コラム

経済や社会に大きなダメージを与えている新型コロナウイルス感染症ですが、国内外では今も患者数の増大が続いています。こんな状況はいったいいつ終わるのでしょう? 考える3つのシナリオについて解説していきます。

シナリオ①:5月――気温と湿度が上がって感染力が低下する

インフルエンザが寒くなると流行が始まり、暖かくなるとおさまることはよく知られています。ウイルスの性質により、気温と湿度が上がると、感染力が低下するのです。

同じことが新型コロナウイルスについても言えるのではないか、という研究結果がすでに海外ではいくつか発表されています。気温が3~13℃だった地域では感染爆発が起きやすく、平均気温が18℃を上回る国では、確認された感染症患者数は全体の5%未満に抑えられていると言うのです。

たとえば、感染拡大が心配されている首都東京の場合、2019年の月別平均気温を見ると、4月はまだ13.6℃ですが、5月に入ると一気に上がり、20.0℃となっています。つまり、5月以降、感染者数が減っていく可能性はそれなりに高いと言えます。

現在、感染者が爆発的に増えているEU諸国やアメリカなど、北半球にある国はこれから、夏期に入っていくので、気候のおかげで感染者数が減ることは十分期待できます。

ただし、その一方で、南半球はこれから秋、冬と寒冷な季節を迎えます。オーストラリアは3月31日時点で4300人もの感染者数を発表しており、感染爆発の危険性が指摘されています。

北半球が再び冬を迎えたときに、南半球から再度、感染者がやってくる、というシナリオは十分考えられます。

シナリオ②:数年後――世界人口の多くが抗体を持つようになる

新型コロナウイルスには、一度感染して治癒した人は再度感染しにくいという特徴があります。これは抗体と呼ばれる「記憶して対抗する仕組み」が体内にできるためです。無症状、軽症であっても抗体はできるので、一度感染した人はかかりにくくなるのです。

ただし、抗体が機能するためにはウイルスがあまり大きく変異しないことが条件となります。大きく変異してしまうと、抗体が反応しなくなるためです。新型コロナウイルスは変異しやすいRNAタイプですが、一本鎖なのでそれほど複雑な変異はしない、と考えられます。

すなわち、いったん抗体ができた人が再感染するリスクはかなり低いのです。

2020年4月初旬の時点で、全世界に100万人の感染者がいる、と発表されています。検査を受けていない感染者がその10倍程度はいる、と言われているので、1000万人程度が新型コロナウイルスに感染している、と推測されます。

全世界の人口70億人の0.14%に過ぎません。1918年にアメリカから流行が始まったスペイン風邪の場合には世界人口の5割が感染し、うち半数が発症したとされています。国内でも人口の半数が感染し、40万人近い死亡者が出ました。

当時に比べて医療技術は進歩していますが、新型コロナウイルスの方が死亡率が高いので、人口の半数に当たる6000万人が感染すれば、1万人以上の死者が出ることになります。

そこまで感染が広がれば、多くの人が抗体を持つようになるため、感染が終息するのは当然ですが、何年かかるのかはわかりにくいところです。感染を抑制する政策が各国で導入されていることもあり、数年という単位になると考えるのが自然でしょう。

シナリオ③:1~数年後――有効なワクチンや治療薬が登場する

新型コロナウイルス感染症の終わり方について、もっとも期待されるのが、ワクチンや治療薬によってコントロールできるようになることです。インフルエンザなど、すでに類似のウイルスには効果的なワクチンや治療薬があるので、いずれは登場するはずです。

問題は「いつ」利用できるようになるのか、です。

ワクチンにはさまざまなリスクがあり、不完全なものを接種すると、免疫細胞の暴走により症状が悪化することすらあります。そのため、効果やリスクの有無を確認するためには、やはり時間をかける必要があり、すぐにはできません。

治療薬については富士フイルムが開発した抗インフルエンザ薬「アビガン」が効く、と言われています。ただし、新型コロナウイルス感染症に対する治験は3月末に開始されたばかりです。

早く承認できるよう、政府も後押しをしていますが、医療現場で積極的に使えるようになるまでには、まだそれなりに時間がかかると考えられます。

【まとめ】

季節要因を除けば、今後短期間で新型コロナウイルス感染症がおさまっていく、と考えるのは難しい状況です。人口の多くが感染してようやく終息するというシナリオ②は最悪ですが、現在の医療技術をもってすれば、その前にワクチンや有効な治療薬が量産され普及する方が先でしょう。

それまで、自分や周囲の人を危険にさらさないためには正しい情報を集めて、可能な限り適切な予防策を講じることが大切です。

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