コラム

俳優の神田沙也加さんが急死した、と報じられています。詳細は不明ですが、状況からは自殺の可能性が高いものと考えられます。

国内では若年層の死因1位となっている自殺は個人の選択というより、精神疾患の一症状ととらえるのが適切です。悲劇を予防するためには医学的なアプローチが大切です。

■神田沙也加さん急死で懸念されるウエルテル効果

札幌市内のホテルで俳優の神田沙也加さんが急死した、とのニュースは多くの人に大きな衝撃を与えました。札幌市内のホテルで倒れているところを発見され、搬送先の病院で死亡が確認された、とのことです。

状況からは自殺の可能性が高い、と報じられています。35歳という年齢に加え、念願だったミュージカルの初日を翌日に控えての死であり、一般にはなかなか動機をうかがい知ることができません。

ただ、一般論で言うなら、自殺の多くはうつ症状から発生します。うつ症状はストレスにより、体内の炎症性サイトカインが増加したり、脳内で分泌される神経伝達物質のバランスが崩れたりすることで起きます。

詳細は本人しか知り得ませんが、生活や仕事において感じるストレスをうまく処理できなかったことで、うつ症状に陥った可能性があります。

影響力が強い人物の自殺は若い世代の連鎖的な自殺につながることがあります。ウエルテル効果と呼ばれる現象であり、これまで国内でも何度か起きているので、今回も注意が求められます。

■コロナ禍で心配される自殺者の増加

日本はもともと「自殺大国」と呼ばれるほど、自殺者が多いことで知られており、2020年における自殺者数は2万1081人にのぼります。

この数字だけ見ると、「自殺が多めの国」に過ぎませんが、「遺書が見つかったケース以外は変死扱い」という特殊な数え方をしているため、実際の自殺者数は10万人を超えると見られます。

世界的に突出した数字であり、国民性や社会の状況などが複雑に関係した結果と考える必要があります。特に、15歳~39歳という若い世代では死因のトップが自殺です。

官民一体の取り組みにより、近年は減少傾向が続いてきましたが、2020年には一転して前年比で増加しました。コロナ禍で生活や仕事の状況が大きく変化したことが原因、と考えられます。

オミクロン株の登場で、まだまだコロナ禍が続く可能性が高い中、今後も増加傾向が続く可能性は小さくありません。

■自己責任論の限界と病気としての認知

自殺の報道があると、必ず出てくるのが「自己責任論」です。国内ではこの発想が特に強く、たとえば、2017年には元サッカー日本代表選手の本田圭佑氏が「人のせいにするな。両親に感謝しろ」といったコメントを公に発して問題視されました。

うつは心の病気と言われますが、実際には「脳の病気」です胃潰瘍が胃という臓器の病気であるのと同じく、うつは脳という臓器の病気なのです。

生き方や考え方が、うつの発症リスクにある程度影響するのは事実ですが、同じことはほとんどの病気について言えます。うつ状態の人に「悩むな」と言うのは胃潰瘍の人に「胃酸を分泌しすぎるな」と言うのと同じです。

自己責任論はかえってプレッシャーをかけ、ストレスを与えるだけなので、有害性の高いアプローチです。脳の状態が一定以下に悪化した人に対しては最後の一押しになってしまうこともあるため、注意する必要があります。

■必要なのは「慢性期」の予防と「急性期」の対策

自殺という悲劇を減らすためには周囲のアプローチが重要です。基本となるのは急性期と慢性期の対応です。急性期とは単に気分が落ち込んでいるだけでなく、「死にたい」という明確な欲求――希死念慮を持つようになった状態です。

この場合にはなるべく早くに周囲の人が気づいて、適切な対応をとる必要があります。医療機関を受診し、場合によっては入院や投薬といった医療を受ければ、自殺へといたるリスクを軽減できます。

強いうつ症状はまだないが、気分が落ち込んだり気力を失いがちだったり、という慢性期には脳の状態が悪化しないよう、予防に努めることが有効です。ストレスの軽減、睡眠や運動、食事といった生活習慣の改善により、うつ状態へと進むのを防げます。

ストレスの軽減には、ストレスの要因を生活の中から減らす取り組みとストレスの影響を抑える取り組みがあります。前者については多くの場合、働き方や生活スタイル、周囲の人たちとの関わり方などの見直しが改善のカギです。

一方、後者については身体的なアプローチが有効です。強いストレスにさらされ続けた人の身体では、活性酸素による細胞の酸化やそれに伴う炎症、脳内におけるATPの不足といった問題が発生します。

そういった身体の状態変化がうつをもたらすことが、最近の研究で明らかになっています。ですから、逆に言えば活性酸素や炎症、ATP不足を抑えられれば、ストレスの悪影響を低減できるのです。

では、具体的にはどうすればよいのでしょう? その答えの一つが「活性状態の水素(AFH)」の吸入です。AFHを摂取すれば、活性酸素を無毒化して細胞の酸化を抑えられます。

炎症を抑制する効果がある、と実証されていますし、ATP産生についても高い効果が期待されています。

■まとめ

神田沙也加さんの急死が注目を集めていますが、京急線車内や大阪の北新地で発生した放火事件も一種の自殺――社会との心中を狙ったものと考えられます。

死を望む人の行為は厳罰では止められません。多くの人が安心して過ごせる社会を気づくためには、社会全体での取り組みが不可欠です。

この記事で示した自殺やうつを予防する方法をもっと広く知らしめることも、効果が高い方法の一つです。

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