このサイトでも紹介しましたが、72歳になる義母が現在、肺がんの治療中です。健康面のさまざまな問題が心配される中、新型コロナウイルス感染症予防のワクチンについて、「副反応が恐い」と義母が語るようになったため、がんセンターを受診した際、専門医に尋ねてみました。

果たして、ステージ3の肺がんと間質性肺炎を抱える患者は新型コロナウイルス感染症のワクチンを接種すべきか――私の問いに対する専門医の答えは少し意外なものでした。

■ワクチンを接種して大丈夫? がんによる影響を心配する声

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は免疫系に作用する特殊な感染症です。もともとは「肺炎を引き起こす感染症」と認識されていましたが、その後の研究により、全身の血管や消化管など、さまざまな部位の細胞に感染し、人によっては免疫暴走を引き起こすことがわかってきました。

ワクチンは人が持つ免疫系にはたらきかけることで、感染を予防したり重症化を抑えたりするものです。免疫の状態は人によって異なるため、非常に低い確率ですが、アナフィラキシーショックをはじめとする副反応が発生することがあります。

既往症がある人の免疫は健康な人とは状態が異なることがあるため、副反応が起きやすいのではないか、と心配になるのは自然な流れでしょう。

インターネット上には「ワクチン接種は危険」とするさまざまな情報が飛び交っています。中には誤解に基づくものや荒唐無稽なものが多数含まれますが、既往症を持つ人については、注意すべき点があるのは事実です。

■がん患者は優先接種の対象? 厚生労働省の見解

ワクチン接種のリスクについては厚生労働省がホームページ上でわかりやすく説明しています。それによると、慢性的な病気を抱える患者のうち、「病気が悪化している人」は接種を慎重に検討すべき、と解説されており、がん患者もそれに含まれると考えられます。

ただ、がん患者の健康状態には非常に大きな幅があります。ステージ1~4で表される他、体力や炎症、免疫の状態などには大きな個人差があり、ワクチン接種のリスクもそれぞれ異なります。

がん患者の中にはむしろワクチンを接種した方がいい、と考えられる人も多いため、厚生労働省のホームページでは、「免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を含む。)」に罹患している場合には、基礎疾患を有する者と見なし、優先接種の対象になる、と紹介しています。

がん患者の多くはCOVID-19に罹患すると、重症化するリスクが非常に高いので、ワクチンを優先的に接種できる場合があるのです。

■50代 既往症なしの筆者よりも副反応のリスクは小さい?

上記のような事情を知った上で、筆者は先日、義母のがんセンター受診に同行し、専門医に話を聞いてみました。現在、義母の右肺下葉には直径4.6センチの腫瘍があり、肺門リンパ節への転移も確認されています。

また、長年の喫煙癖により慢性的な間質性肺炎を抱えており、がん治療に放射線が使えないほどの状態です。

そんな義母がワクチンを接種するリスクについて尋ねたところ、専門医の答えは「非常に低い」とのことでした。がんや間質性肺炎がワクチンの副反応につながるリスクは、無視できるレベルだと言うのです。

無視できるレベル、というのが少しわかりにくかったので、「私が接種を受けるのに比べると、どの程度の違いがありますか?」と重ねて尋ねてみました。筆者は50代で糖尿病やアレルギー等の既往症はありません。

専門医の答えは明快でした。「ワクチンの副反応は年齢が若い人ほど出やすい傾向が見られるので、あなたの方がリスクが高いですね」

一方、義母がCOVID-19に感染した場合については、重症化してしまい、場合によっては死にいたるリスクが非常に高い、との説明がありました。

つまり、一般の人に比べ、接種するリスクは同じですが、接種しない場合のリスクは大幅に高い、というのが専門医の見解でした。

■まとめ

COVID-19はまだまだわからないことが多い病気です。感染を予防するために開発されたワクチンにも、当然ながら不明な点が多々あります。

そんな中、一般の人にとって頼りになるのは実際に診察してくれる医師です。不安がある場合には受診時に尋ねてみることで、接種するかどうかを判断するための貴重な情報を得ることができます。

Categories: