国内で未曾有の感染爆発が起きる中、アメリカの疾病対策センター(CDC)が憂慮すべき報告をまとめた、と報じられました。COVID-19のデルタ株は水疱瘡と同等の感染力を持つ、というのです。

これがどういうことであり、どう対応しなければいけないのか、情報をまとめてみました。

■CDCが「デルタ株の感染力は水疱瘡と同等」

東京五輪にわく中、国内ではこれまでにない規模の感染爆発が起きています。連日、多くの都道府県でこれまでにない数の新規感染者が報告されており、8月3日には1万2000人を超えました。

各地に緊急事態宣言やまんえん防止等重点措置が発令されていますが、その効果は薄く、医療崩壊の危機が現実のものとなってきました。

いくつかある原因の中で、もっとも大きいのはデルタ株の出現でしょう。従来株に比べて感染力が非常に高く、CDCはこのほど「水疱瘡と同程度」とする資料をまとめました。

デルタ株については、日本人に多い白血球のタイプHLA-A24による識別を免れる性質がある、とも報じられています。欧米に比べて感染が少ない原因――「ファクターX」の一つが効かないとなると、強い感染力と相まって、欧米並みのパンデミックが起きる可能性が高い、と考えるべきです。

■すれ違っただけで感染 「水疱瘡と同等」の脅威

ウイルスの感染力は「再生産数」という数字で表されます。1人の患者が平均何人の人に感染を広げるか、という数値です。感染症の中でもっとも感染力が強い、とされる麻疹の場合、再生産数は12~18とされています。

これがどのくらいの強さか、というと、たとえば体育館の隅っこに麻疹の患者が1人いたら、同じ空間にいる人の誰が感染してもおかしくない、と言えるレベルです。次に強いとされるのが百日咳で12~17。

水疱瘡は8~10で3番手にあたり、ごく短時間であっても、同じ空間にいた人には感染リスクがある、と言われます。すれ違っただけで感染することすらあるのです。

水疱瘡は空気感染するため、物理的な手段では感染を予防できません。マスク(N95を含む)や空気清浄機などを用いても、感染を効果的に防げないのです。

■ワクチン接種後もCOVID-19との闘いは終わらない

物理的な対策が存在しない麻疹や百日咳、水疱瘡についてはすでにワクチンが普及しています。唯一の対策であり、実際に効果があることがわかっているので、人類が医学により打ち負かした相手、と言えるでしょう。

もしも感染した場合も、その後は体内に抗体ができるため、一生のうちに再度感染する可能性は非常に低いのも、これらの感染症の特徴です。

ところが、COVID-19は違います。現状ではワクチンが一定の効果を発揮していますが、デルタ株などの変異株が出現するたびに有効性は低下するようです。感染した人が2度目、3度目と感染をくり返すケースもあり、一筋縄ではいきません。

CDCではこれまで、ワクチン接種後はマスクが不要になる、としてきましたが、2021年7月には方針を変え、接種後も引き続き、屋内ではマスクを着用すべきだと発表しています。

ワクチンを接種済の人もCOVID-19感染を広げる可能性がある、とわかったためです。ただ、水疱瘡と同等の感染力を持つとしたら、マスクや換気の有効性はかなり低いはずです。

ロックダウンなどの厳しい制限なしに、現在国内で発生している感染爆発を止める手段はない、と考えるべきかもしれません。

■まとめ

「ワクチン接種が広がれば、もとの生活に戻れるから」――私たちはこれまで、自身にそう言い聞かせて、我慢を重ねてきました。デルタ株の出現で、我慢の期限はさらに延びた、と考える必要がありそうです。

マスクや換気などの対策が効かないとなれば、COVID-19との闘いは事実上手詰まりに陥っている、と考えざるを得ません。希望があるとしたら、現在開発が進んでいる治療薬や治療法の確立でしょう。

それまで、ワクチン接種は単にリスクを低減できる手段にすぎない、と認識して人との接触をなるべく避け、健康を保って免疫を維持するなどの努力を続けることが大切です。

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