コラム

スーパー等の食料品店に行くと「減塩みそ」「減塩しょう油」など、塩が少ないことをうたう商品がたくさん並んでいます。塩はなるべく控えた方がいい、というのが健康を意識する人たちの常識となっていますが、理想の塩分摂取量はどのくらいなのでしょう?

明らかになってきた塩との付き合い方をレポートします。

■少なければ少ないほど血圧に好影響

ナトリウムは人にとって欠かせないミネラルの一つです。日常生活の中では通常、塩化ナトリウム(食塩)として大半を摂取していますが、摂りすぎると血圧に影響することがわかっています。

人の身体は腎臓の働きにより体内の塩分濃度を一定に保っており、体内の塩分量が多いと、水分をため込むことで塩分濃度を引き下げようとします。水分が増えた分、体内を循環する血液の量も増えるため、血圧が上昇するのです。

血圧が高い状態が続くと、血管がダメージを受け、心臓や脳など重要な臓器に障害が発生しがちです。そのため、特に中高年以降では塩分を控えるよう、あちこちで推奨されているのです。

では、どのくらいまで減らすのが適当なのでしょう? 実はこれまで、下限を示す研究はほとんどなされてきませんでしたが、このほどイタリアのモデナ・レッジョ・エミリア大学の研究者であるマルコ・ヴィンチェッティ氏らのグループが、そのヒントになる研究結果を発表しました。

それによると、塩を減らす効果に下限はなく、減らせば減らすほど、血圧は良好とされるレベルに向けて下がっていくようです。

■理想は○グラムだけど日本では7~8グラム?

そんな食塩の摂取量について、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」では18歳以上の成人について、1日あたり1.5グラムが理想としています。

アメリカ心臓協会も同じく1.5グラムが理想と語っており、健康を基準に考えるなら理想の摂取量はこのぐらいだと思われます。

ただし、日本人の平均摂取量は11.0グラムとなっており、理想とはかなり大きな差があります。そのため、国内では食塩の摂取量について、女性7.0グラム未満、男性8.0グラム未満という目標値を厚生労働省が定めています。

■塩分どっさりのカップ麺は朝食べろ?

体内のナトリウム濃度は腎臓における再吸収により調節されています。体内の塩分量が多ければ、再吸収を抑えて尿の中に塩分をしっかり排出し、塩分濃度が低い場合にはある程度のナトリウムを再吸収するのです。

このナトリウムの排出機能は1日のうちではたらきかたが大きく変わります。東北女子大学・東北女子短期大学の研究者らが発表した論文「カップ麺の摂取時刻とナトリウムの尿排泄量」によると、朝食、昼食、夕食のいずれのタイミングでカップ麺を食べるかによって、尿の中に排出されるナトリウムの量が大きく異なるとされています。

カップ麺のスープには大量の塩分が含まれており、血圧が気になる人にとっては問題が大きい食品です。ただ、今や国民食とも言えるほど生活に密着した食品でもあり、食べたいという強い欲求に駆られることもあるでしょう。

論文の中では、朝食として食べることで、尿中のナトリウム排出量がもっとも多くなる、と報告されています。朝食として食べた場合には24時間で摂取した量の85%が排出されますが、夕食として食べた場合には55%しか排出されなかった、とのことです。

血圧に問題がある人がカップ麺を食べる時には、汁をなるべく飲まないよう気をつけるとともに、朝食べるのがよいようです。

■まとめ

塩味が好きな人の中には「ある程度の塩分は摂る必要がある」と言う人がいます。ただ、今回紹介したように、理想とされる塩の量は1.5グラム――小さじ1/4とされています。

ほとんど味付けせずに食べても実現が難しい数字ですから、血圧が気になる場合には「減らせるだけ減らす」「なるべく朝食べる」という方向で努力するのがよさそうです。

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