子供は感染しにくく、感染しても重症化しにくい、というのがこれまでCOVID-19の特徴とされてきました。ところが、ここにきて、感染し発症するケースが増えており、中には数か月単位で後遺症が続くケースが多い、と海外では報じられています。

感染した子供の約半数がなんらかの後遺症に苦しんでいる、とする報告もあり、無視できない脅威です。

■無症状の子供にも後遺症 イギリスやイタリアで不安なデータ

ワクチン接種が進む国でも感染拡大が起きるなど、まだまだ収束の目処が立たないCOVID-19ですが、これまでは「子供は感染や重症化するリスクが低い」のが救いでした。

ところが、相次いで変異株が発生する中、そんな事情にも変化が起き始めています。子供の感染者が増えているのです。アメリカでは2021年4月の感染者数において、10代前半までの子供が65歳以上の高齢者を上回ったと報告されました。

さらに子供の感染者増とともに問題となっているのが後遺症です。今でも成人に比べて軽症や無症状の割合が高いのですが、症状の有無や重さにかかわらず、後遺症を発症するケースが増えています。

イタリアのローマにあるジェメリ大学病院で行われた調査によると、検査でCOVID-19陽性となった子供(6~16歳)129人を追跡したところ、感染から120日以上にわたって1つ以上の症状を訴えたそうです。

同じく、イギリスの国家統計局が発表したデータでは2~11歳の感染者のうち12.9%、12~16歳では14.5%に感染から5週間後もなんらかの症状が見られた、とされています。

感染時に無症状だった子供が数週間、数か月後になんらかの症状を訴えるケースも多く、非常に心配される状況です。

■疲労感や胃腸障害から記憶障害や成績低下も

COVID-19はもともと症状が多彩な疾患です。当初は肺炎や風邪のような症状だけと考えられていましたが、血管内皮細胞や消化器の細胞にも感染するため、人によってさまざまな症状が現れることが現在ではわかっています。

子供が発症する後遺症はさらに複雑です。疲労、筋肉や関節の痛み、頭痛、不眠、咳や息苦しさ、動悸、味覚や嗅覚の喪失といった一般的な症状に加え、胃腸障害や吐き気、めまい、幻覚、記憶障害なども報告されています。

症状の重さもさまざまで、「何か月もベッドから起きられない」といった、非常に重い障害が現れるケースもあります。記憶障害等、脳のはたらきが低下したケースでは、成績の低下といった子供ならではの問題も起きています。

また、後遺症が長く続く場合には、登校の日数が足りず留年しかねない、との心配もあります。

■検査では異常なし 病院で治療できない

成人の後遺症も同じですが、COVID-19感染後の後遺症については多くの場合、原因が特定できません。息切れなどの呼吸器系の障害では肺のレントゲンやCT検査で異常を確認できることがあります。

また、動悸等の循環器系症状については心電図に異常が見られることもあります。しかしながら、多くの症状については血液検査やその他の検査で、異常を見つけられないことがあり、医師からは「異常なし」との診断を下されてしまいます。

患者が症状を訴えていても、炎症や感染といった問題がないため、医師も治療を行えません。症状を抑える薬を処方することしかできず、根本的な解決につながる治療を提供できないのです。

多くのケースで、時間はかかるものの少しずつ後遺症が軽減されていますが、1年近く症状が残るケースも報告されています。患者や家族にとっては、いつ治るかわからない不調を抱え続けることは大きなストレスとなります。

■一部は精神的なトラウマの可能性も

子供の後遺症について、実は心理的な問題が大半を占めているのではないか、と指摘する専門家もいます。コロナ禍により、子供たちの生活も大きな影響を受けました。

「学校に行けない」「友だちと会えない」など、生活が一変したことで、大きなストレスを抱える子供が増えています。COVID-19とは関係なく、そういったストレスにより、さまざまな不調を訴えているケースが多い、とも考えられます。

ドイツのドレスデンで中学生を対象に行われた調査では、COVID-19陰性の子供と陽性の子供が後遺症のような症状を訴える割合に違いはない、という結果が出ています。

この結果から、本物の後遺症を発症するのは感染者の1%程度ではないか、と言われていますが、症状の重さや日常生活における負担の大きさを考えると、深刻な問題だと認識すべきでしょう。

■まとめ

国内では子供に対するワクチン接種が推奨されています。副反応や長期的なリスクについて、まだまだわからないことが多いため、反対する声が高く、過激な運動も一部に見られます。

これまで、子供はほとんど感染せず、重症化もしないことから、ワクチンのメリットはたしかにあまり大きくありませんでしたが、後遺症で苦しむケースが増えている状況に照らすと、判断を変える必要があるかもしれません。

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