コラム

たばこが健康に悪いことは周知の事実です。これまでも禁煙を勧奨する取り組みが世界的に進められてきましたが、コロナ禍の中、その意味が変わりつつあります。

これまでは長年かけて健康を害する恐れがある嗜癖だったのが、即、死を招くリスクが高くなっているのです。

■男性はまだ4人に1人以上が喫煙者

国内では長く、たばこを吸う人の割合が右肩下がりで低下してきました。2019年における喫煙率は男性27.1%、女性7.6%となっています。1989年には男性55.3%、女性9.4だったので、特に男性における減少が目立ちます。

たばこの煙にはタールや一酸化炭素など、身体にとって有害な物質が数百種類も含まれています。それらを摂取した人の体内では大量の活性酸素が発生し、細胞が酸化されてしまいます。

その結果、少しずつ健康が損なわれていき、未病の状態に陥ります。喫煙を含む健康に悪い生活習慣をあらためないと、やがては命に関わる大病を発症することになりかねません。

ただし、従来は「健康→未病→大病」という進行には年単位の時間がかかっていたため、途中で考えをあらためて禁煙すれば、健康を取り戻せました。

コロナ禍の中、そんな事情は大きく変わりました。未病により重症化リスクが大幅に増大するため、慢性病が死病になるケースが増えているのです。

■喫煙はCOVID-19感染死のリスクを大幅に増大する

厚生労働省が発表した資料「新型コロナウイルス感染陽性者の重症化リスク因子への対応等」によると、喫煙習慣がある人がCOVID-19に感染した場合の死亡率は0.99%となっています。

喫煙習慣がない人の死亡率は0.74%なので、たばこを吸うと死亡率が3割以上高くなることがわかります。

同資料では9つの重症化リスク因子を取り上げ、それぞれを保有する人と保有しない人がCOVID-19に感染した場合の致死率を比較しています。

因子によっては保有することで、致死率が極端に高くなるものもあります。たとえば、慢性腎臓病を保有する人の致死率は保有しない人の20倍、慢性閉塞性肺疾患14倍、悪性腫瘍12倍などとなっています。

喫煙習慣はこれらの病気につながる危険因子です。たとえば、たばこを1日20本吸う人が末期腎不全にいたるリスクは非喫煙者に比べて2倍高いと言われます。

慢性閉塞性肺疾患にいたっては、喫煙が発症の主因とされていますし、悪性腫瘍についてもたばこが発症率を引き上げる、という研究結果がいくつも発表されています。

喫煙は直接的にも、またCOVID-19の重症化リスク因子をもたらす、という面でも感染死のリスクを大きく増大するのです。

■禁煙はもっとも簡単に始められる健康法

未病を予防したり、改善したりするのは簡単ではありません。一般的に健康を支えるのは食事、睡眠、運動という3つの因子です。それらを適切に保つためには、一定の知識が必要ですし、ある程度の時間やコストもかかります。

仕事が忙しい人にとって、常に栄養バランスのいい食事をとるのは困難でしょうし、睡眠時間を確保するのも容易ではありません。運動したくても時間がない人や、ジムなどの費用負担がしんどい、という人もいます。

禁煙は時間もコストもかかりません。たばこを吸わない、と決めて守るだけなので、いつでも始められます。

長くたばこを吸い続けてきた人や、ストレスの多い仕事に就いている人などはニコチンへの依存が強く、いきなり禁煙するのが難しい場合もあります。

そんなときには、専門病院の禁煙外来を訪れて、ニコチンパッチを処方してもらうなどの工夫をすれば、苦痛を抑えて禁煙できます。

■まとめ

健康は大切な財産であり、それを守るのは一人一人の責任です。コロナ禍の中ではその意識を持つことが、生死の分かれ目につながりかねません。

禁煙はそんな自己責任の一丁目一番地である、と考える必要がありそうです。

Categories: