コラム

健康目的で利用される水素について、「爆発するのでは?」という不安を抱く人が少なくありません。ドイツの飛行船ヒンデンブルグ号や福島第一原発など、水素の爆発による大きな事故がこれまでも何度か発生しています。

水素は危険な気体なのか――今回は利用する上で気になる基本的な情報を紹介します。

■原子炉や飛行船の爆発で大きな被害も

水素の爆発事故で世界的に有名なのは福島第一原発における原子炉建屋の爆発とドイツにおける飛行船、ヒンデンブルグ号の爆発でしょう。

2011年の3月に発生した東日本大震災では、津波により原子炉の冷却装置が停止。高温の燃料棒により発生した水素が建屋内にたまったことから、1号機や3号機、4号機で相次いで爆発が起きました。

原子炉建屋は壁面のコンクリート厚が約1メートルある頑丈な建造物です。しかしながら、水素の爆発力はすさまじく、1号機、3号機、4号機では外壁が大破し、放射性物質が大気中に飛び散ることとなりました。

同じく水素爆発により大きな被害を出したのがドイツの飛行船、ヒンデンブルグ号です。当時、飛行船には水素もしくはヘリウムが使用されていました。

爆発しないヘリウムの方が安全なのですが、価格が高いので、ヒンデンブルグ号のように水素を使うケースもありました。

1937年に起きた爆発では乗員・乗客35人と地上作業員1人が亡くなりました。の塗装にあった、とも言われますが、水素の爆発力が被害を拡大したことは間違いないようです。扱い方によっては水素が大きな爆発を起こすのは事実なのです。

■健康目的で利用する水素も危険?

それでは、健康目的で利用する水素も危険なのでしょうか? この点について考える前に抑えておきたいのが「爆発」という現象の定義です。爆発とはある物質が化学反応により急激に熱膨張することを意味します。

この現象を引き起こす物質としてよく知られているのが、一般家庭で使われている燃料用のガスや火薬のたぐいです。いずれも、一瞬で酸素と結合して酸化する際、強い熱や炎、衝撃波を発生させるため、爆発すると人やモノに大きなダメージをもたらします。

水素も同じく、酸素と結びついて酸化する際、爆発的な反応を引き起こす物質の1つです。ただし、水素が爆発するためには主に2つの条件があります。

1つは気体中の濃度が4%を超えていること。もう1つは濃度5%以上の酸素が存在すること。福島第一原発の建屋内やヒンデンブルグ号ではこの条件が満たされていたため、爆発が起きたと考えられます。

逆に言えば、これらの条件さえ満たさなければ爆発は起きないので、健康目的で利用される水素発生器機の多くは、発生する気体の水素濃度が4%以上にならないよう設計されています。

■分子状水素には効果と危険性のジレンマ

ただ、水素の濃度についてはジレンマもあります。日々、研究結果が積み上げられていますが、今のところ水素について「どれだけの量を摂取すればどんな風に効くのか」という明確な基準がありません。

高い効果を期待するためにはなるべく多くの水素を摂取した方がいいだろう、と考えられているため、分子状水素については水素の発生量や濃度を各メーカーが競っています。

電気分解方式の場合には、電流量や電圧を高めれば、容易に水素の発生量を増やし、濃度をアップできます。

ところがこの競争には最初から上限があります。4%を超えると爆発の危険性があるため、それ以上の濃度に設定できないのです。濃度を高めれば、その分、効果は高くなりますが、爆発するかもしれないガスを人の身近で発生させられません。

■求められるのは低濃度でも強く作用する水素

濃度と効果のジレンマを解決できるのが「活性状態の水素」です。一般的な分子状水素とは違い、水分子に囲まれることで原子の状態で安定している水素であり、化学式ではH(H2O)mと表記されます。

化学的に安定している分子状水素に比べ、原子状水素は反応性が極めて強いのが特徴です。活性酸素の無毒化や糖化の抑制といった水素の効果は、体内で起きる化学的な反応によるので、分子状水素に比べ、非常に強い健康効果を持つと考えられます。

まだ今後の研究が待たれるところですが、これまで発表されてきた研究結果から、「活性状態の水素」は低濃度でも高い健康効果を持つことがわかっています。爆発の危険がまったくない濃度でも、十分な効果を発揮するのです。

■まとめ

分子状水素と活性状態の水素は似て非なるものです。分子状水素は水を電気分解すれば産生できるので、簡単な装置で発生させられます。

一方、活性状態の水素は現状、過熱蒸気還元法という特殊な方法でしか産生できません。それぞれ、効果やコストに違いがあるので、水素に関心がある方は自身が求める効果により、使い分けるのがよさそうです。

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