石けんは不要? 身近な清潔アイテムとの付き合い方を見直してみる

Medical Life Science Laboratory

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防のカギとされるアイテムの一つに石けんがあります。一時は除菌効果をうたうハンドソープがドラッグストアの店先から消えたこともありました。

現在もそのニーズは高く、コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する効果をうたう商品も登場しています。その一方、「使いすぎは健康に悪い」という説もあるので、利用法について一度見直す必要がありそうです。

■石けんの成分とはたらき

大まかに言うと、石けんは界面活性剤で油脂等の汚れを落とす薬剤です。界面活性剤はアルカリ成分と油脂成分でできており、水とも油ともよく馴染むので、汚れを水に溶かして落とす効果があります。

石けんの歴史は古く、紀元前3000年頃にはすでに使われていたことがわかっています。最初の石けんは羊を焼いた際に落ちた脂と灰が混じったものでした。

偶然できた物質に汚れを落とす効果があることを知った私たちの先祖が、それを日常的に使うようになったのが始まりだと言われています。人類はすでに5000年にも渡って石けんを利用してきたのです。

■「SARS-CoV-2に効く」とうたう石けんも

そんな大昔からあるアイテムですが、最近では進化を重ねて、さまざまな効果をうたうものが登場しています。中でも、注目を集めているのが「除菌効果」を特徴とする石けんです。

COVID-19の感染予防に手洗いが有効とされたことから、「それなら除菌効果のあるハンドソープがいいはず」という連想で、人気が沸騰しています。

石けんの中にはシャボン玉石けんのように、「インフルエンザの感染を抑える効果がある」とうたうものもあります。

同製品を提供するシャボン玉石けん株式会社の研究開発部門は、シャボン玉石けんに含まれるオレイン酸カリウムにはインフルエンザウイルスの表面にあるスパイクタンパクに付着することで、感染力を抑えるはたらきがあると発表しています。

■除菌効果は必要ないという意見も

ただし、医学者の中には「手洗いは有効な感染予防手段だが、除菌石けんは必要ない」という人が少なくありません。

COVID-19の主な感染経路は飛沫感染と接触感染だとされています。ウイルスが付着した手で顔を触ると、目や鼻、口などの粘膜にウイルスが感染し、発症につながるのです。

ですから、小まめな手洗いでウイルスを常に除去していれば、感染するリスクを抑えられるのはたしかですが、わざわざウイルスを殺す必要はありません。

手についたウイルスは皮膚表面の脂分により絡め取られますが、界面活性剤で洗い流せば、除去することができます。

■使いすぎると免疫力が低下するという報告も

石けんに除菌や殺菌効果を求めるべきではない、という専門家もいます。皮膚の表面には大量の細菌が棲息しており、人の健康を保つはたらきをしているためです。

同様のはたらきをする細菌群では腸内フローラが有名ですが、皮膚の表面にも200種類100万個以上の細菌がいると言われます。

「マイクロバイオーム」と呼ばれる細菌叢には人の健康を促進する化合物を産出しており、免疫を強化するはたらきがあることがわかっています。

除菌石けんだけでなく、普通の石けんであっても、使いすぎると細菌叢のバランスが崩れ、皮膚の健康を損なう危険性があるのです。

■まとめ

石けんを使う手洗いがCOVID-19予防に有効であることは確かです。ただ、除菌効果までは必要ありません。石けんで殺菌するのではなく、流水で丁寧に洗い流すのを助けるアイテム、と考えるのが正解です。

その他の部位については「毎日石けんでごしごし洗う」という使い方にはむしろ健康を損なうリスクがあるので、避ける方が賢明でしょう。

 

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