コラム

俳優の渡哲也さんが8月10日に肺炎で亡くなったと報じられました。肺炎は国内では5番目に多い死因であり、特に高齢者にとってはリスクの大きな疾病です。

■肺炎は死因第5位の危険な病気

※令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況より

肺炎は肺の中にある「肺胞」と呼ばれる部位が炎症を起こす病気です。2019年に亡くなった方のうち、27.3%の死因は悪性新生物(がん)でした。

心疾患が15.0%、老衰8.8%、脳血管疾患7.7%となっており、肺炎の6.9%はそれらに次ぐ多さ――死因の第5位となっています。

ただし、厚生労働省の統計では、食べ物が誤って肺に入ることで起きる「誤嚥性肺炎」は肺炎とは別にカウントされているので、それを含めると、9.8%となり、心疾患に次ぐ第3位に浮上します。

日本人の10人に1人は肺炎で亡くなっているのです。

■コロナだけじゃない? 肺炎になる原因

肺炎を引き起こす原因はさまざまです。最近ではもっぱら新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が注目されていますが、それ以外のウイルスや細菌、マイコプラズマといった病原体の中にも、肺炎を引き起こすものがあります。

もっとも多いのは細菌感染による肺炎で、中でも肺炎球菌という細菌が原因となるケースが多いとされています。

さらに、高齢化に伴って増えているのが、先ほど触れた「誤嚥性肺炎」です。人の身体は食べ物や飲み物は食道に、吸気は気管に入るよう、うまく分別をしています。

高齢になるとこの機能が衰えるため、飲食物が気管に入りやすくなります。通常、気管に入った飲食物はむせることで排出されますが、その機能も衰えるので、肺まで到達してしまい、炎症の原因になるのです。

■肺炎になったり悪化したりするのはどんな人?

肺炎になりやすいのは基礎疾患がある人や免疫力が低下している人、喫煙者、さらには神経性の疾患を持っている人、高齢者などです。

基礎疾患がある人や免疫力が低下している人は、かぜなどで呼吸器系の炎症を起こしてしまうと、それが引き金になって細菌感染が肺にまで広がってしまうことが少なくありません。

喫煙者も肺炎を起こしやすいことがわかっています。人の気道や気管支には、呼吸とともに侵入した病原体を絡め取ったり、排出したりするはたらきがあります。

たばこを吸うと、そういったはたらきが低下するので、病原体が肺に届きやすくなります。また、たばこの煙で肺胞がダメージを受けていることが多いので、肺に入った病原体が容易に感染を起こします。

神経性の病気を抱えている人や高齢者が肺炎になりやすいのは、しばしば誤嚥を起こすためです。さらに、基礎疾患や免疫力の低下があると、肺の炎症は悪化しやすく、場合によっては命の危険につながります。

■予防のカギは禁煙・ワクチン・誤嚥予防

肺炎予防のカギとなるのは、前述した「肺炎になりやすい人」になってしまわないよう、気をつけて暮らすことです。

糖尿病や高血圧等の基礎疾患がある人は、生活習慣の見直しにより、全身の健康状態を改善することで、肺炎にかかったり、悪化したりするリスクを抑えられます。肺炎が気になるなら、やはり禁煙は必須でしょう。

神経性の病気や高齢のため、誤嚥を起こしやすくなっている人は、食事の前に舌や口のウォームアップをすると、予防につながります。最近では、YouTubeなどで紹介されているので、関心がある人は探して見てください。

「最近、食事の時によくむせるようになった」と感じている人は試してみるのがおすすめです。

肺炎の中でも、肺炎球菌によって起きるものについては、ワクチン接種が有効です。自治体によっては接種費用を助成しくれるところもあるので、比較的気軽に受けることができます。

■まとめ

肺炎は高齢者にとって非常にリスクが高い病気です。死亡率が高いのはもちろんですが、肺炎で入院したことがきっかけで、体力が大幅に低下したり、認知機能が損なわれてしまうケースは珍しくありません。

この記事で紹介したように、有効な予防方法がいくつも知られているので、気になる方は主治医に相談してみてください。

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