コラム

牛乳を飲むとお腹が痛くなる人は、認知症を予防しやすいかもしれない――今回はそんな、ちょっと不思議な情報をお届けします。

認知症になって家族に迷惑をかけるのだけは避けたい、と願う高齢者は少なくありません。牛乳はそんな人に役立つ認知症予防策になるのか、検証してみたいと思います。

■認知症の発症リスクは酸化ストレス

心疾患や脳疾患、がんなど、死亡につながる重い病気が生活習慣と密接に関係していることはよく知られています。栄養バランスの悪い食事、質、量ともに不十分な睡眠、運動不足といった健康に悪い生活習慣を続けると、体調は確実に悪化します。

しばらくの間は特に症状を自覚しませんが、不健康な生活を続けると、やがては肥満や高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を患い、命の危険を伴う大きな病気を発症することになります。

認知症も同じそういった病気と同じく、生活習慣病によって発症リスクが大きく高まることがわかっています。生活習慣病は主に細胞の酸化や糖化によって発症し進行します。

細胞を酸化させる活性酸素は脳の神経細胞にもダメージを与えます。脳は体重比で2%程度の重さしかありませんが、全身で消費する酸素の20~25%を消費します。その分、活性酸素を産生しやすく、酸化ストレスが発生しやすい臓器です。

酸化ストレスにさらされた脳では老廃物の除去が円滑に行われなくなります。脳内の間質液が滞留するようになり、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβなどがうまく排出されなくなるため、認知症を発症しやすくなるのです。

■酸化ストレスを抑えるのに役立つのは水素

人の身体には酸化ストレスを引き起こす活性酸素の害を抑える仕組みが備わっています。抗酸化酵素(スーパーオキシドディスムスターゼ)と呼ばれる物質を分泌することで、活性酸素を抑制できるのです。

ただし、この仕組みは加齢とともに劣化します。40台以降は抗酸化酵素の分泌量が急激に減少するため、活性酸素による細胞の傷害が増え、老化が進みます。

活性酸素を抑える方法には、他に抗酸化物質を体内に取り入れるやり方があります。ビタミンCやE、ポリフェノールなどが代表的な抗酸化物質と言われますが、もっとも効果が大きいのは水素です。

一般によく知られている通り、水素は酸素と反応して水になります。この反応性が非常に高いので、あらかじめ細胞内に水素が存在していれば、産生した活性酸素をすぐに無毒化できます。

■乳糖が材料 腸内細菌が水素を産生

細胞に水素を取り入れる方法はいくつかあります。水素水の飲用や水素の吸入などがよく知られていますが、実は人の身体にはもともと水素を産生する機能が備わっています。大腸に生息する腸内細菌の中に、水素を産生するものがいるのです。

人の大腸には100兆個以上の細菌が生息しています。1000種以上におよぶ腸内細菌の中には食物を分解する際に水素を排出するものがいます。人の身体はそんな細菌によって産生された水素を活用しているのです。

水素の原材料になる栄養素はいくつかあります。食物繊維が有名ですが、効率的に水素が産生されるものとして最近注目されているのが乳糖です。

乳糖はほ乳類が分泌する乳汁に含まれる成分で、ガラクトースとブドウ糖分子で出来ています。牛乳には4.5%程度含まれているので、乳製品から摂取できます。

■牛乳を飲むと腹痛が起きる人ほど大量の水素

水素の原材料となる乳製品ですが、日本人の中には牛乳を飲むと腹痛やお腹の張り、下痢などを訴える人が少なくありません。この症状は乳糖不耐症と呼ばれるもので、乳製品に含まれる乳糖が大腸に届くことで発症します。

通常、乳糖は小腸で分泌されるラクターゼという酵素によって分解され、大腸にはほとんど届きません。ところが、ラクターゼの分泌量が少ないと、大腸にまで届いた乳糖を腸内細菌が分解し始めます。

その際に産生される水素ガスや酸によって、腹痛などの症状が現れるのです。日本人の約7割がこの乳糖不耐性だと言われています。

不快な症状を嫌って、乳製品を敬遠する人が少なくありませんが、乳糖が大腸に届くと言うことは大量の水素が産生され体内で酸化ストレスの抑制などに利用される、ということでもあります。

実際、牛乳を飲んだ人の呼気を調べた実験では、飲用12時間後も呼気に含まれる水素の量が通常よりも多かった、という結果が報告されています。

乳製品を摂取すれば、長時間にわたって水素の抗酸化作用を利用できるのです。

■まとめ

水素を摂取する方法はいくつもあります。それぞれ、利点があるので、できればいくつかを組み合わせて用いたいところです。

牛乳など乳製品の利用には、この記事でも紹介したとおり、長い時間にわたって効果が続くという利点があります。水素の吸入などとあわせて、牛乳を飲むことで、体内で長時間にわたって酸化ストレスを軽減できます。

脳細胞の酸化も抑えられるので、認知症予防にも効果があるはずです。

なお、お腹の不快な症状が気になる場合には、ビフィズス菌などが含まれたサプリメントをとるのがおすすめです。腸内細菌叢において善玉菌を増やすことで、不快な症状を緩和できます。

Categories: