コラム

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の多くが治癒後も後遺症に苦しんでいます。特に多いのが倦怠感・疲労感ですが、周囲からは「単に怠けているだけ」などと見なされるケースがあり、患者の苦しみを増大させています。

今回はそんな倦怠感・疲労感の正体について、わかっていることをまとめてみました。

■陰性になった後も続く異常な倦怠感

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は国内でも死者数5000人を超える恐い病気ですが、治癒した場合も後遺症が続くケースが少なくありません。中国で行われた調査では患者の約7割に後遺症がある、とも報告されています。

脱毛や味覚、嗅覚障害などがよく知られていますが、もっとも多いのは倦怠感・疲労感です。中国の武漢市で行われた調査では入院治療が必要となった人の63%がそういった症状を訴えています。

PCR検査で陰性になった後も長く続くことがあり、中には家事がこなせなくなるなど、日常生活に大きな不自由を生じるケースも見られます。

詳しくは後で解説しますが、そういった倦怠感・疲労感は神経障害の一種と考えられており、欧米ではCOVID-19の主な症状の一つと認識されています。

■正体は慢性疲労症候群(筋痛症性脳脊髄炎)?

倦怠感・疲労感をもたらす神経障害として近年注目されている疾患に慢性疲労症候群があります。海外では筋痛性脳脊髄症とも呼ばれる病気です。主に自律神経系に障害が発生することで、患者は耐えがたい倦怠感や疲労感に襲われます。

慢性疲労症候群における倦怠感・疲労感は休養しても軽減しません。そのため、日常生活を自力で賄えなくなるなど、大きな障害が生じます。また、リンパ節の腫れや発熱といった感染症のような症状に加え、筋肉痛や頭痛などの症状が見られることもあります。

現状では、原因等が確定されていないため、こういった症状が6か月以上続く患者で、感染症や代謝・内分泌系の病気、精神的な病気ではない場合、慢性疲労症候群と診断されます。

COVID-19患者の後遺症についても、慢性疲労症候群と同様の症状が現れるケースがしばしば報告されており、専門家の間でも極めて近い病態ではないか、とする声が上がり始めています。

■疑われるのは自己免疫性神経疾患

前述のように慢性疲労症候群の原因はまだわかっていません。ただ、体内における各マーカーを調べた結果として自己免疫性神経疾患ではないか、とする仮説が有力視されています。

非常に大雑把に言うと、なんらかのきっかけにより自分の免疫機能が自身の神経細胞を攻撃してダメージを与えてしまうようになるのが自己免疫性神経疾患です。

この病気にはさまざまな病態があり、ギランバレー症候群などがよく知られています。ギランバレー症候群は風邪など上気道の感染症や胃腸炎など消化器系の感染症をきっかけに自己免疫が神経細胞を傷害するようになる病気です。

病原体に感染した後、1~2週間で手足のしびれなどの神経症状を発症し、顔面麻痺や嚥下障害、呼吸筋の麻痺などさまざまな症状が現れることがあります。治癒には長い期間を要し、発症から数年たっても症状が残る人もいます。

同様の自己免疫性神経疾患にはさらに、血管炎性ニューロパチーと呼ばれるものもあります。こちらは血管の炎症をきっかけとして、自己免疫が神経細胞を攻撃するようになる病気です。

慢性疲労症候群も感染症をきっかけに発症することが多いため、同様の仕組みで発症する病気ではないか、と考えられます。

もともとCOVID-19は免疫暴走により重症化するなど、免疫機能に影響する感染症です。血管においてしばしば炎症を発症することもわかっています。

こういった事実を踏まえると、COVID-19の後遺症である倦怠感・疲労感は感染をきっかけに免疫細胞が自身の神経細胞を攻撃し始めることで起きている、というのはかなり自然な仮説と言えそうです。

■免疫機能の調節で後遺症を抑える

免疫機能の暴走により後遺症が起きているのだとしたら、治療に必要なのは免疫機能の調節です。ギランバレー症候群に対しても経静脈的免疫グロブリン療法などの免疫調整療法が用いられます。

免疫の調節に役立つアイテムの一つに水素があります。原子状水素を含むと考えられるSuisoniaについてはすでに、免疫を調節する効果があることが九州保健福祉大学の池脇信直教授により、明らかにされています。

臨床での研究結果が待たれるところですが、COVID-19患者にとって大きな問題である後遺症について効果が期待されます。

■まとめ

後遺症が長く続くと、生活の質が大きく低下します。仕事や家事が以前のようにできないケースも多いので、感染予防や治療と並んで後遺症対策について、さらなる研究が待たれるところです。

Categories: