歳以上でも85%以上という高い有効率を実現できる、と報告しています。

重症化予防において追加接種には非常に高い効果があるのですが、国内では接種が進んでいません。1月末時点の接種率は2%程度と経済協力開発機構(OECD)に加盟する38か国中最低にとどまっています。

■副反応のリスクが心配? ワクチンを敬遠する理由

追加接種を敬遠する人が多い理由でもっとも多いのは「副反応が不安だから」というものです。2021年11月に大阪市が行ったアンケート調査では、3回目の接種について「希望する(66.7%)」「迷っている(28.3%)」「希望しない(5.0%)」という結果が現れました。

「迷っている」「希望しない」と回答した人に理由を尋ねたところ、「副反応が心配」とする答えが最多で56.7%を占めました。

ワクチン接種については1回目が始まる前から、不安視する声が少なくありませんでした。通常は開発・臨床試験に何年もかけるものを1年ほどで導入したため、予期しない副反応が起きるのでは、と専門家の中にも危惧する人が見られました。

そのため、国内でも副反応を報告する仕組みが設けられましたが、十分に機能しているとは言いがたいのが現状です。ちまたには「知り合いの友人が接種後に急死した」といったうわさが絶えず、インターネット上にも同様の情報がはびこっています。

そういった情報が広がりやすいのは、接種後に頭痛や発熱、倦怠感等の副反応を経験した人が多いためです。「こんなに辛いのなら、実はたくさんの人が死んだ、というのもウソではなさそうだ」と信じやすいのです。

■副反応の半分以上が「気のせい」という報告も

ワクチン接種後に出る副反応の中で、数が多いのは発熱や倦怠感・頭痛、接種部位の疼痛です。厚生労働省のまとめによると、ファイザー社製ワクチンの場合、発熱があった人は1回目接種後3.3%、2回目接種後は35.6%となっています。倦怠感は、1回目接種後23.2%、2回目接種後は67.3%でした。

接種部位の疼痛は1回目、2回目とも9割程度の人が訴えています。こういった数字は一般の人が打ち慣れているインフルエンザワクチンに比べてずいぶん高いため、新型コロナウイルス感染症のワクチンは副反応がきつい、と感じられているのです。

そんな副反応について、実は「不安心理によるものが半数以上」とする研究結果がこのほど発表されました。アメリカのベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンター/ハーバード大学医学部で行われた調査によると、1回目の接種では76%、2回目では52%が心理的な反応と結論づけられています。

この研究で注目されたのは、ワクチンの代わりにプラセボ(生理食塩水)を接種した人にも、高い割合で副反応が出ていることでした。研究者らはプラセボを使った対照実験12件の結果を分析。

ワクチンを接種した群との違いを比較した結果、特に発熱や倦怠感、頭痛といった全身症状の多くが、「副反応が起きるに違いない」という思い込みから発症している、と報告しています。

■まとめ

ほとんどの薬に副作用があるのと同じく、新型コロナウイルス感染症のワクチンにも、健康を害する作用が一部にあります。

ときには死にいたるのも事実であり、厚生労働省がまとめた資料によると、2021年の調査期間中に副反応が疑われるケースで、「死亡」と報告された数はファイザー社製で8.1件(100万回あたり)、モデルナ社製で1.8件(100万回あたり)となっています。

これを多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれでしょう。ただ、少なくとも高齢者や基礎疾患のある人にとっては、新型コロナウイルス感染症を発症した場合のリスクが非常に高いため、相対的に副反応のリスクは小さいものと評価できるはずです。

追加接種については、そういった情報に基づいて、冷静に判断する必要があります。

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