新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が急増していますが、多くの地域では感染しても命に関わる状況にならないと入院できず、適切な治療を受けられません。

そんな中、「イベルメクチンはどうなのか?」という疑問の声をしばしば耳にするようになりました。実際にどう評価すべきか、現在わかっている情報を集めてみました。

■大村教授がノーベル賞を受賞した駆虫薬

イベルメクチンは日本の医学者である大村智(おおむらさとし)教授が開発した駆虫薬です。アフリカなどの熱帯地方で多く見られる回旋糸状虫を駆除するために開発された薬であり、1987年の使用開始から、これまで30年以上にわたって世界各国で使用されてきました。

この薬の特徴は寄生虫を駆除する効果の高さに加え、副作用の少なさにあります。それまでの駆虫薬には効果を求めれば健康を害するリスクが大きくなる、という問題があったので、リスクとメリットを比べながら慎重に使わねばなりませんでした。

イベルメクチンは副作用が少なく、他の薬と併用した場合の安全性も非常に高いため、

寄生虫に悩む人たちにとって大きな救いとなりました。この功績により大村教授は2015年、ノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

現在は安価なジェネリック薬が世界各国で流通しているので、経済的に豊かではない国でも、容易に使用できます。

■海外の研究で感染予防や症状の改善

世界的なコロナ禍の中、そんなイベルメクチンにCOVID-19の発症や重症化を抑える効果がある、との説は感染拡大が始まった時期から見られました。

駆虫薬として使用されてきたイベルメクチンにはウイルスの複製を阻害したり、強力な抗炎症作用があることがわかっているためです。これらのはたらきにより、COVID-19のさまざまなステージにおいて、下記のように作用する、と考えられているのです。

・予防的に服用することで、感染を抑制できる

・軽症、中等症の患者が服用することで重症化を抑えられる

・重症患者が服用することで、死亡率を引き下げられる

海外ではすでに、複数の治験でCOVID-19に対する治療効果が認められた、と発表されています。

メキシコやインドなどでは、すでに治療薬として使用されており、最前線でCOVID-19の救急救命を担ってきたアメリカの医師団体「FLCCC」もイベルメクチンによりCOVID-19を抑え込める、との声明を出しました。

■国内でも急ピッチの治験が進められている

治療効果が期待されるイベルメクチンですが、国内の医療機関ではCOVID-19の治療薬として、公には利用されていません。COVID-19治療薬として承認されておらず、医薬品副作用被害救済制度の対象になっていないためです。

国がCOVID-19治療薬としての効果や安全性を認めていないのに加え、副作用で被害が出た場合に補償を受けられないのです。

ただ、実際に効果があり安全性が高いのであれば、国内でも早期に使用すべきでなので、治験を進める研究機関が増えています。大村教授の出身校である北里大学とイベルメクチンを製造しているMeiji Seikaファルマ社が昨年9月から研究を開始。

直近では岡山大学病院が治験の参加者を募集するなど、イベルメクチンの承認に向けた研究が急ピッチで進められています。

■イベルメクチンは個人輸入も可能だが

世界各国で40年近くも利用されてきたイベルメクチンには多数のジェネリック薬が存在します。国内外で販売されているので、ネット通販を利用すれば、簡単に入手できます。

筆者も実はシンガポールから購入したものを所有しています。万が一感染したときには、状況に照らして服用するかどうか判断するつもりです。

ただし、完全に自己責任での服用なので、副作用が起きた場合には補償を受けられません。皮膚・粘膜障害や肝臓の障害、血小板の減少などの副作用がある、と言われているので、服用に際してはメリットとデメリットの慎重な比較が必要でしょう。

筆者には糖尿病などCOVID-19の重症化につながる持病はありません。そのため、服用により重症化のリスクを抑えるメリットはそれほど大きくない、と考えられます。

一方、持病がある人や高齢者の場合には服用のメリットが大きくなるので、副反応のリスクに照らしても、「使用した方がよい」と考えられるケースが増えるはずです。

厚生労働省では承認されていない段階でのイベルメクチン使用を控えるよう、呼びかけています。どの情報に基づいて行動するかは個人が判断すべき事柄です。

■まとめ

イベルメクチンに対する考え方は、医療の専門家である医師同士でも異なります。COVID-19感染予防や症状の軽減を求めて服用すべきかどうかを個人が判断するのは非常に困難ですが、いずれにしろ患者自身が決めることです。

この記事を含め、できるだけ客観的に評価している情報をたくさん集め、自身の体調や年齢に照らして、判断を下すのが賢明です。

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