コラム

「夜の街における新型コロナウイルス感染症の拡大」が懸念されています。新型コロナウイルス感染症の対策として出された緊急事態宣言が解除されて以来、国内では新たな感染者が増加する傾向が見られます。

特にキャバクラやホストクラブなど、接待をともなう飲食店などでのクラスター発生がしばしば報道されており、「夜の街」を悪とする声が高まっています。

◆一転 悪者にされた夜の街

緊急事態宣言解除以降、新型コロナウイルス感染症の新規患者が目立つのが東京都です。特に、夜の繁華街関係者が感染するケースが多く、6月24日に感染が判明した新規患者55人のうち20人がキャバクラやホストクラブ、ライブハウス、ナイトクラブなどの関係者でした。

26日は新たな感染者54人中31人、27日は57人のうち17人が夜の街関係と報じられました。エリア別に見ると、「夜の街感染」は歌舞伎町を抱える新宿区に集中しており、感染者の発生が特に多いホストクラブなど、接待をともなう飲食店に対する風当たりが強まっています。

TwitterなどのSNS上には「ホストクラブを閉鎖しろ」などの書き込みもあり、「夜の街=悪」という図式が急速に広がっているようです。

◆コロナ以前は官民あげて拡大を推進

接待をともなう飲食店やライブハウス、ナイトクラブなど、主に夜間に営業するお店について、実はコロナ以前には官民あげて、拡大を推進する動きがありました。

目的はインバウンドによる消費の拡大です。夜の街を活性化することで、昼間だけでなく、観光客が夜遊びにより、さらにたくさんのお金を落としてくれる、という期待から、そういった施策は「ナイトタイムエコノミー振興」と呼ばれました。

要は同じインフラや事業用資産で昼・夜の二毛作ができるようになればおいしい、と国や自治体、関連業種の人たちも考えていたのです。

実際、海外から訪れる観光客からは「日本には夜遊ぶ場所が少ない」という声が数多くあがっていました。海外の観光都市にはカジノや深夜まで営業する夜市、ナイトクラブなどのナイトエコノミー関連施設が充実しているケースが少なくありません。

インバウンド景気をさらに盛り上げたい国内事情と合致するため、新型コロナウイルス感染症が広がる以前は国内でも「夜の街」の拡充が図られていたのです。

◆感染予防とコト消費のバランス

夜の街を悪とする声の多くは「新型コロナウイルスの感染源になっている」と非難していますが、「接待をともなう飲食店の存在そのものが好ましくない」という別の論点と混同しているケースが少なくありません。

キャバクラやホストクラブ、ライブハウスなどはたしかに、不特定多数の人が「密」な状態で集まる傾向が強い場所です。しかしながら、職業の中には他にも、職場に人を集めざるを得ないものや密な接触が生じるものが多々あります。

たとえば、整体や理容院や美容院なども人と距離をとって接するのが難しい業種です。それらもひっくるめて「閉鎖すべき」という声がないわけではありませんが、総じて低いのは「必要なものだから」と認識する人が比較的多いからです。

一方、「夜の街」が提供する歓楽については「不要」と断じる人が多く、声高に閉鎖を主張する人の中には「そもそも道徳的に好ましくない存在」と認識している人が多いようです。

ただし、要不要の判断は人それぞれ異なります。ある人にとって必要なものが、他の人にはまったく不要ということは少なくありません。

昨今は「夜の街は不要」という声が高まっていますが、コロナ以前は国や自治体がわざわざ振興策を考えるほど「必要性が高い」という判断が優勢だったのは事実です。

クラスターが発生している中でも、東京都が閉鎖を指示せず、「夜の街での感染予防策」を模索しているのは来年に予定されている東京五輪をなんとか開催して、インバウンド景気の再興をと考えているからでしょう。

Withコロナのフェーズでは、感染拡大の防止と経済再興のバランスが必要であり、経済を支えるピースの一つだと認識されているのです。

◆お店、利用者 双方に求められる感染予防

とはいえ、クラスターがどんどん増加すれば、第二波につながり、緊急事態宣言や東京五輪の中止といった事態を招くことになります。

そうならないためにはサービスを提供する側・受ける側の双方が感染の予防に努めることが大切です。前者については国や自治体で、予防策のモデルが作られているので、今後は導入する店舗が増えるものと思われます。

一方、後者については日常から健康を維持し、免疫がしっかりはたらく状態を保つことが大切です。「不健全」とされることもある「夜の街」を楽しむためには、自己責任で健康を維持する必要がある、と言えそうです。

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