コラム

5月の半ば以降、多くの国で都市封鎖(ロックダウン)を解く動きが見られるようになりました。新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために、活動を停止してきた社会がついに再起動し始めたことで、私たちは否応なくウイルスとの共生を求められています。

■封じ込める前にロックダウン解除へ

中国発と言われる新型コロナウイルス感染症で、もっとも大きな被害が発生したのは感染者数約180万人、死者数も10万人を超えたとされるアメリカです。他にも、イギリス28万人、スペイン24万人、イタリア23万人など、欧米の被害が目立ちます。

こういった国々では感染拡大を防ぐため、厳しいロックダウンが敷かれてきましたが、ここにきて規制の解除が相次いでいます。ロックダウンの効果で新規感染者数がある程度、減少しつつある地域もありますが、たとえば、アメリカのワシントン州における5月31日に新規感染者数は過去1か月で最多となっています。

こういった感染拡大のペースがいまだに鈍化していない国でもロックダウンの解除が進められていることから、世界は新しいフェーズに入りつつある、と考える必要があります。

日本でも5月25日に全都道府県で緊急事態宣言が解除されました。今後は各自治体の判断で、自粛要請が段階的に解除されることとなっており、海外にならって新たなフェーズに入ることになります。

■次のフェーズはウイルスとの共存

ロックダウンによるウイルスの封じ込めが第一のフェーズだとしたら、ウイルスとの共存を模索するのが第二のフェーズです。ロックダウンを続ければ、感染の拡大はコントロールできますが、それでは経済が崩壊し、結局は生きていくのが難しくなってしまいます。

そのため、さまざまな知恵を絞ることで、正体が見えてきた新型コロナウイルスとなんとか共生していくしかない、というのが先進各国の判断なのです。ただし、ある程度の犠牲が出ることは覚悟しなければなりません。

韓国は世界に先駆けて感染の封じ込めに成功した国の一つですが、封鎖の解除を受けて、このところはクラスターの発生が相次いでいます。規模の違いはあるものの、規制を緩和した多くの国で同様のことが起きるはずです。

クラスターが拡大して感染の第二波になれば、犠牲者が出ます。それがわかっていても、私たちは規制を緩和してウイルスと共存するしかないのです。

■個人がウイルスと共存するために必要なのは?

人類の歴史上、感染症が世界中に広がるのは初めてのことではありません。これまでも何度か起きており、中世ヨーロッパのペストや1918年頃から蔓延したスペイン風邪などがよく知られています。

新型コロナウイルスと感染の仕方などが似ているスペイン風邪では国内でも第二波、第三波の流行が起き、45万人が死亡しました。当時の人口は5600万人なので、総人口の0.8%が亡くなったことになります。

ワクチンや特効薬は開発されなかったため、多くの人が感染して抗体を持つようになる集団免疫の獲得により収束にいたったとされています。

それでは、今回の新型コロナウイルス感染症はどう収束するのか? それについては二つのシナリオが考えられます。一つはスペイン風邪と同じく、集団免疫の獲得による収束、もう一つはワクチンや特効薬の開発による収束です。

いずれにしろ、最低でも1年程度、長ければ数年かかると見るのが一般的であり、その間は否応なくウイルスと共生するしかありません。

個人にとってはなるべく感染しないよう気をつけたり、感染しても重篤な症状を発症しないよう、健康状態をよりよく保てる生活を送ったりすることがカギになります。

感染予防にはすでに知られている通り、手洗いとマスクの着用、三密をなるべく避けることが有効です。一方、健康状態の維持・改善については生活習慣病の予防や免疫力アップにつながる暮らし方が根幹です。

バランスのとれた食事や質のよい十分な睡眠、適度な運動など、平凡な努力の積み重ねにより、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病を予防し、免疫力を高めることができます。

いずれにしろ、個人がウイルスと共生するためには日々、地味な努力を続けることが欠かせません。ただ、逆に言えば、そういった必要性があることで、健康状態を普段よりも高いレベルに保てる、とも言えそうです。

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