COVID-19のワクチン接種が国内でもいよいよ始まりました。ただ、「接種を受けたくない」と考える人も少なくないため、今後の動向が懸念されます。

ワクチン接種についてどう考えるべきか――現状でわかっている事柄を整理してみました。

■いよいよ接種開始だが集団免疫は成立するか?

欧米などではすでに始まっているCOVID-19のワクチン接種が2月17日から国内でも開始されました。最初に接種を受けるのは先行接種の対象となった医療従事者(4万人)。

3月からは診療に当たる医療従事者370万人の接種が行われ、4月からは高齢者や基礎疾患のある人、さらにその後は一般の人へと接種の対象が順次拡大されていく予定です。

ただ、接種を請け負う自治体によって、受け入れ態勢が異なるため、地域によってスケジュールには大きな違いが出るのでは、とも報じられています。

そんな中、気になるのが接種を受ける側の意識です。強制ではないため、受けるかどうかは個人の選択になりますが、受ける人が少ないと集団免疫が成立しない、という問題が生じます。

ある集団のうち7割程度の人が免疫を獲得すると、感染症は広がりにくくなります。そうなれば緊急事態宣言などにより人の移動や店舗の営業時間などを規制する必要はなくなります。

ワクチンを接種する人が少ないと、そういった社会的な効果が期待できなくなってしまうのです。たとえば、大阪府が行ったアンケート調査によると、ワクチン接種を希望する人(「どちらかというと希望する」を含む)の割合は62.4%となっています。

2020年12月時点で感染により抗体を保有している人の割合は大阪では0.5%程度でした。ワクチン接種を希望する人と合わせても、集団免疫が成立する7割には届いていないのです。

■国内で接種可能なのは3種類 どれを打つかは選べない

現在、世界中にはさまざまな企業や機関が開発したワクチンが存在していますが、日本国内で接種できるのはこのうちファイザー社製、モデルナ社製、アストラゼネカ社製の3種類に限られます。

それぞれ上記のような特徴があり、ワクチンのタイプや効き方、変異株への効果などが異なります。ただ、現状では「ファイザー社製がいい」というように、個人が接種するワクチンを選ぶことはできません。

また、いずれも2回の接種が必要ですが、リスクを避けて確実な効果を得るためには同じワクチンを打つ必要があります。

*1:mRNAはたんぱく質の設計図です。ヒトの体内にウイルスの一部を形成するためのmRNAを注入することにより作られたたんぱく質をヒトの免疫細胞が認識することで、記憶免疫ができます。ただし、これまでmRNAタイプのワクチンが世界で承認されたケースはありません。

*2:ヒトにとって無害なウイルスに新型コロナウイルスが感染の足がかりとするスパイクたんぱく質の遺伝子を組み込んで作られるワクチンです。世界ではこれまで、エボラウイルス用のワクチンのみが承認されています。

■ワクチン接種の効果とメリット

ワクチン接種の効果でもっとも大きいのは感染および重症化の予防です。ワクチンにより、あらかじめ新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対抗する免疫の仕組みを獲得できれば、感染を防いだり、感染した場合でも重症化するのを防いだりできます。

発表されている数字の通りなら、これから国内で接種が進むワクチンの効果はかなり大きいと言えます。たとえば、有効率95%のワクチンなら、1000人中300人が感染する状況下で、感染者数を15人に抑えることができるのです。

また、感染したとしても、体内に免疫の仕組みがあらかじめ用意されていれば、ウイルスが増殖する前に抑え込めるので、重症化する割合を大きく引き下げられます。

変異株がどんどん増えているのが気になるところですが、抗体は対象とするウイルスにある程度似ているウイルスには効果を発揮するので、変異株についても重症化を防ぐ効果があるのでは、と考えられています。

ワクチンにはこのように個人の健康を守る効果に加え、社会や経済を守る効果があります。集団の多くが抗体を持つことで、感染の広がりを抑え、コロナ禍を収束させることができるのです。

■気になる副反応と効果の持続性

大きな効果が期待される一方、心配されるのが副反応のリスクです。前述の通り、mRNAもウイルスベクターもこれまで広く一般に用いられたことがない技術です。そのため、思わぬ副反応が発生するリスクは否定できません。

ただ、すでにイギリスやアメリカ、イスラエルなど接種を進めている国ではこれまで、副反応が出る割合は非常に低く、一部にはアナフィラキシーショックが報告されているものの、予想を超える副反応は見られていないようです。

イギリスでは子供へのワクチン接種が試されており、妊婦やがん治療中の方など、今後は特別な状況にある人の治験が集まれば、副反応について詳細がわかってくるはずです。

一方、ワクチンの効果がどのくらい続くのか、という問題についてはまだまだ情報が少ないと言えます。開発から間がないだけに、免疫力がどの程度の期間、維持されるのか明確にはわかっていません。

意外に短いのではないか、との声があり、その根拠となっているのがブラジルのマナウスのケースです。220万人の人口を抱えるこの町ではパンデミックが発生したことから、2020年10月には献血者の76%に感染歴が確認されました。

一般的に集団免疫が成立した、と考えられる割合です。ところが2か月後の同年12月には感染の第2波が発生。再び患者数が急増したため、医療資源がひっ迫する事態となりました。

このことから、ヒトが獲得した免疫は短期間で大幅に低下するのではないか、と指摘する専門家もいます。

■まとめ

法的な規制がない中、ワクチンを接種するかどうかは個人の選択にゆだねられています。自身や身近な人たち、さらには社会にとってのメリットと、副反応などのデメリットを冷静に比べて、それぞれが判断することが大切です。

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