コラム

コロナ禍で外出する機会が減る中、心配される影響の一つに骨粗しょう症の増加があります。加齢とともに骨密度が低下して骨折につながる症状です。

高齢者が骨折した場合には要介護状態に陥ったり認知症を発症したりするケースが多いため、健康を考える上で骨粗しょう症の予防は重要です。この記事では発症の原因や予防策について解説します。

◆まさに国民病! 国民の10人に1人が骨粗しょう症

骨粗しょう症は骨の密度が一定以下に低下する疾患です。人の全身には206個個もの骨があり、連携して体重を支えています。動きによっては体重の何倍もの負荷がかかる骨もあるため、密度が低下すると容易につぶれたり折れたりします。

一般社団法人骨粗鬆症学会が2015年に発表したデータによると、骨粗しょう症を抱える人は国内に1300万人いるとされます。国民の10人に1人が発症しており、国民病と呼ぶべき状態です。

発症割合には性差が大きく、女性980万人に対し、男性は300万人となっています。骨密度は通常、20歳ごろにピークを迎え40歳ごろまではそのまま維持されます。

その後は加齢とともに減少していくのですが、女性の場合には50歳代になると急激に低下して骨粗しょう症を発症しやすくなります。

◆骨粗しょう症の原因は骨リモデリングの異常

一見すると、人の骨は同じ状態が保たれているように見えますが、実は常に壊しては作る、という活動が行われることで、一定の状態に保たれています。

このサイクルは「骨リモデリング」と呼ばれます。骨を壊す破骨細胞と骨を作る骨芽細胞という2種類の細胞がバランスよく連携することで、骨は健康な状態に維持されているのです。

なんらかの理由でこのサイクルが崩れ、破骨細胞の活動が勝ると、骨密度が低下します。女性の場合には閉経によるエストロゲンの減少が大きな要因と言われます。

女性ホルモンであるエストロゲンは骨を保護する因子(Semaphorin3A)の発現に関係しているため、エストロゲンが減少することにより保護因子が減ると、骨の破壊が促進されてしまうのです。

骨密度にはその他にも栄養や運動による負荷など、いくつもの因子が関係しています。運動不足や偏った食生活などにより骨粗しょう症を発症することがあるので、注意が必要です。

特に、極端なダイエットは骨粗しょう症につながるリスク因子の一つです。骨を形成するコラーゲンやカルシウム、リンなどの不足に加え、エストロゲンの分泌異常を引き起こすことがあります。

◆骨粗しょう症を放置すると寝たきりや認知症に

骨粗しょう症そのものは特に苦痛や不具合をもたらす疾患ではありません。ただ、骨密度が低下すると骨折しやすくなります。特に大きな負荷がかかる腰椎や大腿骨の骨折が起きやすくなり、入院治療のリスクが増大します。

高齢者が骨折で入院すると、それを機に寝たきりになってしまうケースが少なくありません。一気に筋力が低下してしまうと、それまで歩けていた人が歩行困難になったり、起きている時間――離床時間が極端に短くなったりするのです。

入院生活により認知症が悪化するケースも少なくありません。家事をしたり、家族と話したりする機会を失い、環境が大きく変わることで、認知機能に問題を生じる高齢者は多いと言われます。

◆健康的な生活でアンチエイジング 骨には適度な刺激を

骨密度の低下には加齢の影響が大きいため、対策の基本はアンチエイジングにあります。食事・運動・睡眠という3つの要素を整えることで、肉体年齢をなるべく若く保ち、骨粗しょう症を予防できます。

活性酸素の無毒化もアンチエイジングに有効です。ストレスなどにより体内で発生する活性酸素は細胞を酸化し、老化をもたらします。

人には活性酸素を無毒化する酵素――抗酸化酵素が備わっていますが、年齢と共に産生量が減少します。そのため、40代以上では活性酸素の害を抑えるためには抗酸化物質を体外から積極的に取り入れる必要があります。

ビタミンCやポリフェノールといった抗酸化サプリがありますが、もっとも有効なのは水素の摂取です。

骨の材料となるカルシウムやコラーゲン、ビタミンDなどを食事などから摂ることにも予防効果があります。最近では「牛乳に含まれるリンが骨に悪い影響をおよぼす」といった情報がちまたに流れていますが、これには否定的な論文が存在します。

下痢などにつながる乳糖不耐性には気をつける必要がありますが、骨密度のために牛乳を飲むのは有効と考えられます。

骨密度を保つためには骨に刺激を与える運動も必要です。骨の状態を考慮する必要がありますが、かかと着地で歩くなど、high impactの運動を取り入れることで、骨を強化できます。

◆まとめ

骨粗しょう症は生活習慣との関係が深い疾患です。コロナ禍により、外に出て歩く機会が減ったため、骨密度が低下した人は少なからずいる、と考えられます。

最近では簡単な検査で骨密度を測ることができるので、気になる方は一度検診を受けてみてはいかがでしょう? その上で、問題が見つかったら、食事や運動などの生活習慣を見直すことで、骨折につながるリスクを軽減できます。

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