接触感染のリスクはインフルエンザの10倍以上 コロナ予防には手指アルコール消毒の徹底を

Medical Life Science Laboratory

「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)よりインフルエンザの方がリスクが高い」という声が巷では根強く囁かれています。さまざまな評価ポイントがありますが、感染力についてはやはりSARS-CoV-2の方がはるかに強いのではないか、と考えられる実験結果がこのほど発表されました。

■SARS-CoV-2やインフルエンザは接触感染する

まず、おさらいしておきたいのが「SARS-CoV-2やインフルエンザウイルスは接触感染する」ということ。接触感染とは、ウイルスが付着しているものに触れた手で、目や鼻口などを触ることにより、感染することを言います。

たとえば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が咳をすると、ウイルスを含んだ飛沫が飛び散ります。咳をする際のエチケットとして反射的に手で口元を多う人は少なくありません。

その行動で確かに、空中にウイルスが飛び散るのは防げるのですが、飛沫がついた手を洗わずにドアノブに触れたりすると、そこにウイルスが付着します。後から、そのドアノブに触れた人の手にウイルスが移り、感染の原因になるのです。

SARS-CoV-2には他にも、飛沫感染、空気感染といった感染ルートがありますが、中でも接触感染が大きな割合を占めている、と語る専門家もいます。

■感染力を9時間維持! 法医解剖献体を用いて判明

それでは、接触感染するリスクはどの程度高いのでしょう? なかなか評価が難しい問題なのですが、このほど京都府立大学医学部の研究グループが発表したデータが大きなヒントになりそうです。

この研究では、法医学で使用する解剖用献体の皮膚を使って、人の皮膚に付着したSARS-CoV-2が感染力を維持する時間を計測しています。実験の結果、SARS-CoV-2は人の皮膚上で9時間程度まで感染力を維持することがわかったそうです。

献体の皮膚と生きて活動している人の皮膚とでは温度などの条件が異なりますが、インフルエンザウイルスで実験してみたところ、感染力を維持する時間にはほとんど違いは見られませんでした。

そのため、献体での実験結果を生きている人についても適用できる、と研究グループは結論づけています。

ちなみに、インフルエンザウイルスが人の皮膚上で感染力を維持できるのは1.8時間程度でした。SARS-CoV-2はインフルエンザウイルスの5倍も長く感染力を維持できるのです。

■プラスチックなどツルツルの物体表面では3日以上

物体に付着したウイルスが感染力を維持できる時間の長さは、付着した物体の素材によって異なります。表面がツルツルしているものほど、ウイルスが感染力を維持する時間が長いことが京都府立大学の研究グループが行った実験でも、報告されています。

ステンレススチール・耐熱ガラス・ポリスチレンの表面で、インフルエンザウイルスは6~11時間、SARS-CoV-2にいたっては58~85時間も感染力を維持することが判明したのです。

金属製のドアノブやガラスのテーブル上に付着したウイルスが3日以上も感染力を保つわけですから、その間に誰かが触れて、感染が広がるリスクは非常に大きいと言えます。

インフルエンザの8倍も長い時間にわたって感染リスクが続くことを考えれば、少なくとも感染力という面で評価した場合、SARS-CoV-2の方がはるかに危険な疾患だと言えるでしょう。

■アルコール消毒で速やかに不活性化

接触感染のリスクが非常に大きいSARS-CoV-2ですが、きちんと対応すれば、リスクを抑えられることが可能です。

京都府立大学医学部の研究グループが行った実験では、80%のエタノール消毒液を使用した場合、たった15秒で完全に不活性化される、と報告されています。

公共の施設や店舗などにはアルコール消毒液が設置されていることが多いので、そういった薬液をきちんと使用すれば、接触感染のリスクを大幅に抑えられるのです。

■まとめ

今回の研究報告でわかったのは「なにも対策を講じなければ、COVID-19の接触感染リスクはかなり大きい」という事実および、「アルコール消毒が効く」という事実です。

暮らしの安全を守るためにはそういった新たな知見をいち早く取り入れたいところです。

 

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